正常な肋骨横断面とかなり狭まった肋骨横断面

肋骨横断面歪み3-3.png


こちらの右下図は、
胸椎7番あたりを横断面で割ってみた図です。


左がかなり狭まった肋骨状態で、右が正常。


正常な右側は、中心軸はここだろうなと見当がつきますが、
左側の肋骨部分ではどこに中心軸を据えておけばよいかわかりません。


たとえば左側のような肋骨はめったにないんじゃないの?と言われそうですが、
アレルギー性疾患(たとえば呼吸器に関係する花粉症など虚が強い人)に気になる方で、
肋骨が狭めだなと思える方々のなかには、
かなりこれと似たような絵になる人もいます。


(そうでなければ反対に強い鳩胸になり、拡張して固定化された胸郭が動けなくなっていることもあって、
これまた呼吸器や循環器に負担をかける結果になるのですが。それは後日、解説するとして、、、)



では、なぜ花粉症のようなことになるのでしょうか?
下の図を参照してください。


肋骨横断面心臓と肺2.png


左図がかなり狭まった肋骨断面で、右図は正常な肋骨断面というのは変わりありません。
肋骨のなかに描かれている赤い立体物は「心臓」です。白い立体物は「肺」です。


観察していただくと、
右図では心臓も肺も大きさ的に十分ゆとりがありますよね。
心臓も肺も、綺麗に揃ったポンプとして働きます。
胸骨部分が肋軟骨部分の自由可動部分のお陰で大きく前後に動きますし、
肋骨自体も上下に動くことで肺や心臓を大きくしたり小さくするような
肺のポンプ力を助け、心臓を自らマッサージして調子を良くしてくれる。
良い感じの機能性を発揮できている状態です。


左図では心臓も肺も前後につぶされていることは、
正常な状態を基準として見比べていただければわかるはず。
なおかつ、部分的な強い肋間筋の硬直化、肋軟骨や胸肋関節の靭帯は硬く動きを失い、
かえってそのような萎縮した肋骨が、常に心臓や肺の圧迫をし続けているのです。
圧迫された心臓は形を変えて窮屈です。
肺もその形状の大きさの差は少なく呼吸の質がよいとはいえません。
たいていがこのような息が苦しい感じですと、
腹式呼吸がしづらいために肩で息をしようとする。
それで重心が臍下丹田からみぞおちや胸部中程まで上がってしまうので、
不安定なぐらつきが出てきます。


そして心臓の上に、ちょこんと乗っかている胸腺という免疫力を司る器官があるのですが、
その胸腺にためられた免疫物質は肋骨の開閉のポンプ力を利用して全身にT細胞というお薬を行き渡らせるのです。
ですが左図のようなかなり狭まった肋骨には胸腺からお薬を全身に排出させるようなパワーがありません。
それに脾臓という胃の裏辺りの臓器も免疫系になんらかの作用があると中医学でもいいますが、
それが腹式呼吸が苦手なために、こちらの機能も制限を受けるようなこともあるといいます。






では、どうすれば、いいのでしょうか?


といわれそうですが、右図のような理想的な肋骨になっていただけたらどうでしょう。


観た感じでも、シンメトリーに整えられていて、美しいですよ。



実際には、左図のかなり狭まった肋骨でずっと暮らしていると、
そのような制限のある呼吸機能や循環器機能でも生きてこれた。
だから「だって、普通に呼吸してるし、心臓だって脈打ってるから」となるのです。


なのでアドバイスできるとすれば、
騙されたと思って、一度、右図のような肋骨を体験してみてはいかがでしょうか。
そうなってみて呼吸の質や循環器の改善によるスタミナの向上など、
実感してみていただければ納得できるところも、多々あるでしょう。




たとえばバレエなどをなさっている方が、ピルエット(回転)をする際に、
肋骨の形状が理想状態でなければ回転がぶれて失速しますから。
バレエは基礎的な身体条件が、とても大切なダンスですから。
理想の型もあるのですが、
その手前に理想の体型を整えておくのも準備として大切です。
そうしないと綺麗に見えることはありません。


このことは、ボディワイズに通われているバレエをなさっておられるお客様が、
相当に繊細かつシビアに自分の体型の寸分違わず理想を求められる方がおられ、
しょっちゅう私がダメ出しされて、鍛えられました。
今だから言うと、とても、怖かったです。^-^;


お陰で、その方は肋骨の形状が変わってきたらピルエットが首を曲げて鼻を方向指示器にして、
進む方向を教えてあげれば、楽にくるくる回れるようになったんですヨォと喜んでくれました。


そしてバレエスタジオの友達に最近、姿勢がかなり変わって良くなったんじゃないのといわれたり。
肋骨の形状がよくならないと、肩甲骨がスムースに使えないため、
手の表現がぎこちないのです。
それも違ってきたんですね。



そしてそのお客様は、
花粉症が、例年は相当きつかったそうです。
ですがいまは、皆無まではならないまでも、
呼吸が楽になったしアトピーが出ていたところも消えたから、
花粉症のピークの時は朝からぐしゃぐしゃしていたのですが、
だいぶダメージが少なくてすむ自信があるとおっしゃります。


おそらく、私も、そうなるだろうなと、
今までの臨床経験からみて考えてます。





肋骨横断面歪み-3D 1.png



理想的な肋骨になっていただけたらどうでしょう、といいましたが。


そういうことを望んでも、
なかなかそこまでリードして行かれることは
ケース・バイ・ケースですが、私も相当難儀することもあります。


肋骨部分を安全かつ効果的に解く方法は、
私が読んだ本限定ですが、
相応に本を読んでいるにもかかわらず、
これぞというものはあまりありません。


ですが今のボディワイズ式のやり方は、
効果性については当社比ですが、
5年前では3年以上かかったことが、
5〜7回で収まるようになって来ました。


ただし本当に理想的な胸郭の状態を求めるとなると、
これからも私自身、より深くこの部位のリリース法を極めていかなければならないと思っています。