邪気は「面」「立体」で見る。

経絡について理解する一環で、
ひさびさに『邪気論―見えない身体への一歩』という本を読みました。


西洋医学を「見える身体」に働きかけるものとすれば、東洋医学は「見えない身体」に働きかけるものである。
そして、この「見えない身体」の病の本質は邪気である。
論じにくい「気」について真っ向から取り組んだ労作であり、古典、臨床を通 じて邪気に迫る。


ちょっとおもしろそうでしょ。 ^-^)


これほど邪気について真正面から捉えた本も少ない。



いままで何度か目を通している本ですが、
邪気というとちょっとおどろおどろしい、
そんなイメージをもつばかりではなくて、
人が生まれるときには生気が勝り充満し、
みずみずしく柔軟な様子をたたえている。


それが死の間際になり草花が枯れるよう
人も水分が少なくなり硬直していきます。


そうやって次の新しい世代へと、
生命のバトンが受け継がれていくという。


確かに強烈なまでの生気が満ち満ちて寿命がつきることがなければ、
それはそれで、困りますから。
悲しいかな私も自らの命の火がいずれ消えることを受け入れること。
そのような時期がくるものと思います。


天寿を全うできるように、
生気を養い、その浪費を少なくすることが大切だといいます。
さもなくば生気が滞りだしたところに邪気が入り込みだして、
健康寿命が短くなるかもしれない。


だからもし病気になれば、
その病をえた箇所が生気が失せて邪気が入り込んだ状態ならば、
それに対処すればいいといいます。


経絡やツボについて学ぼうというときに、
初めて経絡やツボと邪気というものとの関係性を感じられました。


カラダには皮膚や筋肉や神経や血管や内臓や骨などいくつもの多層構造になっている。
邪気や生気のような眼に見えないカラダから生じるエネルギーも多層構造だそうです。


見えない世界だから、ちょっとすると眉唾ものだと思われそうです。
西洋医学では、それは相容れないようなこととされますから、、、。



中国人が著した漢方や鍼灸に関しての古典に、
邪気の名がでている。
中国人・漢民族ほど合理的で現実的なものはなかなかおらず、
実益が現世にあると見積もれば妥協せず研究を重ね労を厭わない。


現世でどう生きるかということをもっとも真正面から捉えていて、
あの世なんて今語ってどうするのさ!という意識で生きる中国人。


そのようなものが邪気という言葉を使うのには、そう語る理由が。
邪気というものに対してどう見定め、対処していけばいいか。
なにかと興味深いところです。


ただ、ちょっとそれを語ると長くなるので端折りますが。^-^;



ツボは「点」で見て、
経絡は「線」で見て、
邪気は「面」「立体」で見る。


邪気として「立体的に体に現れるもの」と捉えていくことで、
点や線としてだけでは見つけにくいようなときに、
思考の助けとなるかもしれない。


そのようなとらえどころのエリアの広がりをみれば、
少しツボや経絡の捉え方が
違った側面から見えてくる。


そこで、なるほど〜という、
ビビッドに感じられるような患部への対処法が見えた。


私の理解するレベルではおいそれとは、
その技術を施術に深く応用出来はしないのだが、
存在を知っていて視界が広げられていることは
大変に有意義なこととなると思います。



定価 \2,940(税込)という、
専門書価格と感じられますが、
同業者の方で関心が湧けば読んでいただければ、
目から鱗が落ちるところがあるかもしれません。