かかとを踏むということの大切さと、足のくるぶしを活かすこと

バレエをするときも、
武道で身体操作を活かすときも、
かかとが軽ければあまりよい動きができません。


脛骨の延長線上に力が通せなければ、
地面に通じる感覚が消えてしまう。


下脚部分の膝から下を観察しますと、
ふくらはぎくらいのところから
腓腹筋はアキレス腱としてかかとにつきますが、
他いくつもの脚部の筋肉はくるぶしを通した構造になっています。
たとえば長腓骨筋や短腓骨筋などは外くるぶしにひっかかる感じ。
そして腱部分がL字型になっていることがわかるでしょう。
できれば詳細な解剖図をご用意できる方ならば、
ぜひくるぶしを通る腱部分の様子を観察してください。
ここの部分が手の構造との大きな違いですから。



かかとを踏むと私の体感覚で一般的かどうかわかりませんが、
腰椎の5番という仙骨の真上の部分当たりが前に送られます。


ただそのままで胴体の前後の移動をするときには、
この腰椎の前湾が過剰になる感じを受けます。
それによりかかとを踏む感覚ばかりでは、
腰椎の下部が局所的に前腕してしまい、
腰仙関節部分という至極大事な部位が
身にしみるダメージを蓄積し始めます。


だからかかとを踏む感覚が強すぎると、
ときには問題が起こるのです。


ただし、かかとが軽ければ、
その時点で身体が前傾して
大腿直筋や外側広筋を張らせますので論外なのですから。
そのような状態では良質な動きをかなえることは困難で、
一流の体の使い手としての評価はできないところですが。


だからそれができるのが基礎の基礎で、
その次のステップを置いておくことも
大事なのでしょう。


そんなときに足のくるぶしに着眼してくださいね。


内くるぶしと外くるぶし。
その内外のくるぶしのなかに滑車で水を汲む井戸の上にある滑車のような使いとして、
まずは上記のような長腓骨筋などの腱部分を転がすようにして送ります。
実になめらかにくるぶしの横に通る軸が転がるような爽やかさを感じるときには、
先程述べた腰椎の5番あたりが前彎して骨格的な変位を強いられるような位置にいかないような、
しっかりとまっすぐ腰椎を積めるような構造位置になった状態に移動してくれる感じになります。


そのときかかとを強く踏みすぎると、
ときとして中足靱帯がまっ平らになるように異常なつぶれが起こるリスクがあるのですが、
それも改善する傾向があるというのが私のなかの身体感覚では起こります。
これは私が施術中に、靴がどうしてもあわなくてといったことを感じて苦しんでいたのは、
まさにここ。
だからくるぶしを意識する感覚をいれたら、
足裏の悲鳴がかなり収まったところがある。


もしかすると外反母趾等でお悩みの方にも、
改善促進のための役に立てることがあるかもしれませんね。
ヒールが高い靴を履くとくるぶし部分が固定化されていて、
にっちもさっちもいかない制動力が湧いてこない感じになりますから。
くるぶし部分を日頃から使いこなせるような感覚を持てればよいかも。
そういった計算もなりたつでしょうね。



こんなところはバレエをなさっておられる方々で、
ポワントを匠に履いてつま先を綺麗な制動力で魅せている人ならば
私がわざわざいうようなことでもないことです。




それが慣れてきて、
くるぶしをまるで歯車のような精密にどれくらい回し送るかという制動がかなうならば、
ここで脛骨や腓骨以上のすべての箇所を移動させる技術が身につきます。
くるぶしの歯車で押しや引きができるのですから、
下に重心を強烈に維持しつつ動作できるので強力。
そんなギヤが、私にもほしいなと切に思います。



蹴る動きをすると、
アキレス腱が酷使され疲れるわけです。
その疲労はかなりたまりますしときどきアキレス腱が切れたということを聞くと思いますが、
この部分の使い方の難しさをそれは表しているのでしょう。


体が予測できないブレを生じるのが蹴る動き。
それに蹴って浮けば、武術では狙われますね。
どう次に動くかということは、
翼を持っていて羽ばたけない
そんな人間の特性を気にかけないといけない。
ここぞ!というときはいいが、
安易な蹴る動作は嫌われます。



それを気にせず体移動を可能とする
安定性の抜群な蹴らない動きができるようになります。
和式動作でよく見かけられますし、大腰筋も活かしていますよね。


バレエではルルベという動作があるのですが、
やはりかかとを踏む感覚を維持しつつも
くるぶしの横軸を意識し回転させて、
それにかかる腱を送りてこを活かした長腓骨筋等の動作を活かします。