葛飾北斎の身体感覚・身体感覚はすごい

冨嶽三十六景や北斎漫画で知られる葛飾北斎
北斎は西洋の印象派画家やピカソにも影響を与えたといわれます。

絵を描くのに身体能力が必要か?

今の時代は、
カルチャースクールの絵画教室があります。
いい絵画の解説本があります。
構図の知識、色彩、下地を塗り仕上げてまで積み上げていく手法など学べるでしょう。
パソコンならばレイヤー機能で部分修正などは魔法のようにカンタン。
北斎の時代の
「まっすぐな線を引く」ことや「細い一本一本の髪の毛を描く」必要もない。
そこに気を配る身体能力、身体技術は要らない。

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北斎は幾日も海辺で波の流れる姿を捉えるために、
筆と紙を使ってスケッチをしました。幾枚も幾枚も。
富嶽三十六景」のころでしたらか、
北斎72歳。
1831年天保2)の当時の平均寿命を考えれば驚異的です。

そして北斎の目が捉えた波先。
独特なうねりしぶき。
くるりんと細い白波が指先になり空中をかきむしるような熊手のような表現。
かなり独特な誇張されたものに見えます。
デフォルメが進んでああなったのだろう、
そう思われていました。
だが現代になり海の波を超高速度カメラでシャッターを切っていく瞬間、
北斎が見た波が浮かび上がるのです。
デフォルメではなくて、
しっかり北斎は見て描いた。
そういうことになります。

常人は北斎ほどの目を持ち合わせません。
まさに身体能力が表現された作品です。

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北斎の絵の構図はそこかしこに黄金比が入り込んでいる。
計算のうえかどうか判りません。[計算なしでできたら超人です]
身体感覚が鋭敏に研ぎ澄まされていて、
知れば知るほど息を呑みます。

西洋画家が驚いたのもうなずけます。

絵を描くことは技巧を覚えそれを応用することだけではありません。
その域を超えれば身体能力そのものが、
表現に入りだす奥深いものです。

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今、パソコンに向かい、ひーひーいいながら、
CGスキル向上に努める自分。
ともすると、「こんなものは身体能力とは関係ない!」と思えてきます。
そんなとき北斎を思えば希望や夢がでてきます。

どんな仕事や遊びも極めれば身体能力が溶けこむことがあるでしょう。
あなたにもオリンピック選手とは違うステージが用意されていると思います。

身体感覚が活かされたとき、
最高の充実感が湧き起こるはず。

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北斎館 http://www.book-navi.com/hokusai/hokusai.html