一般に液体や気体が細い部分を高速で通過するとき、
その流れが乱れ、渦が起こります。
血液が狭い血管を無理に通ろうとして、
血管壁に強く衝突したり、
血管の分岐点で激しく渦を巻いたりするようになるのです。
この渦が振動を引き起こします。
血管音はまさにこの渦が引き起こした振動を皮膚を通して、
聴診器で聴き取った音なのだそうです。^-^)
聴診器で聞いてみると、
「ざーぁ、ざーぁ」という音が聞こえてきます。
皮膚の外側の世界では
観たり感じたりすることができない世界です。
ですがよーく皮膚の下の血管の内側を覗いてみると、
血管の分岐点では勢い良く渦を巻いている。
渦は体の内側の血管内で無数に発生してクルクル回っています。
私はそのような体内世界をイメージして、
まるで渦が独楽のような勢いで回り続け、
ジャイロ独楽のように自立する力の助けになるような気がします。
小さな独楽でも無数に集まれば、
ひとところへエネルギーが集められ利用できる。
人体のなかにある独楽の軸になる独楽軸。
これらを束ねるのが脊椎側に頭側から尾骨側までのびている軸です。
この胴体の独楽軸が構造的に正確に位置し並べられなければならない。
そして小さな独楽が回ることができるような緩みを創りだして空間を設けること。
これが体の内側にあるジャイロ独楽のような渦をひとまとめにする初期条件です。
太極拳の套路を舞う老師は
静かに立つだけでも周囲に張り詰めた空気感を醸しだす。
そんなところに私は単純に構造物が安定して立っているだけではなく、
その内側で無数の渦がめぐり血管内で衝突をして振動を起こしたりしていることまで、
ききとれているように思えます。
そして立つための力にそのスピンを利用しているし、
ときには力を一気に爆発的に出すときにも使うのです。
筋力にて体を支え立てるような概念を離れたところで、
新たな力の源を得るような冒険のように思えます。