系統建てた学びの可能性

系統だてて学べるかどうか。

それは学ぶ側にとりまして
学び続けられるかどうかの
分岐点となることがあります。


今日、バレエをなさっておれるお客様と話をしていました。


系統だててバレエを学ぶことができるようなシステムがあれば、
バレエの上達がしやすくなるのではないか?と考えるのですが、
とおっしゃられていました。


フットワークよく様々なバレエスタジオに訪れては、
そちらの先生のよいところを学んで自分の力を育てる。
昨今では、体を動かすボディワークなども学びて、
現状の自分の実力を向上させることに前向きです。


そのような経験をしてきた上で
日頃感じておられることなのでしょう。


海外には優れたバレエ教育システムがあります。
私も多少はそれらについて書籍やそちらでの学んできた方からの
体験談などからお話を聞いています。


それは本格的なバレエ学校のことになってしまうのですが、
系統だてられたバレエを習うことができる環境でのレッスン。
階段を一段ずつ確実にステップアップして高みにすすめるようなプログラム。


そのようなものを提供してくれるスタジオが必要ではないか。
海外のプログラムをそのまま取り入れるのはできないでしょう。
ですが学びはじめのものにとりましては、
系統だてられた技術の習得ができると継続しやすいところがある。
系統だてられるということは、
バレエの技術習得をするためのノウハウを、
一度、すべてリストアップして膨大な情報に初心者向けとかプロ向けなどと
優先順位付けや選択をするような編集作業が必要となる。


そのようなものがあれば
「30代からバレエを始めた方でもムリなく技術向上が図られるだろう」と。


そしてそのお客様は、
70歳ぐらいには自分でそんな系統だてられた本を出せればな〜と、
夢を語っておられました。^-^)
応援したくなりますね。


バレエについては、
私よりもその方のほうがずっと詳しいと思います。




ちょっと話がそれるのですが、


中国拳法でも教授法が系統だてられたかどうかが、
中国拳法の流派の伝播の広まりにも関係したことがあるようです。


書籍『達人 第参巻 中国武術 知られざる実戦世界 P47』を一部抜粋しつつ語らせていただきます。


「岳氏八翻手」という中国拳法がありました。
大変に優れた武術であったそうですが、
北京における伝承は、残念ながら衰退したそうです。


その大きな原因は、
岳氏八翻手の教授法は、いろいろな技を実際にかけて、
習得させていくというものだったそうです。
才能ある学生は確実に実力を育てられた反面、
系統立てて学べないため、
武術経験が少ないものはなかなか練習続けられなかった。
という理由が挙げられます。


素晴らしい拳法であるのは確かであるが、
系統だてて教えてくれない。
それでは毎回練習をしに来ても、
どのように取り組めばよいかがわからない。


つまり初学者は経験値や知識が浅い。
だからそれらを少しずつ理解しつつ
じっくりと確実に成長していきたい。
一足飛びに成長できるようなことは難しい。


いきなり小学生に大学の講義に参加させるようなもの。
小学生はやはり小学校→中学校→高校→大学という
ステップで必要な知識や知恵を蓄えて大学の講義が理解できるようになる。
そうであればムリない勉強ができるため、
途中でドロップアウトする人数も少ないでしょう。


それに対して著名な中国武術のひとつである「八卦掌」を創り上げた董海川という人物も、
ほぼ同様の技をかけたから学び取れという教え方をしていました。
つまり系統だてられてはおらず学びづらい習得方法だったのです。
ただ董海川の弟子たちが協力しあって
多くの技術を八卦の理に基づいて整理をしました。
整理されたことにより学びやすさが格段にあがり、
八卦掌がひとつの門派として確立して、
世界各地に広まる有名な拳法に発展できたといいます。


中国武術は百花繚乱で非常に多くの武術流派がありました。
内家拳というくくりで
太極拳形意拳八卦掌」と3大拳法が知られています。
八卦掌もそのなかのひとつに掲げられている理由としては、
大変に優れた実践的な武術であるだけでなく、
系統だてて学ぶことができるように噛み砕かれた教練があり、
初学者も学び取りやすく世に広まるきっかけとなったのだと推測します。