日曜日に、小説家志望の友人とともに、銀座『山野楽器』で、なかにし礼のトークをききにいった。
昭和の作詞家として、作詞数3000、内50がヒット。
最近は、Tokioの「アンビシャス・ジャパン」の作詞で若い人にも影響を与えている。
平成には小説家として再出発をした。
小説家志望の友人は、
とてもなかにし礼氏の講演で自分と共通の作家としてのスタイルを感じ取られ、
勇気をいただいたそうです。
なかにし礼氏の、ヒット曲が生まれるときの秘話。
「作詞をするときに産みの苦しみの上で詞を書くのではない。
ナイアガラの滝上を、魔法のじゅうたんで舞っているような気持ちよさだ」
とおっしゃられる。
それを聞いた豊川悦司は、きょとんとして想像がつかないようすだったそうだ。
自分が喜び感動し心持がよくなっていなければ、
決してそれはその曲を聴く人に感動や喜びを伝えることができない。
そしてその詞は日ごろの日常を切り取ったようなものではない。
時を越えて共感できしみいるもののみヒットとして受け入れられる。
このような感触をもてなかった詞でヒットしたものは、
経験上一つもなかったそうです。
友人は語るのですが、昨今、芥川賞などを受賞した作家の作品を読んでみて、
「僕はこころに染み入るものを感じ取れませんよ。
なけないんですよね、感動で。」
その言葉は彼の作品の焦点が、
普遍的なレベルを求めて進化する姿勢を強く感じる。
普遍的な仕事をするとき、
多くの人の心をつかむ以前に、
自分の心が高鳴りだすのだろう。
そしてそれは自分の胸のうちから、
他の人の胸のうちにも広がっていく。
「創造的な仕事」の奥深さを教えられたような気持ちだった。
どんなにヒットするためのデータをかき集め、
どんなに巧妙にそれを組み合わせても意味がない。
情報力ある「電通」がヒット曲を毎年ランキングされていないという。
なかにし氏の作詞を通じた創造的な仕事は、
自信に満ちた竹を割ったような明言のうちに終了した。
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他の業種でも普遍的な仕事にまで昇華させれば、
自分の仕事に対してあのようなトークショーを行い、
観客が集まるようになるのだろう。
ナイアガラの滝の上を、魔法のじゅうたんで飛ぶような喜びを感じてみたいです。
その感動を求める作業が、普遍的な仕事を成し遂げるのでしょう。