舞台上のゆえの矯正動機
本日、施術をお受けいただきましたお客様。
詳細は申し上げられませんが、
観客席が1300を越え、
1000人は入った模様。
そこで舞台上で演技、講義。
日頃から人前は慣れているとはいえ、
観客人数がいつも以上に多かった。
他の俳優さんたちは姿勢が日頃からの修練で
申し分なかったそうです。
ですが根っからの俳優業をしているというわけではないお客様でして、
ずいぶん気を使ったそうです。
観客席最前列に、
偉い方々が着席。
声を大きく出そうとすると、下腹に力を込めてという感じとなる。
そのときに気づけば膝が曲がったりするのかもしれません。
そうなると舞台上にお偉方が送る目線には、
そこに膝が曲がった人がいると認識になる。
そうなると、、、。
若干、不本意な気持ちがしてきますよね。
脚部の内側をぐーんと上に伸ばして恥骨が持ち上がるほど、
上へ上へと伸ばしていった。
そのような膝が曲がらないような独自のエクササイズを考案。
もしかするとその舞台が相当な仕事量であったし、
それにくわえて他の業務もしなければならないと、
ご多忙の極みだったことでしょう。
だから体的には相当に大変な歪みが出ているのではと思いながら、
施術を受けにきていただけたのです。
私が、施術前に立位状態を見せていただきました。
^-^
「いいですねぇ!」
というのが開口一番でてきて、
「えっ?!」という感じでした。
忙しすぎたから、ストレッチ等の
セルフケアもいつもよりも控えめ。
本人的には、耳鳴りや肩こりなど、
相当に体にがたが来た自覚がある。
ですが、顔色が曇ってなどいない、
声の通りがいい、
脚が気持ち良い感じで細く閉まっている。
肩は確かに気になるほど持ち上がっているが、
それを押してでもかなり通例よりもいい感じ。
そして施術で解いていくと、
やはり脊椎はいつも以上に
柔軟性が富んでいて胸椎でさえもぐにゃりと
軽度な圧でもしなりを見せてくれている。
股関節のキツイところや
臀部筋のゆるみにくさも、
いつもの比ではないほど、
感触がいい。
解かれていて本人も、
「あれっ?確かに緩いかなぁ」と感じ始めます。
通例では、
大腿直筋部分や外側広筋へと負担をかけるような立ち方をするよう、
これは数十年来、ずっと繰り返し続けてきたことで、
左右の内ももの間にボールを挟まれたりクッションを入れられたり、
そんなことをしても、
「内転筋の内側へと力のベクトルを、まず、向けましょう!」
というメッセージが脳には理性的には伝えられているものの。。。
無意識下では、ずっと、太腿の外側を使ってきたんだから、
「別に今まで通りでいいんじゃないの?」とか
「今までしてないことを、いきなりするなんて、ムリじゃない?」とか、
「だって、こんなことしちゃったら変に疲れちゃるんだから、やめとこうね」といった、
『慣れない姿勢はとるものではない』というところに落ち着くことが多くあるのですね。
それが、この度の場合は、
姿勢の改善動機が自発的なんです。
舞台上の外見に責任を持ちたい。
言い方を変えれば、やはり美しい自分を魅せたい!
そう考えると、
是が非にでも、
自分の理想像。
それが最優先になるので、
気合の入り方が違ってくる。
舞台の日程という日にちも切られていることです。
そうなるとやるっきゃないモン!と集中力が違う。
そういった状況で、
自分で工夫したエクササイズという、
自分を納得させる腑に落ちたエクササイズをするのですから、
余計に頑張れるわけです。
他人がいいよというもの。
そういったもの以上に、
日頃に十分な身体操作の素養を身につけている御膳手がある人は、
自力で試行錯誤して考えたもののほうが、ずっと効いてくるのですよね。
そのような関係で、
このたびの施術では、
私が「いいですね〜」といった評価になっていたのでしょう。
所詮、
私がいうことも含めて、
他の人が「これいいよ」と勧めたものは、
自分のほしいもの的な愛着がないもので、
胸に深く刺さりません。
うまくプレゼンしたとしても、
どんなに画期的な自己啓発セミナーでも、
数日すれば夢から冷めたように熱が消え。
それと似たようなものです。
自分の内側から出た叫びではないのです。
ですが自分が必要に迫られて考案したもの、
開発した試行錯誤の後に生み出したものは
完成度の高低はあるにしても十分益がある。
今までの自分の体の使い方の通例パターンを書き換えるほどの力を持つものです。
自らよんどころない強い欲求を元に、切羽詰まって、
知恵を絞って考え出して実践すると、
不具合を取り除く動きのパターンが得られる。
それも鮮やかに変わりすぎて、
変わった自覚がないほど自然に。
このような自分でも予想外な体の改善が自らの工夫したエクササイズで得られることを知った驚きは、
後の自分づくりの方向性を豊かにしてくれるはずです。
実は、
このようなことが、私の施術をお受けいただいていた
一線で活躍なさっているダンサーの方にもありました。
そのときもかつてから、「左肩が、、、」と私が言うも、
なかなか改善が実らず。
それが舞台で仰向けに寝て左右の肩が綺麗に揃って床を押さなければ、
納得できるような舞台開幕直後のシーンが表せないとなると、
必死に、頑張られたのです。
数年来、ずっとの念願だった左肩の上がりが下がって左右整う。
舞台上で、人に観ていただく。
それは特別なことなのです。
たとえばとある海外の企業では、
ベストな活躍をした特別な社員に対して何を送るかというと、
聴衆前の舞台上で数分間のスピーチをする栄誉を与えるのです。
多くの報酬もうれしい。
それ以上に人に注目してもらって観られること。
そこで自分の言葉を伝え、拍手を受け取る。
これほどの興奮すること、感動することはない。
トロフィーをもらったり賞状をもらう以上の栄誉は、
舞台上でスピーチをさせてもらうことだというのです。
それが最大のモチベーションになりうるのだというのです。
そのような貴重な舞台上には、
自分を変えようとするものに優しく微笑む天使がいますね。
きっと。
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