居つきのない意識と姿勢

禅と動く禅とも呼ばれたりするフェルデンクライス・メソッドを実践する
2007年度にお通いいただいていたお客様が
フォローアップのためお越しいただきました。


粛々とワークを進め、
最後に立ち姿勢の確認。


デジカメで撮影した姿を参照しつつ、
もうちょっとこのようなイメージで立ってみてはどうでしょうと提案。


素直にお客様の体は反応してくれている。
『中心軸感覚』や
『地面にかかとをもくねじをねじり刺すように入れて』など説明していく。
説明を受けてイメージできても体でそれが表現できないものです。


大脳で情報を受け止めて考えると定点的な意識となり、
ひとつの部分を意識すればもうひとつのポイントをわすれるもの。


沢庵和尚が著した不動智神妙録では、
千手観音がひとつの手を動かすとき。
一本の手を動かすことに集中しすぎ
他の999本の手が動かない。
それではいけないと申します。
一本の手に意識が居つくことなく
千本の手に同様に意識を配り動かす。
不動智神妙録は柳生但馬守宗矩に書いた手紙文です。
心を止めれば迷いが生じ相手に打たれると語ります。
ついては放心を求めていくことを求めていきます。


複数のポイントを短時間で説明されれば
前の説明を順に忘れていきます。
今の説明だけに意識を集中する居つきです。
居つきが体をぎこちない動きを強いて、
軽いわけのわからない状態へ誘います。


ひとところに居つくことのない意識で
対処即応の不断の連続があればよい。
とらわれのないことが大切です。
お客様は禅を実践なさる段で
とらわれないことの大切さに気づいていたそうです。


私が立ち方の説明する意図を受け入れて反応して
みるみる立ち姿を映す写真がよくなってきました。


姿勢には形があります。


姿勢とは「姿の勢い」と書きますよね。


崩れれば不安定になり
整えば勢いが周囲に立ち上ります。
彼からはすばらしい姿の勢いがよく現れていました。
姿勢から体の内外へのエネルギーの代謝が見て取れるかのようです。
彼の写真を見ていただければ私のいう意味を理解していただけるでしょう。


職業柄、
姿の勢いについて人一倍敏感に反応するため、
みるみる姿勢を変えていかれるその柔軟な心に驚きました。


なかなかできることじゃない。


禅は身体にいい。
実践すればじわじわとわかってくることと思います。


そんなところからも禅の面白みを感じ取らせていただいた一日でした。



今『禅と脳―「禅的生活」が脳と身体にいい理由』という本を読んでるんですけど、
興味が尽きないでね!禅と脳―「禅的生活」が脳と身体にいい理由