遠方の友達の悩み事

遠方にお住まいのお世話になっている友人から電話をいただきました。
詳細はお伝えできませんが彼は治療院関係で働いております。
ですがそのご本人こそがよい治療師を必要としている状態。


彼は数年前に交通事故を起こしました。
だがそれ以前からも体調不良の兆候はあったそうです。


彼は身体の現在の状況を私に伝え、
私がもつ知識で何か自分でできる手建てがあればという。
ただ以前すでに操体法なりキネシオテープなり、
自分ですることができる範囲内のことは伝えています。


彼は治療院に勤めています。
仕事休憩時に治療院内に設置されている低周波や中周波などの機器を利用し
自身をケアしている。
骨盤バンドをしながら仕事をするときもあるそうです。
ですがそれで対応しきることができるものかどうかは、
その結果が想像できておられるようです。
だましだまししながら身体を酷使する状態が続けば、
状況は悪化していきます。
コンディションが悪くなってからの酷使は、
加速的にに肉体的な負担を肥大化させます。




彼も鍼灸の国家免許を持つ人物。
その理屈を理解しているでしょう。
現に肉体に蓄積していく嫌な感触もあるはずです。


症状はすでに急性期を過ぎ慢性期状態まで進んでいます。
慢性化すれば全身にわたる状態の不安定が蓄積していきます。
身体とは全身を支える大小のコンパートメントが釣り合いをとり動く。
慢性期は主要部のコンパートメントが不釣合いとなり、
その周囲はもちろんのこと身体の隅々の遠方まで影響が出る。


コンパートメントのイメージは、
東京タワーのような格子状の筋交いで建てられたタワーを想像してもらうとわかりやすい。
東京タワーを支える中腹の鋼材の一本を短いものに置き換えるとどうなるか?
そのような想像をしてもらえればいいだろう。
一本の鋼材の不整合により生じたひずみは、
他の鋼材へのつじつまあわせの負荷増大によりあがなうこととなる。
それで長期間過ぎればつじつまあわせの部分も自らが歪み化した記憶を持つ。
そして塑性が減少していくこととなる。
これが慢性化した状態です。
自力で伸び縮みできない硬化筋肉状態がそこかしこに点在することとなる。


急性ならば問題部分が特定してその影響の飛び火が少ない。
だから何か身体にダメージがあったらすぐに手を打つこと。
それを心がけたいところです。。。


慢性化した状況では主訴とするべきところかを記憶に留め置けない。
ここかしこに痛みが飛び火して感じ取れるが、
症状が進んでいる場所は深部層の痛みが感じにくい部分へまで達する。
「痛いところは?」と尋ねても直ぐにはもぐりこんだ根っ子にたどり着けない。
飛び火したところをケアしても根っ子の部分が解除できなければ、
また根を抜かない雑草は直ぐ生えるのと同じ現象がおきるのです。
主たる症状の根っ子はこのときもより深部へと手を伸ばすのです。
ここで時間を長期使いすぎてはいけません。
また根っ子を抜こうとしないで生えてきた葉を抜くと、
かえって根は強くなる。
自然界の雑草を取るときも根絶やしにしないと、
あとの伸びがすごいからねという状況と同じことがおきる。

深層筋膜と骨膜が変形の形成を起こしその状態を記憶してしまうのです。
自分の身体がゆがんでいる状態を保つほうが正常に感じてしまう。
この部分に適切な改善方向を示さなければ持続しない。
日常動作の筋肉の使い方の改善がなければ歪みを助長する筋肉の酷使をする。
だからじきにまた状態が戻るのは時間の問題です。


浅い層の筋膜ならばセルフワークやストレッチで一部改善が見込める。
しかし深層筋膜と骨膜の変形が進むと対応が難しくなる。
かえって無計画なストレッチなどは状況を悪化させる。
既にダメージがある組織を壊すことは本当にカンタン。
改善成果のみを得ることは専門家でなければ困難。
その点に注意しなければなりません。


治療師が身体を壊したとき。
治療の心得がある人間でも、
身体のここかしこのコンパートメントがずれた状態では判断力が低下。
これは生理的に大脳への血液流入量が減少して思考力が低下するので、
冴え渡る客観視を自己の肉体に向けることがしづらくなるからです。
そこでの判断ミスは事を長引かせます。
他の優れた治療家のアドバイスを受けられれば幸いです。


友達から聞いた身体の状況を聞くと、
深層筋膜と骨膜が変形の形成部分までいたるリセットをすれば対応できる模様。
私は彼と同じ悩みの症状の方々のワークを日常的にケアしております。
予想の範疇ですがそうできる範囲内だろうと思う。


既にコンパートメントの各部のひずみが多く点在していて、
優れた技術と根気のいる作業を引き受けてくれる治療家が必要。
そういう治療家を見つけることの難しさを痛感します。
費用の問題もありなかなか筋膜リリースをするところへ通うことも困難。


関東圏ならば私が出向くこともできますが、
東海地方ともなるとスケジュール的に難しい。
同様に彼が私のところへくることもできない。


「カッピングはいいよ」と勧めるのが精一杯でした。


さすがに電話口でどうしてよいものか言葉に詰まりました。


どうにかならないものでしょうか。
もしなにかよい方法があれば教えてください。m__m