骨を感じて休む・動きをつかむこと--2

いっそのこと筋肉に意識を向けることをやめてしまう。
筋の奥にある『骨』に意識を向ける。
骨を重力に沿って静かに落としていく。
そのように意識してイメージしてみる。

横になって休んでいるときに体の中の骨がどこに位置して、
骨がどう重力で地中に向かって落ちているかを感じてみる。
すると深く休めやすくなる。

敏感な人は感じるかもしれない。
骨を感じているときに筋肉の緊張を感じる量が格段に少なくなる。
骨には筋肉のような収縮反射は起こらないものだから。
筋の緊張収縮反射によって起こる悪循環の外にいる。

「反射から離れる」。
ヨガのしかばねのポーズのポイントでもあろう。

反射しない骨を中心にすえた、
私たちの体。

骨は筋肉がなければばらばらなもの。
だが実は筋肉は骨がなければ止めを失い、
力の発動の機会を失うもの。
持ちつ持たれつの関係。
筋肉主導ではない。

骨を筋肉と同様に、
場合により筋肉に優先して感じ取ること。
筋肉の歪みや癖そして麻痺などにより起こる悪循環を切るきっかけになる。

筋肉の動きは非常に複雑で奥が見えにくく入りにくい。
頭の中で数百もの筋肉の機能を整理して把握すること、
それを元に動きをつくりだすこと、それも筋肉の連携を考慮して・・・。
そうなると人間科学専攻のものでなければ実際の話、
多少でもいい加減な点があれば誤差が積もり積もってワケがわからなくなる。

それよりも最初は骨を追っていくほうが、
動きの分析しやすくなるかもしれない。
皮膚や筋肉に隠れて見えない『骨』だから、
把握しにくそうに見える。
だが慣れてくればスケルトン状態に体の骨が透けて感じ出す。
しっかり解剖学のテキストをみて勉強し、
人の体をくまなく触り見ていくといい。
ボディワーク屋さんになった気分で、
やさしく関節を旋回させたり曲げてみたり。
骨を感じながら・・・。

筋肉という弛緩や収縮でいかようにも形をかえるものを追うよりも、
ずっと骨は見えやすく安定している。
そして骨が見えた後に筋肉を見てもいい。
骨の位置がわかれば筋肉の収縮・弛緩関係がガイドされて、
導き出されてしまうことに気づくだろう。
結局、骨を見ても筋肉を見ても同じものを見ているだけなのだから。
わかりやすいものから入るのも手です。