急遽の声楽家モードのお客様の対応ができたワケ

本日、4年前に施術をお受けいただきましたお客様がお見えになられました。


具体的なことはあまり申し上げられませんが声楽を大学でなさっておられて、
さらに上の学校へと進まれるご予定があるとのこと。


声楽・・・というと、個人的にだいぶ昔になりましたが、
藤岡宣男さんというカウンターテナーの方が施術を受けにきてくれていました。
ご存じの方は少ないと思われますが、
私もほんとうにこの方の声には度肝を抜かれたものでした。
リサイタルに、テレビコマーシャルの音楽に、後人の育成にと幅広く活躍なさっておられました。


彼は『いつだって私のリサイタルに来てくださいね。チケット、用意しますよ』
と笑顔でいってくれてました。
それでお言葉に甘えて、数度、横浜の方でのリサイタルに足を運んだことを思い出します。


そのような気立てのいい好人物でしたから、
多くの人に好かれていました。
そのことは彼の死後の彼へ対してのメッセージの書き込みを読み、
胸のつまるような思いでした。



今日、久々においでになられた声楽家として職を得ようとなさるお客様の施術をさせていただきながら、
「藤岡宣男さんの体つきは、、、こんなかんじだったよな」と、
記憶が再現されながら施術をしていきました。


私の施術方法は、すでに以前とは異なっていて、
進歩したところもあります。


それは施術でリリースする技術もそうですが、
それ以上に見立てのほうで身体内部の理解が、
経験を積んできたことにより変わりました。


それで「今の技術があれば、もっと藤岡さんのここを解ければよかったんだな・・・」
そんなことを感じつつ。


やはり声楽をなさる方の場合には、
声楽家としての特徴があるのです。
他の身体操作を必要とする者とは、
明らかに異なる特徴点があります。
おそらくそこに気付かれなければ、
施術による大きな改善は鈍ります。


つまり、
個人個人で、どのような声楽家になるかの傾向性があり、
それにより体の作りこみ方は千差万別になるわけですが。
多くの声楽家に共通したところがあるのです。
そこを逃してはならないというところですね。


私は藤岡さんをリリースするときに、
そのような点をあぶりだして学んで、
幾つかの貴重な声楽家に必須なことを気づいていきました。


そのような知識を用いて、
当時の私の技術では解ききれなかったところも現状ではリリース可能となっているところも多くありました。


だから今更ながらに、今、藤岡さんがきてくれていれば、
「鈴木さん、施術、うまくなりましたね」といわれるか? ^-^


そのようなことはかなわぬ夢となりましたが、
今日は的を得たリリースができたと思います。


本当は事前に声楽を目指すようになったんだと知っていれば、
もうちょっと仕込んでおいたんですが。。。
そういえば4年前に、皆さんで歌っていたという言葉をおっしゃられていた。
でも大学を卒業なされ、会社に入社なされて研修で疲れたからということで
四年前に施術にお見えになられたときおいでなされたので。
体が声楽家を目指すというのは、おそらく初耳でして。


それで突然の声楽家へということで、
お会いした時の開口一番の言葉には、
「!!」とびっくりした次第ですが。


それでも、かつての優しい藤岡さんに接したことで、
真剣に体をさらに磨きをかけてスーパーカウンターテナーになるための下支えをさせていただけるよう
対処法を模索し続けた。
そのときに脳裏に書き溜めたノウハウが私のなかに蓄積されています。
どのように藤岡さんをリリースしたら、
感度の良い彼はどのような改善があったかを的確に言葉で伝えてくれた。
そのようなところからも作りこみがしやすかったというところもありました。


そのような下地があったから本日の施術のサポートが個別具体に落とし込めたのです。


そこから生まれたものです。
今、場当たり的に思いつきでしたことではないのです。
それでは良い成果がうまれても、底が知れています。


体の操作法やリリースポイントなどの大百科事典になっている知識の海から、
しっかりどのような知識が必要でどのような技術で対応するかを吟味しなければ、
ムリ・ムダ・ムラが多いものになってしまい、かえって接するに混乱を来します。


個人的に、専門外のジャンルを専門にするお客様を受けるときには、
共通の言葉や概念を基礎としてわかっていなければ会話は通じませんから。
多くの混乱は、伝えたつもりになっているが、あまり伝わっていなかったり、
まったく誤解を受けてしまっていたりというミスコミュニケーションにより
引き起こされるものです。


だからお客様の経歴等を事前に教えていただければ、
本当に基礎になる部分ではありますが予習しておいてから、施術で接するようにしています。
私の考えている印象が正しいかどうか疑わしいときには、
躊躇なく
「私は門外漢でわからないので、声楽家の特徴ってどのようなものだと理解なさっていますか?」
と、ざっくりしたオープンクエッションな質問をして、
少しでも考えておられるところを伝えてもらい、
私が知らない知識があれば補充させて頂きます。
お客様が考えている指向性なども確認します。


そうやって聞かせてもらう情報が適切ならば、
自然に施術で対応するべき点も
さらに的を得たものになります。


そのような各人のお客様の考えているところを、
ざっくり理解させていただいて念頭に置いてから、
自分の得た知識をそこにフィットさせて応用する。


それによりうまくいくようになっているのですが。


だから声楽を、それも本当に本格的にしていると、
そのことを当日に聞いたというのは驚きましたし。 ^-^;


ただ、そんななかでも、
藤岡氏には、今の私の施術法を受けていただく機会は、もう持つことはできませんが。
彼に接して蓄積していった知識や工夫等が山積みにしてありましたから。
そして意外にしっかりイメージで描き切れたことは覚えているものです。


それをこれから芽をだし大きく羽ばたこうとする若者に活かすことができたことには。



ちょっと感慨無量。