人体断面図でしこりやすい場所の予測

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大腿骨中央部位における大腿の切断面のような人体断面図
筋肉の癒着(しこり)をリリースするボディワーク屋さんには重要です。


人体の横断面図および縦断面図を観れば
「ここのこの筋肉とこの筋肉の接触部分は癒着しやすいだろう」
ということが予測できます。


よく癒着を起こす筋肉部位は、
いくつか条件により発生します。


たとえば以下のようなこともその条件になるのでしょう。
【1】目的筋肉の利用頻度(使い過ぎか、使わなすぎか、休養は十分か)
【2】複雑に近隣筋肉との接している部分の状況(筋肉同士が鋭角に強く当たるなどは癒着が起こりやすい)
【3】複雑に幾重にも重なる筋肉群を十羽一絡げで使う。
(筋肉は一本ずつ分けて使うよう設計されています。
それを誤った筋の使い方をするとき筋膜が癒着しやすくなります)



この断面図をよ〜く観てください。
隣り合う筋肉が複雑に交わっているところがあります。
そこに筋肉同士が強くこすれ合わさる部分があります。


ここが筋膜の癒着が起こりやすい場所です。


■少し丁寧に筋膜の癒着の仕組みを説明します。


筋肉の周りには筋膜という膜があります。
筋繊維を潤わせたり筋の伸張・収縮や衝撃から保護してくれます。


その膜はコラーゲン組織(ゼラチン状)を主成分。
理想の筋膜は体内は温かく湿りけがありますから、
ゼラチンが適度に溶けたゲル状の柔らかさを持ちます。


ゼラチン同士という同一組成成分ですし、
もともとが一色単になってまとまる性質を持つ物質です。
隣同士の筋膜を分けるための潤滑油をまぶしてあります。
体中筋肉・筋膜があるところすべて潤滑油で浸してあるのです。


ただ隣同士の筋肉が強くこすれ合わさるようになると、
潤滑油が押し退けられて筋膜が触れ合う状態になります。
すると容易に癒着してしまうのです。


ただ早期で軽微な筋膜の癒着ならば、
体内の代謝力で再度癒着した筋膜を溶かしてくれます。
そして癒着がはがれてまた潤滑油が仕切ってくれれば、
問題ない状態に移行できます。


ですが慢性化したしこりの状態となった場合。
幾度も強く癒着を繰り返させるような筋肉の使い方をすれば、
隣り合う筋膜同士の癒着が強固とさせてきました。
隣り合う筋肉が強く当たるよう筋肥大させることもあります。
このときは簡単には癒着がはがれない状態と化します。


筋膜の癒着が進めば筋肉がより十羽一絡げでしか動けなくなる。
そうなることで癒着がスピードを増して進行します。
このような慢性化した癒着状態では、
セルフワークなどではケアしにくい場所もでてくるわけです。


これが筋膜が癒着が進行する様子です。

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この筋膜の癒着の仕組みを知っていれば、
この断面図よりどこが筋肉同士の接触が強いかをまず観察。
そこが一般的な癒着の好発部位となりますから。
要注意箇所として割り出せます。


もちろん大腿部の断面図と同様に、
他の体の部位の断層イラストなどからも同様な推測がつきます。
たとえば腰や背中や首や肩や骨盤や手やふくらはぎ部分などの
体の断面図を観てもどうようなことを推測することができます。


筋膜の癒着が起こりやすい場所の推測は、
実際にワークをする過程で成否がわかります。
『確かにここが癒着していたな』と納得できるわけです。
もし予想外な部分があればその理由を考える。
そして見方を深めていきます。
とてもよい学びとなります。


大変うれしいことに癒着が起こりやすい好発部位が
断面図に書いてあるのですね。
すると「どこにどれだけのしこりがあるか」見当が付きます。


本当に硬い筋膜の癒着は深層の筋肉なのです。
ここの解放が尋常ではない手間がかかる場所。
しこりをつくった方の経過が成果として現れた場所です。
負担をかけた量と質と年月で解放作業に開きが出ます。
ここがとてもどのような硬さにまで至っているか、
予想できづらいブラックボックスです。
癒着具合が強いときや場所は、
石と同じほどの硬度まで筋肉は硬くしこり化(石灰化とか骨化という)
する場所です。


お身体の初期状態が思わしくない方ほどその傾向は強いのです。


ワークを進行していくものならば、
どんな些細な情報も喉から手が出るほど知りたくなるものです。
だからめざとく目を皿のようにしていろいろと見つけてくるのです。


予備知識:表層筋が硬すぎて深部筋が癒着している部位の硬さが解らないとき。
目的筋肉の拮抗筋状態を調べることで状態を推測しやすくなります。
ただ精度は本当の参考程度ですが、ないよりはよいでしょう】