しなやかな連なりが脊椎の命

背骨には生理的な弯曲が必要といいます。
頚椎と胸椎と腰椎と仙骨と尾骨の縦に詰まれたときの並び方です。


では脊椎の弯曲はどれくらいがよいのだろう?


その解釈次第で立ち姿が決まります。


背骨を本来持つ縁の下の力持ちが活かされ姿勢を完成させるか。
それとも背骨が体重を正しく支えられず筋肉をムダに使うか。


スタイルのよしあしという
見栄えにも関わりますよね。
脊髄神経が正常に機能して、
各内臓の活躍に差が出ます。


私がさっさっと背骨をチェックするとき、
胸椎5番から腰椎5番までの各棘突起の突端を結ぶと
まっすぐな棒で押しはかったようにきれいにまっすぐ。
最近私がたまたまお客様に説明するときは
以下の本を利用させていただいております。
Rolfing: Reestablishing the Natural Alignment and Structural Integration of the Human Body for Vitality and Well-Being
この77ページや209ページの脊椎のイラストです。
こちらを観ていただくと過半数の方が脊椎の弯曲って
思っていた以上になだらかなのだと気づいて驚きます。
そして胸椎5番から腰椎5番までの各棘突起をつなぐと
きれいなフラット状態になっていることにも驚かれます。


私にはこのイラストの脊椎の並びはまことに頭の重さを絶妙に支えつつ
脊椎の中を通る脊髄神経にダメージを与えない精巧さを感じてなりません。
脊椎の上下の連なりは実に美しいラインに見えるのです。
「弯曲」と言葉で表現するといかにも大きく反り返り曲がっているよう
感じられてしまうことが残念でなりません。


このような理想的な背骨の並びをしている方は、
ニュートラルなしっかりとかかとで地面から頭頂まで
体の骨で支えられている感覚を持ちます。


すると体を支えるのは骨の力が大で、
筋肉は骨が垂直にバランスを保って立てられるよう微調整をするだけでいい。
だからこの立ち方をしている方の筋肉の各部を触ると実に柔らかいものです。
特に大腿直筋や外側広筋などはふにゃりとした脱力状態です。


背骨が生理的な弯曲以上に傾斜していると、
体の垂直軸がどこかで曲がっていますから、
体が倒れないように筋肉を硬化させて必死に支え続けます。


脊椎が理想状態で立てられていれば積み木を縦にきっちり積み上げている。
自立させておくのは楽ですね。
脊椎が傾斜している状態ならば積み木を斜めに積み上げているようなもの。
自立させるためには支えが必須です。


脊椎がきれいに理想状態に立てられなければ、
膝は曲がったり力んだり、
股関節のはまりが浅くなり、
首が短縮しあごが前に突き出されたりするのです。
背骨が手足や首や尾骨などの動きの質を決めますからね。


そんなことをぼちぼちと観察してみると、
まずは理想的な脊椎のありようを知り、
そちらに近づけていく目標を立てることは大切ですよね。