尾骨矯正考

尾骨と仙骨のつなぎ目の関節。
そちらを仙尾関節といいます。


このちいさな関節が正常に可動するか歪んでないかで、
身体が不用意な前傾を余儀なくされるかどうかに関わります。


ヨットの舵取りの舵を自らコントロールできないようなものです。
ヨットは舵でどちらへ進むかリアルタイム修正をします。
風を受けて進むのでヨットの帆をどちらに傾けるかで進むこともできます。
そのふたつのコントロールの仕方をたくみに取り混ぜて進むものです。


舵取りの舵を回す操舵力は小さな労働ですみますが、
帆をいくつものロープを動かし軌道修正をするには
多大な労力が必要です。
そのことを覚えておいてください。


人間は歩くときに目で周囲を目視して行きたい方向に進めているかどうか、
常に修正を加えながら歩いています。
簡単な実験をしてみるとわかります。
目をつぶって10メーターほど歩かせると、
舵取りをする舵がはじめから右や左等に曲がっていると、
舵の指定した方向どおりに曲がって進みだします。
気づいたら4〜5メーター横に反れている人もいます。
でも目を開けているときには、
絶えずその人は脚部の大腿直筋などの負担がかかるが
進行方向への修正力が大きい筋肉を利用していきます。


ところが舵取りの舵が左右等のまわりにくさがないと
目をつぶっていても横に反れてもせいぜい1メーター以内に留まります。
そのような操舵を繊細に目視せずともコントロールできると、
目標の方向へ体を運ぶのに修正行動が不要。
修正行動にかけるロスは時間的ロスに加え、
労力的ロスがことのほか多大です。


ちょっと操舵をすれば思いどおりに進める機能も付いているのに、
それが使えずにヨットの何本もある帆を操るロープを
力を込めて引っ張り緩めたりをずっと繰り返しているんですから。
疲れてしまうわけなんです。


この疲れが蓄積すれば、
筋肉は筋肉疲労を起こして肥大し、
それが回復力を失えば筋膜の癒着が進行する。
長い年月をかけ体をゆがめ蝕む強力な作用をします。
肉体の操舵力もロープをもつ力も弱まっていきます。


人間で舵の部分に当たるひとつの重要なパーツが尾骨部分。
尾骨は仙骨と仙尾関節で結ばれているのですが、
関節部分は仙腸関節が楽に動いて緩んでないと、
曲がりだします。


仙腸関節が楽に動きだし尾骨に付着点をもつ筋肉群も緩みだすと、
仙尾関節の癒着が進んでいなければ可動関節としての能力を、
徐々に再生することができます。
ただ普通に歩いているだけでは
ある程度癒着化があれば
癒着は処理できないでしょう。
動き方の理合にかなわなければうまくはいきません。


だが仙尾関節の癒着が進みすぎていると、
強力なヨットをロープで操作するような
脚部の筋で体を動かす癖が抜けません。
この状態が大変困った状態なのです。


私が読んでいるオステオパシー関係やカイロプラクティック関係の書籍には
この仙尾関節を含めた尾骨の矯正について解説してある翻訳本があります。
僕が現在調べた中でわかりやすい解説は
『脊柱の評価とモビリゼーション』P89の仙尾関節テストでしょう。
手の置き方と加圧方向が的確に指示されています。
尾骨を腹側へそして背側へ圧をかけます。
この関節可動評価方法を施して持続的調整圧をかければ尾骨矯正ができます。


尾骨の変異が尾骨が後方へ出っ張るようにずれているときには、
問題なく修正が可能です。
そのときには一定の弱い持続圧を呼吸のリズムにあわせて3分程度かけ修正。
期間をおいて歯科矯正のように何度もこれを繰り返す。
またはメカニカル・リンクのリコイルの応用をして解けばいいでしょう。
リコイルでは体を横に寝かせて胎児がお腹の中にいるような姿勢をとらせて
そして関節の動きの制限をしているブロックを解除する方向へ
『低圧高速微振動』をかけていく。
低圧しかかけないので尾骨骨折の恐れも少ないが、
高速微振動により矯正するための熱エネルギーの発生と
癒着して引っかかっているブロックを突き崩していける。


注意としてはどちらも修練が必要です。
不用意にはすべきことではありません。
それに仙骨や尾骨がどのようにあれば
正しい常態であるかがわからずに、
闇雲におこなうのはもってのほかです。
それに十分尾骨や仙骨仙腸関節など、
幾重にも重なる筋肉のすでに硬直した部位を整えずに
尾骨だけを緩めようとすると、
尾骨の歪曲が強化されてしまう危険性さえあるのです。


でも十分にそれらを考慮のうえで予防線を引いて準備のうえおこなえば、
背側に出っ張って曲がった尾骨の調整はスムースにおこなえます。


困るのが尾骨が肛門側に入り込んでしまった場合です。
この場合に尾骨を背側に押すとは肛門に指を挿入して、
上に持ち上げる必要が出てきます。
アメリカ等のオステオパスなどが医師同等資格を有し
このような施術も適法におこなわれているのです。


しかし日本の法律では
患者の体内に指や器具等をいれて施療することは、
医師にしか絶対に認められていない行為なのです。
患者の体に重篤な危険をさらす行為となるために、
この法律には妥当性があり守らなければなりません。
つまり医師ではない私にはできません。


私が望むことは尾骨矯正で多くの
多くの体調不良の方々が改善しているか、
それをひとりでも多くの方々が知っていただきたい。
それらの資料は日本以外のアメリカやフランス等の
オステオパスやカイロプラクターが医師と同等扱いの国々では
尾骨矯正が認められ臨床例が多いためかき集めるのも容易です。
尾骨矯正はそんな珍しい情報じゃありませんもので。


きっと尾骨矯正をすることで体が楽になる臨床例を知り、
驚かれることでしょう。


姿勢の改善に始まり、
腰痛が改善したり、
脊椎側弯が改善したり、
脳脊髄液の流れも正常化したり、
心臓への負担が軽減したり、
ふとももの前側の筋肉が緩んでほっそりしてきたり。


そのようなこともあるのだなという認識を
少しでも多くの方々がもっていただければと思います。
適法に尾骨矯正をすることができる医師の
その取り組みが変わる一歩になるかもしれません。



そうなっていただくことを願っています。