『幸福大国ブータン―王妃が語る桃源郷の素顔』(ドルジェ・ワンモ・ワンチュック/日本放送出版協会)
幸福大国に生まれ育った第四代ブータン国王王妃が、
知られざる祖国の素顔や、少女時代の思い出、
年中行事、死生観などを感性豊かに描くいた本です。
こちらの本を読めば即ブータン国民のように幸せになるわけではない。
だけど約97%が「幸せ」というのはなぜかと無性に知りたくなります。
そんな気持ちで読み始めた本です。
国際ニュースでは、
「世界一幸せな国目指す ブータンの“イケメン”国王」
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/081106/asi0811061927001-n1.htm
と紹介され教育を大切にし民主化が推進される方向に動いていくようです。
ブータンは物質的に裕福な国ではありません。
耕作面積は国土全体からすれば少なく、
裏はチョモランマ級の山々が連なり、
厳しい自然環境に生きる民なのです。
東インド会社があった当時には、
西洋人にはブータンは切り立ったジャングルの魔境と恐れられていたほど。
中国やインドのような軍事力ある大国にはさまれ、
チベットのようなことにならないかと懸念される
大変な地理的状況です。
ですが国民の約97%が「幸せ」と感じる。
国民の多くは仏教に帰依し
独特な自然の精と生きる自然観を持ちます。
古いコマーシャルソングではないが、
「幸せってなんだっけ、なんだっけ。」といいたくなります。
日々、世界で起きるさまざまな頭を悩まされるニュース。
将来に対して一抹の不安をぬぐえない気持ちが浮かび上がります。
私が「幸福ですか?」と問われたときどう答えればいいでしょう。
「幸せです!」と即答できない時点で喪失感に近いなにかがある。
私たちには見えなくなった失いかけている大切なものがあるはず。
そんな生きるヒントを彼らは教えてくれるような気がします。
他にもブータンの幸せを考えさせられる本があるようです。
興味がある方は図書館で調べていろいろ読んでくださいね。
最後に余談ですが、
著者のおばあちゃん(だったと思う)が聡明で、
人に意見を聞き入れてもらうときには、
最初からあなたが持っていた意見だと思い込ませるようにする、
っていう話が書かれていました。
本当にただものじゃないですね。
またことわざや格言には
『自分の限界を知るのは、賢人の証拠である』
『持つべきものは、百の金塊よりも一つの美徳』
『矢は、その放ち方よりも、的の狙い方のほうが大切である。
話し方より、聞き方のほうが大切である』
などがあり、
ブータンの公用語であるゾンカ語では非常に詩的な響きをもって、
それは伝えられているそうです。