エクササイズでの過矯正とは、
矯正しすぎて体調に悪影響を及ぼしたということです。
その例でいいますと、
たとえば矯正テクニックにマッケンジー法というものがあります。
医師や施術者が詳細にチェックしながら施すならば危険を回避し
安全に矯正動作をすることができるものですよね。
マッケンジーエクササイズ腰椎という専門書があります。
そちらでは矯正動作をさせる前に
『腰椎評価表』というカルテのようなものを作成します。
それをもとにして綿密かつ慎重なプランを立て対処する。
それが私には安全性を確保した普通のことと思うのです。
ですが身体の知識が不十分な方々にもマッケンジー法の一般書レベルの本やDVDが出まわり、
そちらを参考にしてトライしてみようとする方々もおられるでしょう。
そんなに体の状態が悪くなければ、
そうなされても目くじらを立てることも必要がないでしょう。
実践してメリットを享受できることもあるはずです。
ですが次のような場合は違ってきます。
自分が相当に腰部にダメージが蓄積しているとも気づかずにか、
または気づいているからこそすがるような気持ちでやってみる。
そのようなときに、
やりすぎて過矯正になりやすいものです。
そして椎間板ヘルニアの診断をされた方が、
自宅でマッケンジー法の一般書を参照して
挑戦してみたら症状が悪化したというメールがきたことがあります。
それも数通も。。。
中には腰椎椎間板ヘルニアの手術が早まったと絶望の淵に立たされておられました。
ほんとうにお気の毒なことであるとお察しいたします。
私なら、すでにダメージを受けて硬化した筋肉は、
組織が脆い存在となっているということは承知しています。
よりひどい状態にすることなんてたやすい危険な状態です。
だから冒険のようなハイリスク・ハイリターンのようなことは避けます。
治す以前に壊さないことが大事なポイントなのです。
そこの見極めが臨床経験の積み重ねが必要なところ。
そうしないと簡単にやりすぎの過矯正に陥るのです。
つまり普通ならば問題がないだろうという刺激を与えても
慢性的なダメージを体内奥に蓄積している人の体は壊れる。
すでに深層筋部分まで硬化しているなら、なおさら危険。
動かしていく方向が悪ければ、
ささいな動きをしただけでも過剰な刺激となります。
矯正をしようとする刺激の量が多すぎては危険なのです。
体のバランスを全体的に崩してしまうほどのダメージが
後々までのしかかってきます。
それはたとえば次のようなときに、
後々まで尾を引きことがあります。
すでに体内にできたしこりに頼り切り体を支えている。
しこりがなければ体を支えられない状態に陥っている。
にもかかわらず、
そのつっかえ棒機能を持つしこりを不用意に抜いたため起きることがあります。
そうすると全く別な場所に、緊急避難的にしこりを作って支えていこうとする。
そうやってそれが体のなかに複雑なしこりの分布を作りだすのです。
このような２次的にできたしこりは、
ときとして容赦無く動脈や気管や神経を圧迫して
機能低下を深刻化させることがあります。
かなり厄介。
そのような複雑な部位のリリースは、
相当な腕を持つ先生でも難しくなる。
私は個人的に、
相当に施術組み立てを綿密に考えて結果を出します。
闇雲に対処して体を治せるような奇跡はありません。
それが当たり前なのです。
本業にしている者が慎重なのは当たり前と思われるかもしれません。
だったら、
本業にしていないものが慎重さを欠いてやってもいいかといえば、
そういうものではないはずですよね？
本業の私ども以上に施術についての基礎知識を持ち合わせていない。
だからこそ判断に苦慮する所が出てくるのです。
そういったときこそ慎重さが要求されるのです。
エクササイズ関連の書籍のほとんどには、
症状がある場合には医師に相談をしてからしてくださいとかかれているはずです。
ですがこれをやれば痛みがきえてなくなると喜び勇んでいるなら、
そのような医師への相談をするでしょうか？
結果的にこの一文が入っていると、
本書ではちゃんと受診を勧めているのにもかかわらず
『自己責任で』医師に診ていただかなかったんだから
あなたがそうしなかったのが悪いのですよね？
といわれてしまいそうです。
ちょっと無責任そうな感じですが、
そこは書籍というメディアの限界。
マンツーマンでのアドバイスは期待できないのです。
そのようななかで、
最悪な結果が出たあとで著者に食って掛かっても拉致があかない。
自己責任と考えそのものがよいかどうかを判断する目が必要です。
シビアな言い方かもしれませんが、
自分の身を守るには慎重になるしかありません。
もしかすると危険性があるかもしれないなと感じられるときには、
ネットで関心あるエクササイズを実践している方のブログなどの
体験記をチェックしてみてから挑戦してみてもいいでしょう。
多くの場合にはデメリットを感じた方の書き込みもあるはず。
それに自分には負荷が大きそうだとやってみて直感したらば、
即座に中止をすることです。
できればそのような慎重さを持って、
一般書のエクササイズものを読んで。
そうして事故や想定外の過矯正に苦しまないようにしていただければと願っております。
