複層構造的な筋肉


切り立った崖を観てみると、
何層も重なった地層がある。


長い年月をかけて、
少しずつ土砂が堆積していった。
そのときに流れ着いた土砂の様子で、
この地層は古生代とか江戸時代とかわかる。


三葉虫の化石があったり、
関東ローム層の赤土が広がっていたり。
そのときそのときの特徴が色濃く残っている。


人間の筋肉も同じようなものです。
地層のような幾艘にもなる層構造。
『複層構造』でできています。


あなたが過去どのような筋肉へ刺激を与えたか。
リラックスしていたか?
緊張を強いられていたか?
筋肉を使い過ぎていたか?
またそれは一部分だけか全体的か?
などがまったく地層と同じように、
複層構造として折り重なり書いてある。


そういうものです。


筋肉の複層構造をとらえたという学説は、
見たことありません。
ですが複層構造であることを、
筋膜をリリースするワークが得意なものならば、
たいてい『そういうもんだよ』といいます。


するとその筋膜による複層構造があることを、
前提条件として受け入れることができる。
だからそれを計算して考え抜けるのです。


単層的に観ている人とは考え方が違います。
粘り強く根気よく対応する腹積もりを持ちます。


慢性痛があるとき。
骨に達するほど深い層のエリアが、
大きなダメージをためている層です。


だから全体の複層構造を読み、
丁寧に複層の一番奥層まで書き換えればよいのですね。
簡単にいいますと。


そうすれば、
『ずいぶん変わった』ということが確実に起こります。


だから筋膜の複層構造を理解できればしめたものなのです。


崖を見上げるようにして『この層はけっこういろいろありますね』、
とか最初のアプローチで見て取ります。
わずか厚みで数センチしかない筋肉。
だが安全に配慮していけばその数センチを、
幾層にも分割して段取りを考えないとダメ。


表層部分が解けて、
中層部分にきて、
深層部分に至って。
この層をまた細分化して観ていく。
それからまた巨視的に眺める。
を繰り返すのです。



そうして変えていかないと危なっかしい。
深層の筋膜を解くのが難しいよといわれる所以です。