腹筋による腰椎免荷

物を持ち上げる際に、おなかに力を入れて腹筋を十分に緊張させる。
もちろん正しい腰の伸びた姿勢で。
すると腰椎(腰骨のこと)にかかる力は30%まで少なくすることができる。

それを『腹筋による腰椎免荷』といいます。

それを根拠に腰痛で苦しむ人に対してのアドバイスに、
「腹筋をちゃんときたえるように!」
というメニューが課せられることがあります。

腹筋と脊柱起立筋を鍛えることで、
少々背骨に負担がかかっても平気になる?
ただその腹筋の鍛え方が計算しつくされていないと、
腰痛がきつくなる結果へ。
慎重にエクササイズメニューを選択せねば危険です。
不安な方は専門家に相談してからにしましょう。

      • -

と、上記の前提を元に次に進みます。

低い場所に置かれた50キログラムの荷物を立ったままで持ち上げようとするとき。
腰にかかる負担は727.8キログラム
しゃがんで荷物と丹田部分が近づいた状態で持ち上げるときは、
腰にかかる負担は206キログラム

しゃがんだほうが3.5倍減少する。
肉体的に負担が少ない。
まずはこの体のさばき方から練習を取り組んでいくのもいいでしょう。

『腹筋による腰椎免荷』が発生しているとき。

腰を腹腔全体の膨らむ力で支える力を発揮させます。

『腹筋による腰椎免荷』の力の発生は物理的な作用です。
膨らんだ風船でビール瓶を叩いたら倒れますが、
空気の抜けた風船では倒せないということです。

風船と同様に腹腔(=おなかの中)を膨らませることで、
強い力を発揮するようにして腰を入れる作用を強めます。
丹田に力がみなぎり膨れ上がり、
その力で腰を強力にたてて支える。
呼吸力という呼び名などで合気道などの武道でも重視します。
腹部という外側からは見えない場所で行われている仕事です。

同時に重心を下腹部にキープすることで体が安定します。
それもパワーアップにかかわります。

腰部を活かして背骨や背中全体の背部の力を引き出すことが、
腹筋による腰椎免荷の30%分のパワーアップなのかもしれません。
そしてもちろん腹筋による腰椎免荷をより効率的に使うように修練することで、
30%以上に。
そこが合気道などを神秘的に魅せる一因かも。

    • -

ただもう少し簡単に考えてもらうと、
重い荷物を持つときは丹田と荷物の距離を短くすることです!