筋肉を緩めて腱で立つ


カンガルーのオスは一日に100kmも走る。
それも繁殖期ではほぼ毎日、
長距離を走り続けている。


走るといってもカンガルーの場合はジャンプして跳んで移動するわけです。
160cm程度のカンガルーでだいたい4メートル。


4メートルジャンプを100kmも続けたらどうなるだろう?
ほんと、私ならばほとほとつかれきるはずですよね。
足の筋肉がパンパンに張ってしまう。
筋肉でジャンプをする他の動物を観ても、
こんなに長距離を高速で走り続ける動物はいない。


実はカンガルーは筋力でジャンプするシステムではなくて、
後ろ足にある長大な腱の力を最大限引き出している。


筋肉は使えば使うほど疲れるんですけど、
腱は筋肉より硬く疲労しづらいのです。
その特性を活かしている。
ある一定の速度で走ると、
脚部の筋力を発揮せずとも腱を梃子の原理で伸び縮みさせればいい。
それでカンガルー特有の高速かつ長時間で長距離のジャンプが可能。


では人間も腱をより要領よく使えればどうなるだろうか?


実は立ち方がうまい人をみていると、
立つときに筋力を最低限に抑えているようにみえる。
つまり腱や靭帯の力を引き出して立つすべを知っている。


腱で立つと体をゆらりゆらりと前後にわずかに揺らしながら立てる。
腱反射が自動的に呼吸しているとリズムに合わせて立ち方を修正する。


筋肉で立つとコンクリート製の建物のように頑強に動かないが、
腱で立つときは木造の五重塔のようにしなやかに揺れ動く。


筋力でいったん倒れそうな体を支えようとすると、
がちっと筋肉を硬化させて傾斜したまま固める。
筋力で体を支えようとするとどうしても筋肉の硬化や疲労が避けられない。
かたや腱が骨の垂直性を判断して立てる作用の腱反射で骨を立てるならば。
自動的に最低限の仕事量で立てるようになる。
このときは微妙に前後左右に揺れるのは、
外界と体の状態をリアルに状況判断して即応しているからです。



人間は動物だから常に重心点が動いているのが自然です。
しなやかに揺れ動く腱で立つほうが都合がいい。
この立ち方は体の筋肉や腱・関節を緩めて代謝を促進してくれます。
若い肉体を維持し続けることができるのです。


だから健康で長寿をかなえる立ち方だといえるでしょう。


ただこの腱反射が起こるほどの立ち方を極めるのは難しいんですよね。