自分の体を研究所として化して、理想姿勢を見極めよう。

3つの姿勢比較.jpg


上図を見てください。


身長が低い順に並べると、
「3-2-1」です。
なぜ同じオブジェクトデータなのに、
背丈が縮むの?


この場合は、脊椎の前後屈(前後に歪みが大きい状態)と
左右屈(左右に歪みが大きい状態)が過剰になったことが原因です。



3は、猫背で、腰が前に行きすぎている。
もっとも骨の歪みが大きいパターンです。 


多くの方は、
直感的に3は、
望まないと思います。


老化すると、このパターンになりやすい。
かつては、そのようにいわれていました。
椎間板ヘルニアのような、
椎間板がくさび状になり押しつぶされる。
そのような症状に繋がりやすくなります。



次に考慮したいのが、2 と 1 の違いです。


どちらが理想的なニュートラル姿勢なのか?


1 を『平背』と呼ばれて、
不良姿勢とお呼びなさる方もおられるようです。


ですが私は 1 が理想だと考えています。



理想姿勢は、
息を吸う、息を吐くの呼吸動作を助けます。
ちょうど腹式呼吸の際に、
息を吸うときと、息を吐くときの中間位に骨盤が建てられた状態です。


丹田部分が、後ろにも前にも容易に移動できる状態の骨格形状とは?


それは、すでに身長の背丈が短縮しているようでは☓。
腰椎がはじめから前弯していると不利な点が生じます。
即座には息を腹式で吸う際に腰部を丸めにくいのです。
そのテンポの落ちを私は嫌います。


ちょうどギターの弦を爪弾くと、
その弦は前後に同量の振幅をはじめるでしょう。
そのような状態が起きにくい骨格上の並びでは、
振り子のような規律性のある前後の質量移動が
難しい状態から動き始めてしまうのですから。
その不自由さが後々まで尾を引くことになる。


それに「大腰筋の操作」がしやすいかどうかですね。
圧倒的に 1 が有利であることは、
バレエをなさっておられる方々から明らかです。


理由は、ざっくり上げるだけでも、
お客様の特性に合わせた言葉を選び施術中に解説しています。







ここで大きな問題があります。


 2 の姿勢がいいと思っている方は、 1 へ移行しづらい。
 2 が理想だと思っている以上、 1 の姿勢は慣れてない。


やってみても正確にできませんし、
出来損ないのちょっとマネの状態をしてみても、
それは明らかな不良姿勢だとしか思えないようです。


辛いところですが、ここで先に進む道が消えている。


「だって、こんな変な姿勢がいいわけはないでしょ」
という、ことです。


ですがそれは、
現状の自身のなかに存在するしこりが機能的な姿勢という
歪み姿勢を快適と思わせる体感から由来する情報に支配されている。


歪んだ現状だから感じられる感覚を信じている。
歪んだままの状態から抜け出せなくする罠です。



よほど理詰めで理想状態を構造上の強度や呼吸の質と腹腔内分の内臓のあり方など、
 1 の優位な点が自分で思考して腑に落ちるまで納得し切るまでは、
特に大人から指導された場合は、持続的に変化を維持しづらいのです。


ある程度、深層筋のしこりの数々をリセットすることで、
歪んだままで動ける機能的な姿勢自体が理想姿勢に近づけることもできる。
そうなってから、理想姿勢を体験していただくほうが期待が持てるだろう。
理想と現実とのギャップの距離が、かけ離れ過ぎないで済ませられる。



私自身、以前は施術中に腰痛や肩こりなどで背中をキネシオテーピングでびっしり、
どこぞの力士やバレーボール選手やテニス選手以上に痛々しいほどに貼っていたが、
それは 2 の姿勢までしかできていなかったからだ。


過酷な施術に絶えられず血を吐いたり、円形脱毛症にもなった。
長期休業も繰り返さざるをえなかった。
それは私の経験したことだった。


それが 1 に改善したときから、
体力が増したし疲労蓄積も少なくなった。
過酷な筋肉を酷使する労働を送る私の筋肉は上腕筋や大胸筋や大腿直筋など、柔らかい。
風邪もひきづらくなった。
いいことを挙げれば数えきれない。


人体を若返らせるためのノウハウは、ここにある。


ただ私が自力で研究していって 1 に自分の身を近づけるようにたどりつくのにも、
自身で研究して確かめつつ少しずつ姿勢を合理的な方向へと書き換えた過程があった。
かたつむりほどの歩みで10年はかかっただろう。
その間に厚みのある知識を仕込んできたため、
自分が自分を納得させるには十分な量と質だ。


それだけの研究成果のほんとうに小さな断片を切り取っていくつか紹介してみても、
それだけで十分に他の方が納得できるものではないのだろうと思う。
ただ時間の関係上や話の取っ掛かり上、
そのような断片の紹介に留めるしかないのが悔しいところです。



私は研究素材として本を買ったり図書館から借りたり。
姿勢関係を磨く資料だけでも相当数集めて読み込んだ。


医師の勧める姿勢の本は多数読めば医師ごとに矛盾したことを語っている場合があるのはわかる。
3がいいという人はいなかったが、
2 か 1 かというと、どちらかと言えば 2 がいいという先生が多いように感じた。
1 を推奨する先生はロルフィング創始者のアイダ・ロルフ等、あちらの先生が多く思う。


とりあえず私の本を読む姿勢は、
結局、権威がある先生だからといって私は信じません。


「どこかの権威の先生がいうにはこのような内容だ」
そんな紹介をしても、
それは自分の責任を放棄した投げやりな責任転嫁のやり方でしかない。


書籍は「正解を語る」という先入観を捨てる。
参考にするお題が提示してある問題集を手に入れたと考えたい。


合理性がかけた点があると自分が感じるほどの本の雑味があれば、
著者の目の付け所が間違えていると思う。
自己中心的な読み方だが、それでいい。



つまり 2 がいい姿勢だとテレビや本やトレーナーにいわれたから、
それでいいんじゃないのという考え方の幅を削って狭めてしまっている。
そこの制限を外せなくて、そこでもったいないことになっている人が多くて。


私はそれを「他人の言葉を鵜呑みにしている」としか見えなくて。。。
聞きかじっただけの真偽の自身で感じ取れない情報を信じて盲点を持つにとどまらず、
検証的に再考することを勧めたいのです。


自身の体を使って検査検証していく。




たとえば、「本」で言えば、
著者も間違えたことを書いたと気づいて、
訂正したがっている場合もあるのが普通。
研究が進めば、そんなことはザラですね。



すべての著作は「参考程度」です。


ただ自身で完全に試して検証して、
そこからさらに進化したものだけ、
正直にそれを私は正しいものだと。


そういう自信がでてくるものです。


熟成するのは、
自分の体験に落とし込めてからだ。


結果的に私が言動を尽くして施術中に指導した言葉は、
自分の気持ちにしたがうならば自信が持てなければできない。


それだけの時間のうち、身体操作のボディワーク系の本で参考になりそうなものはすべて読んだ。
太極拳や武道系のテキストも自分の体で著者の言葉を疑ってかかって真偽を確かめつつ検証した。


かなりくどくどとしたことを書いてきました。


自分の体と積極的に正面切って向き合う志がある方には
他人の言葉を鵜呑みにしてほしくなくて。
他人の言よりも、自身で自分の体を使ってどちらが優位なのかを試して欲しい。


そうしないで、大損をしているような場合も、
多々あるから。


そしてこの度のような姿勢の解釈についても、
そういった代表的な事例だと思います。