家内制手工業的な施術家の楽しみ


たとえばマッサージをする人なら、
どのような質の圧をかけるかこだわりを持つはず。


『目的を熟考して計算しつくされた圧』が命です。


マッサージの一般書では到底表現しえない専門性がある。


圧のなかでも『ずり圧』と呼ばれる
一定の加圧量を保ち少しずつ移動させる圧はいい研究材料になる。


この圧を変幻自在に使いこなすことで、
今まで解きがたい深部層筋膜にまでアプローチの手が伸びる。
私も新たにずり圧の種を加えていく日々。
『え?!こんなに変わるの?』と私が驚くようなことが多い。


日頃ずり圧で解かれているお客様以上に驚かれるのは、
同業者が集まりデモして実際にどう変わるかを見せるとき。


さっきまで同業者が硬いからだの被験者の体を「それは骨でしょ」とか
「私がやっても解けなかったから誰にもムリです」といっていたはずが。
それが不思議なほどスムースに変わってしまうこともあるのですよね。


私なりのずり圧の用法は試行錯誤したところが多い。
各施術法の熟知は当然ですが、
太極拳の技法やら物理の力学的法則が積み重ね構築しています。
私の重心移動や筋制動やタイミング他の要素が多くて、
私の施術姿を見ても容易にまねできないと思います。
独自のスキルが増え対応力が強化されるのです。


デモのときにずり圧で深く解放した部位は過去のもの。
ささっと消え去り今まで見えなかった深層が現れてくる。
そしてざっくりと問題の深層付近へ切り込むことになる。


そして結果的にお客様に喜んでいただければ素敵なことです。

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現状の厳しい世界経済に対抗できることは、
施術業では基本に立ち返りそこで差別化していくこともひとつだ。


ボディワイズのような
小さな家内制手工業を営むものには輝くほどの知恵と工夫が必要。
それがなければ立ち行かなくなることになるだろう。
世界経済悪化がなくても一生涯を貫く仕事を持つために、
ワーカーとして地道な精進を続けていたと思う。


ずり圧もそうだが施術全般の研究には生みの苦しみがある。
耐えかねて志半ばで他の業種に転業なさる方が多い。


だけど生みだしたあとに人のために奉仕する楽しみがある。
社会生活を送る上でそんな楽しみを感じられるならば幸せ。


そんなことを同業者の方とお話できるのもいい感じですよ。^-^)