施術家選びの難しさ

最近、驚いたことがありました。


施術でとある症状を持った方を見た時です。


他の施術院に半年以上、通われている方です。


イレギュラー的に、一度だけ施術をさせてもらったのですが、
状態としては、かなり大変な状況とはいいましても、
以前に同様の状態の方を施術で改善させていった過程があります。


そのときに何をどうやったのか。


たいていは臨床面については経験値が高いかどうかということで。
経験値を高めるというのは日頃にどのようにその状態を把握して、
試行錯誤をしながら手探りで探っていくということの繰り返し。



臨床の本に、
この場合にはこのようにすればよいと書かれている一般例もあるのですが、
それにそぐったものばかり、目の前に現れるのでしたらよいのでしょうが、
そうともいかないのが臨床なんです。


本を読んでも、見当さえもつかない。
つまりどこにも載ってないのですね。




そうなると私は寝る前日の夜に関連する資料を調べ、
夢の中や、
朝のまどろみの数分で、
その資料を元にした施術アプローチに昇華。
実際の施術で活かしていくという方法です。


そうやってアプローチして、
最終的に完璧とまではいかなくとも、
十分な成果をえられたものについて、
当てずっぽうに押したり引いたりしてるわけではありません。


状態を見透かして、それにそぐったから結果が出たのです。
そのようにしての見透かしていく観察眼は、
他の同様の状態であるお客様の体をみると
直感的に「あの誰々さんと同じようだな」とみられるため、
ゼロからの出発ではなくなるのです。
この時点で、山の裾野の1/4程度は登っている感じがある。


一度でも、最初っから最後まで、
その状態をつぶさに立て直した経験が臨床的にあれば、
頭の中で、あれはこう工夫したほうがベターだなとか、
こんな捉え方でも解法は得られるのではないかとか、
正解を自力で引き出したら、
様々な他のやり方のバリエーションにも気が回る。
そうやって、次にはもっと賢く解答を出していきたい。


そう考えて取り組んでいくので、
常にやり方は変わりるものです。



そのときに他の先生がしようとしていることで、
別の登り口から登ろうとしているとき。
そういう賢いアプローチがあったのか!
と一本とられたようなきがすることも。


ただ、同時に、
解けないような方法で解く人をみると、
それじゃ解けないんじゃないのと思う。


それは別に、その施術者に対して、
何らかの悪意があるわけではない。


それに自分が施術のすべてを知るわけでもないので、
自分の見識不足から来る誤った判断かもしれないが。



ですが直感的に、
この人、この施術者の方と思うようなことがあると、
大方がそのようなことに陥っている。


その方の症状を聞き及ぶと、
施術を受けても体の筋膜のガードがきつすぎて、
施術の作用を跳ね返す状態。


これでは数年かかってもこのままでしょう。
いや、状況は心身の硬直が強く拘束力が強く深層筋が固まるのが早まっているようなときは、
施術を受けていたとしても、代謝力は復活できずのままで、
徐々に下降傾向へと移行することとなるでしょう。


その方は、
仕事をすでに長期にわたり休職しています。
休職してもやむなしの状態だということは、
MRI画像を観せていただいて納得します。


つらいだろうと、本当にお察しいたします。。。



私がかつて他のお客様でアプローチして改善できたポイントを、
その方の場合も当てはまることを確認してアドバイスしました。


それとなく「ここ、解いてくれませか?」と、
現在かかりつけとなっておられる先生にお願いしていただくことに。



そして、そのときにどこの施術院に通っているのかをお伺いしたのですが、
そのとき耳を疑いました。



私よりも数倍も多くの臨床例があるし、
業界的にも信頼性が高いところだった。


私がもし今後、自分の身が危うくなったら、
一度はお世話になってみたいなと思ってた。


そのように私も信じていたところでした。



そのお客様も病院関係に従事しておられるので、
一般のお客様以上に体のことは詳しいでしょう。



私に伝えた施術を受けてきたときの状況説明も、
医療的な情報量がありましたので
内容はとても把握しやすかった。




その方が通われた施術家のことを聞く前は、
施術家と申しましても、
誰でもがそう名乗れば素人もなれるものですので。
ひょっとしたら、その手の先生どころなのではと、
勝手に判断していました。


それならば、
他所を選んでくださいというつもりでした。




それゆえの虚をつかれたほどの驚きです。




あまりに驚いたので、
通常は他院について、
ほめることはすれども、
いかがなものかというのは、
絶対すべきではないと思っています。


それは、つまらない話になってしまうからです。



ただ、このたびのこの方のお体の状態は、
体の状況的に繊細にばかりアプローチして解けるものではないように感じました。


3度の手術を受けておられて筋膜層が寸断されている。
術後の縫合部分がケロイド状となり盛り上がった内部がある。
それを、なめしていくようにしていくずり圧をかけていく。


それをしていかないと、関連部分の関節をいくら緩めても、
それに患部ばかりをアプローチしても、
施術を受けた数時間後には、また元の硬さへと戻るのです。
そして不用意な部位をぐらつかされれば、
施術を受けたときの反応は反動として辛いものが出てくる。
それは瞑眩反応なんかではなくて、
傾いた屋台骨のつっかえ棒をなくしてしまい、
筋骨格系に新たな負担を強いたり、
同時に脈管系や神経にあらたな圧迫を呼ぶこともあります。


だからそのような筋膜の層を、ある程度、しっかりと解ける人が
先に下準備をしておくのです。


次に現在お通いになられている繊細な施術法を得意とする先生が、
仕上げをなさっていけば連携がうまくいくのかもしれません。


私の頭の中ではそのようなシナリオが浮かびました。



間違いなく施術界でもトップクラスの実力を持っている先生。
ただ、それを活かせるのも、ケースバイケースだったのです。


それについて、改めて気付かされました。




施術家ごとに、得意とする施術法は違います。
なかなかオールマイティーとはいかないです。


私も不得手な分野はあります。


正直に申しまして、そうとう良心的な先生でなければ、
自分としてはあなたのような状態を解くのは不得手で
他の先生のところへ行って下さいませんかとはいえません。


そのようにいう先生方も生活がかかっていますし、
プライドがそれで傷つくことともなりましょうし。


私は無理だったり難しそうだったりすると、
そのような旨は最初に言っておかないと、
あとでお金を返せ!といわれるのも嫌で。


ネガティブな発言で言うべきではないと指導する整体学校もあるのですが、
私では荷が重いかもしれませんので、他に行くのも手ですよといいます。


ひとりのお客様を集めるのに、私どもはどれほど苦労を重ねていることか。^-^;


だからけっこう断腸の思いですが、それは相手のことを思えば仕方がない話で
大切なそちらのことを学ぶためのきっかけをいただいたと思うようにしてます。




お客様自身が、自分の体の状態をしっかり把握しきってから、
そちらを解放するのに適したコーディネートをできる先生を
選択していけるようにならないとというのは、荷が重いです。



ですが、そのようなことでもなければ、状態が改善できないときもある。



十二分に信用できると私が考えていた施術院を選択するときでも、
そうなんだと、痛切に感じました。



本当に、難しい問題ですね。