『骨トレ』で長寿にチャレンジ!

太極拳血戦譜―いま明かされる伝説と真実


この本の中に興味深いレントゲン写真を見つけた。


馬岳梁という呉式太極拳老師83歳の右股関節を映したもの。
その隣には60歳の男性の同じ部位の右股関節を映したものが並ぶ。


その写真を見比べて驚くのが骨部分の白が馬岳梁は80代にしては
信じられないほど白くくっきり映っているという事。
股関節のはまり方が美しく正しく収まっている!


その隣の60歳の男性。
この男性の健康状態などは表記されていないので窺い知れないが、
股関節のはまりは甘くなり骨の白さがくすみ弱くなっている。


まったく違うのです。
年齢が高齢に至れば、
骨内部のカルシウム組織がもろくはがれ落ちていく。
それが生理的に起こるもののようです。


骨は鉄よりも軽量だが強靱な組織です。
骨の内部はスポンジ状ですが表面は硬い緻密質で覆われている。
成分は水が25%、コラーゲン(タンパク質)30%。
あとはカルシウムやリンが貯蔵されています。


骨は爪のような単なる角質組織とは異なります。
血液が流れ出血もします。
絶えず新陳代謝が起こり、
古い骨は破砕され新しい骨が作られている。
そして骨髄では赤血球や白血球が造られる。
背骨には神経や血管、リンパ管、脳脊髄液が通る。
単純な『骨組み組織』とは一線を引いた、
大変重要な役割を占めている組織が『骨』なのです。


呉式の流派は特に長寿の方が多いという。
医療の発達していない時代ながら、
呉図南は105歳、馬岳梁は96歳、楊禹廷は96歳まで健康で長生き。


しかも仙人の域といわれる「応物自然」の域に達した人数がもっと多い流派。
どんな力・事柄・状態に対しても力や欲を出さずに、
自然に対応できるとまで至ったそうです。


私の安易な推測ですが、
呉式太極拳は骨を鍛えるムーブメント要素がふんだんに含まれているのでは。

骨は関節の使い方や重力による刺激により成長します。
無重力空間の宇宙飛行士が骨密度を下げてしまうことからもわかります。


筋トレという言葉はあります。
でも『骨トレ』という言葉はありませんよね。
そこに盲点があるように感じてなりません。