肝臓の重みに、勝つか負けるか

肝臓は右側にあります。
けっこう重いんです。


正常成人の肝臓の重さは体重の約1/50で、
個人差はありますが、成人男性が約1300g、女性が約1250g。


それだから体の中心から右側と左側を、左右に分けてみると重さの差が出てくる。
そうすると、その肝臓の重さが右側の腸骨が下方に押し下げる力があることが観察できます。
物質は鉛直線上に落ち続けている。


たとえば右側のポケットだけに1キロくらいある鉛を入れれば重くて右側に傾くでしょ。
ですが私たちはずっとその重りがおなかの中にあり続けているから、
そんなに強く関知することができなくなっているだけのことです。
重さがあるのに慣れ、右側が重いって気づけなくなっています。


実際に体の左右を真ん中から縦割りにしてみると、
右側の体のほうが重くなっているのです。


肝臓が重いため右側が沈み出す.jpg


つまり、神社の鳥居のような構造のラーメン構造として脚部をみてみると、
腸骨の上に左側から比べれば常にキロ単位もの重さがある肝臓が、
胴体を起こしている間中、下方へ落ち続けてその重さを受ける右側腸骨を押し下げています。


それが生理的に右側の脚部の使い方へと影響をしている。
私は、右側が人は重いんだよとが書かれている生理学の本を見て、
なぜ、右腸骨が下へとさがる人が圧倒的に多いのだろうかという疑問が解けました。



だからこれが四つ足の動物なら、
ここまでくっきりと肝臓の重さが影響されることはないのでしょうね。



だったら、、、脚部を足の骨と腸骨と仙骨からなるラーメン構造ではなく、
鳩尾裏側の大腰筋の上方の付け根部分から左右に吊ってあると考えてみる。


脚部のラーメン構造とツリー構造.jpg



そうなると構造の認識が違ってきて、
体の扱い方も変わってきます。



中央に位置する脊椎から左右に別れる大腰筋。
つまりここを脚の頂点と考え、
その下を東京タワーのような
鋭角な頂点を持つ三角形のツリー状と考えるわけです。


鳥居状のラーメン構造と比べると脚部の長さが格段に長くなっていることに気づくでしょう。
それだけ多くの部位を脚として協力して使えているため
パワーも大きくなりますし、
なにより脊椎という体の芯から大腰筋は起点があるので。


それが鳥居状のラーメン構造では、仙骨をコントロールすることが難しくあれば仙骨の意識は抜け落ち、
鳥居のようになっている形状にもなりません。
右足と左足の大腿骨と脛骨腓骨という縦に伸びた骨とそれを囲む筋だけが足だと認識してしまいます。
そうなると2本の縦に伸びた柱がグラツキながら立てられているような安定感のない状態です。



そこから抜けだして東京タワーのようなツリー構造のように脚を使いこなせれば、
腰の位置が一般的な意識とは別の位置になりましょうし、
それを作るためには骨盤の位置と胸の位置をどう捌くか。
つまり下丹田中丹田にあたる部分を五輪の塔の如くに
正確無比に積み上げ軸を通す感覚が必要になります。


そうするためには市販本では収まりきれない緻密な設計図が頭に収められていること。
その設計図通りにものを作るにも、
一番目をクリアしてから二番目にというような手順があるようですね。
まずもって経験的に難しいのが、その一番とか二番とか番号を正確につけることです。
それができれば、できるのは筋膜の動きの制限がなければ時間の問題かと思います。
ただ、概要図をわかっていても手順が違えばなかなかたどり着けないようです。
それに、こここそ個人の様子ごとに千差万別ですので、
自分はどうだろうかと分析をされていかれるようセンスが試されています。
そのところは注意が必要なのかなと思います。



ですがいったんたどり着くと、
そうなると、あら不思議。^-^



中心軸の芯が通る力で骨盤底や横隔膜などの地面に対して水平をキープする力が強まります。
他の隔膜という地面に対して水平になる部位がいくつかあり、
それらも水平になろうとしてくれる。
ちょうど体全体を胴体中央部から地面を支える脚だとして脚の長さを長きものと大胆に活用させ、
胴体中央を大変に有効に地面に当てることができている。


そうなると右側腸骨に肝臓の重しがのしかかって腸骨を下降させようとしても、
まったく動じずに骨盤の水平を保つことができてしまいます。



そうやって胴体を支える強さがなければ、
ラーメン構造的な意識から離れられない。
そのように感じます。



ただ、私が町中で通る人を観察していると、
このような状態に身体を置くことができる人はほんの僅かです。


かくゆう私も、まだまだそれを突き詰めるために、
日々、站樁のようなエクササイズで良い方向へ練り上げているところです。


大切なのは、
どこにいくかという方向性をミスらずに、
効率よく進むことでしょう。


ただ、実際にやってみなきゃミスっているかどうか、
わかるものではないので。
即やってみて、間違っていたら直ちに軌道修正をして、というのを繰り返していくのが最良といえるでしょう。