『歩き方』を年配の方にお伝えして--2

歩くときには足の重さを利用するのだが、
それができる立位姿勢状態ではない。
脊椎があたかも垂直に立つ立ち木のようになって、
美しく伸ばしたときに大腰筋の伸長力がうまくかみ合って、
脚が大腰筋上端付け根から吊り上げられている感じになる。
これができるまでは、
腸骨を引く動作と押し出す動作を体が前に進むときに
等量できるようにしなければ。
・・・これもまた難しいことではあるが、
垂直に立つよりかはずっとわかりやすい。

そしてこのトレーニングに意識を集中して
『脚を持ち上げて持っていく』といういつものパターンを消していく。
必要以上に足を持ち上げようとすれば、
脚は重い筋の塊だから重心が上ずるのは当たり前。
会陰の真下に重心が落とせるようになれば、
背骨も伸ばした状態をキープできるように変わる。
脚を大腿筋を使って持ち上げれば会陰部より前側に重心があるから、
前に倒れる。
骨盤が前に倒れるから、
脊椎が前後バランスを取るために腰部が内臓側に突き出されて、
背部が後に引かれてしまう。
これでは脊椎の並びが悪く起立筋が硬化短縮化。
脊椎全体の動きも悪くなる。

それを足が地面すれすれにさっと後に引けるようになったのを確認してから指摘。

しばらくそれを続けた後に、
仮に脊椎の前後湾曲が正される腕組みをしてもらって歩いてもらう。
すると腰の回転、骨盤の動きが改善されている。

ここまでくると少しずつ
「体は左右や前後のバランスが取れている状態を、
ちょっと崩せば動き出す」その感じがつかめる。

「なるほど。こうすると楽に動けるじゃないの!」という感想がでました。
完全ではないがさまになってきた様子です。

これでひとまず終了。
これだけつたえるだけでも、
かなり私の頭の中では試行錯誤の連続。
わかってもらえているかどうか、
ことばを変えて表現すべきかどうか。
伝えることは本当に難しいものです。

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養生訓では、
人間は年齢が進むにつれて体の活かし方を学び、
そしてうまく使っていくものであるといいます。
その言葉どおりにうまく上方修正していけばいいでしょう。