杉田玄白の「養生七不可」


日本の西洋医学の大貢献者、杉田玄白


私は杉田玄白のお墓参りをさせていただいたことがあります。
墓所は東京都港区愛宕の栄閑院。
歴史を感じるたたずまいの小さなお墓です。
墓所入り口の薬師如来が印象に残りました。


杉田玄白は、
次のような養生についての箇条書きを残しているようです。


「養生七不可」
・過去のことをくよくよ考えてはならない
・先のことをあれこれ思い悩んでもならない
・呑みすぎ、食べ過ぎをしてはならない
・怪しい食べ物は口にするな
・病でもないのに薬を飲むな
・体力に任せて度が過ぎた性交をするな
・怠け癖をつけてはならない


この「・過去のことを〜」も「・先のことをあれこれ〜」も
心を曇らせず今を大切にというメッセージがあるのでしょう。
気の持ちようを明るくすることが養生には欠かせないのです。


東洋医学では、
精神状態に基づく病因を七情といいます。
七情は「喜、怒、思、憂、悲、恐、驚」の7つの感情のことです。
七情が長期にわたるストレス状態や強いストレスを被ることで、
病気になるんですよ、といいます。


体の内側からの刺激なので、臓腑を、直接傷つけてしまうのです。
臓腑の気血の流れが乱れることで、病気を引き起こします。


七情と関連する臓器の対応は次のよう。
怒れば肝臓(胆)を、喜べば心臓(小腸)を、
思い悩めば脾臓(胃)を、悲しめば肺(大腸)を、
恐れれば腎(膀胱)を傷つけるといいます。


「過去のことをくよくよ悲しむならば肺や大腸が傷つきます」
「先のことを思い悩めば脾臓や胃が傷つきます」
ということなのでしょうか。


杉田玄白が、
養生に欠くべからざるものの真っ先に、
ストレスをためるなと諭す様子は昔も今も変わらない。


余談ですが、
東洋医学では、
体の外からやってくる外因の問題も起こることがあります。
寒いとか熱いとかの気候が邪気もそのひとつでしょう。
他にもさまざまな邪気と呼ばれるような外因があります。
外因の邪気がいくつも足され、それに内因を足し
そして現在の病状がでてくると考えています。


折り重なった邪気のひとつひとつを分析して、
ひとつひとつのバランスや様子を観察します。
それで有効な対策が打てるようになるのです。


邪気が重なっておこる病気がある。
それを改善させていくには、
その折り重なった邪気を薄皮を剥がすようにしていくことも大切なんでしょうね。