書籍紹介:『漫画ハリ入門』

漫画ハリ入門―楽しくわかる経絡治療』という本があります。


鍼灸師になろうという人にお勧めです。
鍼灸を受けにいこうかなと思う人にも。


戦後から大阪の貧しい地区に住み治療をする60才の鍼灸師:津田良伯に
ひょんなことから素人の小田切が弟子入りして学んでいくストーリー。


楽しくわかると副題にありますが、
一般の方がいきなり読んでみると
『素問』等の古典医術を元とする本格派で歯ごたえのあるもの。
多少、東洋医学を学んだことがないと津田の教えにはついていけないだろう。


私も数度読み込んでも把握できていない。


まだまだだなぁと思いつつ、
その古典医術の奥深さに魅力を感じて止まなくなった。


ただ明治政府が漢方や鍼灸では医術がかなわないとして排斥した。
それを復興させようと尽力した先人たちの貴重な人となりが語られている。
大変興味深いエピソードも多い。


それに深く鍼灸師としての職業観をとらえ語る姿勢には、
共感を覚える鍼灸の先生方も大いにおられることでしょう。


津田が臨終の際に申した言葉があります。


『・・・そんで縁ある人が治療にきたら誠心誠意治療したらええんや。・・・』


自然体で誠心誠意の治療をする津田の治療師としての崇高さを感じる教えが、
とつとつと述べられています。