施術に道具を使う


私が施術をするとき。


「手技」という言葉を使いつつも、
本当はいろいろと道具を使っています。
手だけで行える技もいいですが、
武道で言えば杖道や弓や刀などがあってもいい。


私は、
高価なワークベッドなどは利用していません。
どれも比較的安価に手に入るものばかりです。
だから私の道具といえば、
誰でもすぐに用意できそうなものです。


ただしそのようなものであっても
手持ちのものをできるだけ機能的に利用して、
施術の助けにするような工夫を凝らしています。


施術をするときには、
床にヨガマットを敷いてあります。
うつ伏せでは上前腸骨棘の下にタオル。


滑り止めです。
こちらがなければ圧をかけても体が逃げられてしまいます。


あとはタオルを数本、利用しています。


こちらのタオルは折りたたまれたり丸められたり変化します。
必要に応じて形や硬度を変える。
エッジを立ててピンポイントを狙ったり、
ソフトに当たるように面を広めたり。


手では対応できない面の接触圧もあります。
それを叶えるツールとして有効利用しています。


道具という手の延長物を生かせば目的がかなえられるものです。


たとえば、
粘土を利用して繊細な花を作ったり
人物のリアルなモデルを造るときに
様々な細工をする針や細工棒や丸め棒などを使い分けて作ります。


自分の指先だけで作り込もうとするならば、
ミリ単位のディテールは難しいのです。
作業工程をみつめていけば
このような器具があったほうがいい。
それは作品に結果として現れます。


だから道具を利用するのです。


ですが道具というものが、
ちゃんと自分の手の延長線上にできて、
道具がモノに接している接触面が自分の皮膚のように感じられねば、
道具を使いこなせているとは言えないでしょう。


道具にも高い道具ばかりが必要というわけではないと思います。
確かコミックのゴルゴ13の主人公・デューク東郷は、
自分の道具を細部まで調整していたと記憶しています。
自分の手に馴染んだものにするカスタマイズが大切ということでしょう。


自分のすべき作業を吟味していき、
必要なものを柔軟に取り入れる。
そのような姿勢も大切だと思います。