体を動かす仕組みを簡単に説明をすればどうなるでしょう。
骨に骨格筋という骨を動かすための筋肉が付着していて、
骨格筋が緊張して短くなり骨が動くようになっています。
そして骨格筋は『随意筋』とも呼ばれます。
随意筋とは本人の感情や思考により反応して動く筋肉のような意味合い。
だから本人の気持ちという感情が安定し運動意図(思考)が明確ならば
その思ったとおりに動くことができる。
筋肉を動かすとき拮抗した前後の筋肉の一方を緊張させ他方を弛緩させます。
つまり絶妙な緊張と弛緩がそこに実現することで骨格をうまく運べ動かせる。
そのように動作に感情や意思が挿まれて表現されています。
だから本人の気持ちが不安定かつ動く意図があいまいで混乱していたり、
動き方という思考を挿むが不全や未熟なとき。
たいていが随意筋は適切な調整ができません。
筋肉は迷います。
拮抗する筋肉の両面を緊張させてしまうか虚脱します。
随意筋が動く様子に関連しているため、
「体の動き」と「こころ」を同根とみなすことができます。
ワークをしてお客様の体の動かし方が変われば、
それで精神面への影響も出てくるんですよというのは、
随意筋があってこそいえることなのです。
「体の動き」と「気持ちや思考」が両輪となり随意筋をコントロールする。
どちらか一方に問題があればもう一方の足を必ず引っ張るんです。
そこで「動作療法」で著名な成瀬悟策先生(九州大学名誉教授)は
体の動きの改善により心理学的アプローチをする試みを提唱しておられます。潜在意識を扱うために催眠面接法などをおこなうことでも知られます。
動作法という体を他動的に動かしてあげる方法を用いて、
動き方を学び改善していくことで心理面での改善を図っておられます。
その動作法対象者は
一般の健康な方のみに留まらず、高齢者、障害者、スポーツ選手など、
非常に多岐にわたります。
その詳細は動作法関連の書籍が多数出版されているのでそちらに譲るとして
動作という外的に制御しやすいものを改善することが
心という内面を左右させることになる。
心という生命感の根源を動作で改善していけるのです。
私も今まで体の使い方の研究をしていく過程で、
心理面でのブレが減っていく実感がありました。
心を磨くということは、
動作を磨くことと同じことなんですね。