野口体操の関連書籍は、最も好き。
野口三千三氏の書かれた本を読むと、
多くの気づきを与えてくれる。
毎回読むごとに解釈が自分の中で化けていく。
自分が深まって意味がわかることが多い。
だがそれ以上に野口先生の本を読んでいると、
こころが暖かくなっていく。
そしてすがすがしさを感じる。
なぜ?
その答えが書籍:『アーカイブス野口体操』春秋社にあった。
野口先生の人となりが語られている。
体操についての先生の考えの原点が、
先生の生きた戦中という時代背景の中から伝わってくる。
詳細は書籍に譲るが、
まさにヒューマニスト。
先生のドラマ化などを、
本当に試みていただきたいほど。
体操の方法を子供たちに伝えるシーン。
「鉄棒でも逆上がりでも怖さがあってはだめ。〜」
先生がその怖さを克服させる方法でとった手段は、
てこの原理や振り子の原理などを物理実験をさせて教えた。
そして理論を教えて順を追ってやらせてみた。
感覚訓練と力を入れないことを徹底的に教えた。
このやり方により一人の落ちこぼれるものもなく、
大車輪や逆立ちでグラウンド歩きができるようになる。
近隣の教育者が野口の教育方法を、
こぞって見に行った。
ここにでてきた先生が行った教習。
(1)運動法に即した物理実験をさせた
(2)次に理論概念を伝えて順を追ってやらせた
(3)感覚訓練・力みをなくさせた
このいくつかのステップにより運動法を誰もが習得できる秘密があるはずだ。
僕だったらこの先生のやり方ならば、
厳しく注意をされたとしても何を注意されたかわかる。
だから納得できる。
後々わだかまりも持つことはないはずだ。
自然の理を知り、
それにそぐうための体の用法を習得できる。
圧倒的な爽快感がめばえる瞬間が味わえる。
目的の動きを行うための段階を分けていく。
段階の分け方におそらく緻密な計算、
動きの連携・つながりが入るだろう。
感覚が研ぎ澄まされるためには、
恐怖心はあってはならない。
だがすでに無知による怯えは解消済み。
あとは力を抜く、
つまり力みを抜き、
体の重さを捉え利用し、
ムチのように体を使う。
てこの原理を体の中から取り出す。
体のバランスを力学的な力に変える。
筋力を効率よく使えたとき力みは抜ける。
この運動法教習は、
時間をかけ子供たちを育てる、
教育といってふさわしいものだ。