深層の筋膜とは内臓臓器のこと

内臓のコリについて。

オステオパシー系の施術テクニックのひとつに、
『メカニカル・リンク』という手技があります。


こちらのテキストを参照します。


すると「筋膜の解剖学」という章で、
体をいくつかの層で分けています。


・浅層の筋膜(筋骨格の生体力学系
・深層の筋膜(内臓臓器の生体力学系
・硬膜(頭蓋仙骨の生体力学系
・表層の筋膜(生体力学系


としてあります。


私に取りまして興味深いところは、
・深層の筋膜(内臓臓器の生体力学系
という考え方でした。


深層の筋膜というものは、内臓臓器のことだというんですね。


私の意識では、内臓もリリースするための重要な箇所ですから、
大切なリリース対象となっています。
ですが”深層の筋膜”というと、私が考えていたのは、
表層筋と深層筋の深層筋のところについてというイメージと
”深層の筋膜”というのがごっちゃになっていたのだと感じました。。


「そうか、深層の筋膜というと確かに、
一番深いところに位置する器官とは内臓。
ここが深層の筋膜といわれてしかるべきだよな。」


そう思うと実にすんなり納得できる。



では
・浅層の筋膜(筋骨格の生体力学系

・深層の筋膜(内臓臓器の生体力学系
の両者の関係を考察してみましょう。


そうすると表層の筋膜といえる筋骨格の生体力学系
こちらが内臓というアメフラシさんのような
ぶよぶよしている軟体生物をいれるボックス。


アメフラシは小さな水槽に入れられて身動きができないようにしておかれると、
早々に生き絶えてしまうといいます。
あまり動かなさそうな動物に見えたとしても、
自力動作でしっかり動く。
その動きが自分の内側の血の流れなどの代謝を促進させてくれる。
呼吸も助けてくれることになる。


それが動けないような状態ですと、呼吸がしづらく血が巡らず死んでしまう。


実態としては体の中の内臓は、このアメフラシさんと同じようなものです。


ある程度の動ける幅がほしい。
横隔膜や骨盤底筋の上下動によるマッサージ効果を得て、
胃や肝臓などは機能を効率アップさせてくれるわけです。
それに腹壁の前の腹直筋や腹横筋などが柔軟性を讃えて
そして腰後ろの浮き袋のようにふくらませられる部分も
十分に呼吸動作に則して動きだすようにする。


そうすることで消化器や泌尿器、そして女性ならば内性器などが、
腹腔の中で狭さを感じないようにして働き続けることができるのです。





ところがもし腰部が硬かったり、腹部の腹直筋等が固くなったり、
横隔膜や骨盤底筋の動きが悪くなっていたり、
そして姿勢が悪化していていれば
そのような固まった腰や腹が腹腔内部を狭くさせて
圧迫を加え続けるようになってしまうことがあります。


そうなると窮屈に抑えつけられた内臓は、
どうなるでしょうか。


多くの場合、腰部が硬くなったり肋軟骨部分が硬くなりシャクレ上がれば
横隔膜の動きが悪くなる。
その横隔膜という強力な上下に動き内臓を一所にいさせないようにさせる
かくはんする機能が発揮できなくなると、
多くの場合では内臓の全体的な下垂が始まります。


そうなると横隔膜下のところにガスが溜まったり、
胃の中にもガスや水が溜まりだして下部肋骨を押すとゴボゴボとかぐーぅとか、
様々な音が聞こえてくるようになる。

そのような内臓の全体の下垂が起きれば、
たとえば女性の場合は、子宮が後屈して、
その上に重く他の内臓が被されば子宮は潰されてしまう。
その潰されたところの多臓器との密着度が高くなり癒着すれば、
おそらくのこと子宮内膜症のような状態になりやすくなるでしょう。



そうなると、
・浅層の筋膜(筋骨格の生体力学系)が硬化萎縮して腹腔を狭めたり、
内臓の置き場所を骨盤の上から前にはみ出させてしまうことがあれば、
・深層の筋膜(内臓臓器の生体力学系)に物理的な腹腔の狭められて、
内臓臓器の癒着が進みやすくなるというタイムラインの流れが見て取れる。


つまり筋骨格が長期にわたり固く萎縮してしまったりすると、
内臓という柔軟力が高い器官といえども癒着しだします。
そしてそのような内臓も石のように硬くなったり冷たくもなってしまう。
筋骨格が生体力学系が正常機能しゆるゆるな状態であれば、
内臓もゆるい快適状態でキープしやすくなるんですよね。




筋骨格の生体力学系な構造体としての合理的な支える構造が甘くなれば、
その甘くなった部分に関連する内臓臓器の癒着が起きていく。
そのような関係性の流れを意図的に観察するようになると、
筋骨格の問題が内側の内臓にどのような影響を与えるか想像がついてくる。
そうすることで内臓を緩めたいときには関連する筋骨格部分をゆるめたり
逆に筋骨格部分が硬すぎれば関連する内臓部分を緩めて筋骨格をゆるめる。


そのようなことが計算することができるようになる。



あまり内臓の癒着と言われても、
ぴんと来ないかもしれませんが、
長年の内臓の疾患で開腹手術をしたときには、
すでに多くの内臓各所が癒着しているため
手術では患部を治療するために関係する内臓の癒着部分を剥がすのに
多くの時間をかけられると聞いたことがあります。


患部の治療については、すでにどのような手術をすればいいかは
MRIなどで位置をみたり患部をしらべていたりしているので解る。
だが内臓同士の癒着については、
開腹手術をするときにお腹を開けなければわからない。
それで手術時間が予想以上にのびるようなこともあります。



つまり内臓同士の癒着という部分が深層の筋膜だから、
これらの手術のときに剥がさなければならないようなものを
カニカルリンクではリコイルという手技でリリースを図る。


内臓臓器を深層の筋膜と呼び、
当然に対処しなければならないものだという姿勢があります。




実に興味深いことですよね。