体を自在に動かすということ---(1)

そのひとつの要素、
『骨を意図的に動かす』。

自由自在に指を動かせる感覚と同様に、
他の骨も動かすことだ。

たとえば有名な話ではギエムという女性のバレエダンサー。
彼女は肋骨一本一本を自在に動かす感覚があるという。
指が自在に動けるのは、
長母指伸筋や長母子屈筋なり他いくつもの筋肉群が
テコの力を遺憾なく発揮して動かせる仕組みがあるからだ。

だが精密に体の使い方を理解していくことで、
肋骨一本一本を指がばらばらに動かせるように動かす。
指ほどの大きな関節可動域があるわけではない。
だが彼女の優れた動きを見れば
確かに肋骨が自在に動かされている姿に目が釘付けとなるはずだ。

肋骨といっても、
どの肋骨をとってもまったく同じ形状のものはないはずだ。
肋骨1番は小さく鎖骨と肩甲骨に包まれる位置。
その小ささを感じ取る。
その位置を感じ取る。
まったくの独立した個性的な骨として存在を認める。

たしかに立位姿勢で理想のスタンディングスタイルでは、
肋骨上部を上に水平に引き上げ、
肋骨前部下部を下に水平に引き下げる。
そして肋骨の鳥かご形状を立体的に効率よく肺が動けるパッケージを作るため、
肋骨一番のみを動かそうとしても肋骨2番・3番も同様についてくる形だ。
だがこの一連の動作だからこれらの
肋骨1・2・3番の存在を一色単に考えていいのだろうか?
肋骨1・2・3番を一旦ばらばらに個性的な動きをできるようにして、
それから1・2・3番を協力させて動かすことで自在性ははるかに向上する。
だからギエムの肋骨をひとつずつ分けて使いこなしている優れた技が成立するのだろう。

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