主訴の裏に潜んだ大切なリリース・ポイント

先日募集させていただきました”お試し1回コース”。
本日、その初のお客様。m__m


腰が気になるのです、との訴えです。


主な訴えは左側腰部のクサビ状に突起したしこり部が痛みます。


このしこりをリリースすればよいのでしょうか?
痛みがあるときはその痛い場所に目がいきます。
直感的に痛いところに目が向いてしまうのです。


ですが多くのときは腰部の主訴が痛みがあるのは確かですが、
その部位を緩めるにとどめては、また同じような状態になる。
それを繰り返す方もいますし、
よくなると信じて解いたはずの腰部が、
かえって悪化してしまうこともあります。


単純に主訴を緩めればよいわけではない。


それはどういったことなのでしょうか?


たとえばですが、
膝を痛めてしまった人がいたとします。


しばらくすれば治るだろうと考えていました。
痛みがあったが、その左膝をかばいつつ、
少し足をひきずるような感じで歩いていく。
日常生活をするにも、多少不自由。


そのときに知らず知らずのうちに、
腸骨が前に傾斜していく。
そして骨盤が左右のバランスを崩したときに、脊椎が側湾していく。
その側湾がもとで首が痛み出し呼吸が浅くなり首の筋肉を固めたり。


次のような流れの順序があるわけです。


(1)膝→(2)腸骨の前傾→(3)脊椎の側湾(腰痛)→(4)首の傾斜・首の痛み


膝の痛みは、
急性の痛みであればしばらくすれば収まるものです。


膝の痛みがおさまっても完全に元通りに回復したわけではないときがある。
痛みが低くなるよう体の使い方を無意識に工夫している。
必死に患部が痛まない体の使い方をしてしまうと、
それが強く印象に残るようになり神経が覚えます。


手続きの記憶が働き、
自動的に複雑な患部をかばう動作をしてくれます。


それが膝の痛みが消えたあとも残ってしまうと、
患部をかばうよう体を使って体を歪めることに。
そのような動作を無意識のうちに身に付けます。


それを私どもは客観的に観察するのに慣れているので、
その方の姿勢や動き方のパターンから気づいています。


このようなときには一見すると”腰痛部”が痛いのですが、
その土台には腰痛の前に(1)膝(2)腸骨の前傾が先行して存在しています。
そのような話の流れがあります。
この下地がなければ腰痛が起きなかったわけです。


ここまではなんとなく理解出来ると思います。


積み木を下からひっとつずつ積み重ねるときに、
平らな積み木をひとつずつ積み重ねたいのに、
途中で三角形のような傾斜がついた積み木をいれると、
すべりおちやすくなったりグニャグニャに積む感じになります。


それが腰部におきているわけですから、
下半身の土台部が整えられないと、
腰部を含めた胴体を正しく積めません。


人体とは重力に釣り合えれば信じられないほど軽く感じる。
骨が効率的に体を支えれば、骨は疲労しないから楽ですよ。
重力に沿わない並びになれば筋肉が過剰に使われる場ができ脊柱が側湾する。
つっかえ棒のようなしこりを体の内部に作って支えようとするものです。


ならば土台となる下地を調べることです。
患部より下に問題があることもあります。
慢性化した場合には患部より上に問題がでてくることもあります。


主訴がその体のバランスをずらす土台ならばそこをとけばいいのです。
ですがすでに炎症が出ているところは、
その周囲のもっとボリュームたっぷりの問題部分に引っ張られて
牽引痛がでているようなことが多いのですね。



だから私どもが
主訴を見ないで、
ほかばかりを気にしていることもあります。
「なんだかわかってくれてないよな〜」
というように感じられることもあるんです。


広域を把握して患部との前後の
関わりをみないとなんともいえないのです。
ですがだいたいはもう立位姿勢をチェックした時点で、
どこに問題があるかの当たりをつけています。
なのでその当たりをつけた部分を確認しているのです。


体の状態を見て耳を傾けているときは、
何もしていないように見えるのですが、
そのときはもう私の頭の中ではハードワークをしているようなものです。
この頭の中のハードワークこそ骨が折れる作業。


そう考えていただければうれしいことです。^-^)


根っこの深い源流をたどればたどるほど、
大変な作業をする選択となるわけです。
主訴以外の源流をみつめる選択は、
お客様に対して多くの作業をしないといけないことを告げることになります。


それは告げられる方も大変だと思うこととなるでしょう。


ですがここを丁寧に伝えていくことが大切なのだと思う。



痛いところに向きがちな意識をもう少し視野拡大できたとき、
体の中に潜在している可能性が膨らんでいくように思います。


ここが私どものもっとも提案させていただきたいところです。


ただそのお客様は海外に長期にわたり旅立たれる直前でした。
ちょっとびっくりしましたが。
がんばってきてほしいな、と思いました。^-^)