ハイヒール・ダメージに頻出する大腰筋硬化


私が履いたことがある高さの高い靴といえば「一本歯の高下駄」でしょう。
バランス力をそだてるためのエクササイズ用です。




MBTのような個性的なヒールの靴もありますよね。

靴底が特殊な楕円形となります。
すると。
この靴を履くことで、まっすぐ立たなければ体がぐらつきます。
前傾したら、前に倒れてしまうので、
もうちょっと後ろに重心を移動しようとする。
多くの立ち姿勢に難がある方々が前傾して立つという特徴があるので、
前傾で立たせないような気づきを与えてくれるすばらしい機能ですね。


日に数十分から数時間、この靴を履きながらお勧めされている簡単なエクササイズをするだけ。
それで体の骨格を垂直に立ててキープするアライメント能力が高まります。
MBT愛用者には、常用する方も出てくるほどです。



最近では、デザインバリエーションも爆発的に増えて、
以下の様なフォーマルタイプのシューズもラインナップされるほど。




そして、これから話は本題に入ります。


女性にとってヒールの高い靴を履くときに、
体に負担はかかるものの立ち位置として
自分を魅力的に見えるようにしたいという気持ちがあるでしょう。


ハイヒールイメージ.jpg


ただ高いヒールを体の柔軟な女性が履くときに、
想像以上に多数に渡る身体的ダメージをその後に残すケースがあります。


ハイヒール・ダメージ.jpg


もちろん、人それぞれ、骨格もバランス感覚も重心どりも、それに履いていたハイヒールも、
ばらばらですから。


まったく同一の状態に陥るわけではありません。


ですが上図のように、
筋肉を硬化させて骨組みが垂直から倒れて崩壊するのを避けようとして必死になる部分に、
傾向は出てきます。


前脛骨筋
大腿直筋や外側広筋
腹直筋や腹横筋
大腰筋や腸骨筋
背中の起立筋の硬化短縮
頭部や首の前傾により僧帽筋や斜角筋、胸鎖乳突筋の硬化萎縮


肋骨上部自体が位置が理想位置から上へとずらされているため肩が持ち上がりつづけ、鎖骨もずれる。
鎖骨が腕の骨の体幹部に付着している唯一の部分ですが、
この胸鎖関節部分がずれれば「腕全体が不調になるのは必至」です。
ただ単純に肩が痛いとか腕が痛いとかいっても発痛原因が、
多くの場合、ハイヒールを履いてきて重心が上方固定された
理想位置から切り離された安定のなさから胸郭異常が産まれたのだから。
私が最低期限診る際は、胸郭が、理想状態から離れてしまっているかどうかの視点を持ち、
アプローチをしていきます。


そして顎関節のズレは、仙腸関節がずれたまま固定され動きがなくなった影響です。



それ以外にも、
ある人は、外反母趾になる傾向が出てきますし、
ある人は、腰椎前弯が強く腹直筋や大腰筋にも挟まれた内臓が下垂しだして、
婦人科系や泌尿器系へのつらい状態がおこることも散見されてしまいます。



深層筋部分へのアプローチをし続けてきたのですが、
最近私は指先での深層部のリリースを特訓中でわかったことがあります。



いままで私が多くのハイヒールを履かれて体に負担を蓄積してきた方の特徴をあげるとするならば。
大腰筋部分が下腹部分にとどまらず、
へその側方から、ときとしてみぞおちの太陽神経叢部分にまで硬化が入り込んでいるということです。

そのへそから上、そして心窩部へまで影響が至るほどの大腰筋硬化について、
10センチを超えたハイヒールを履いた方々には少ないのです。
そして利き足側の大腰筋上部がカチカチに硬化して横隔膜の動きを大幅に制限するということも。
高いヒールを若い体の柔軟性が高い際に履き続けた方々には散見されるのです。


心窩部に不都合な負荷がかけられ続ければ、
自然にそれは自律神経失調症状態や精神的にも問題が生じてきます。



大腰筋の上部部分というのはみぞおちの奥のしまわれた部分。
その硬化が強い方であれば強い圧を加えられれば間違いなく苦痛や息苦しさで悶絶。
ただ横隔膜の付着点である肋軟骨下部をソフトに、または相応に強い圧をかけても、
カウンターストレイン等各種リリース法を駆使して大腰筋リリースをしてきました。


おそらく施術をなさる方々でも、このような部分のリリースは苦慮するところでは。


それは硬さの強さです。
それは筋肉の本来持つ柔軟性は消えてしまい
木の硬さを越えて、鉄骨ほどの硬さにまで育てている人もいます。
そのような状態であるということに気づいておられない方も多く、
体調不良の原因が皆目検討がつかない。
そのようなときには将来的な健康不安も募るでしょう。


もちろん施術をするにしても、
骨以上に硬さを持つ部位です。
そのような部位へのアプローチは慎重にすべきです。
解かれた後に何が起こるかを先々想定する経験値がなければ、
私はお客様の要望があったとしても不用意に触りすぎてはいけない、
大変危険な影響も与えてしまえる部位であるのではと考えています。
むろん、一般の方で体の仕組みをよくよく研究していないようなら、
仮に大腰筋の問題を自覚できたとしても勝手な自己判断で手出しをし過ぎないことです。


ですが、個人的にできることもあります。


それはいったんハイヒールを履いてきた経験がある人は、
上のハイヒールを履いた際に筋硬化が起こる解説図の部位は、
たとえ後にフラットな靴を履いたとしても、
脳内の運動感を司る部位にはハイヒールを履いたときに固めてきた筋肉部分を固め続けてしまう。
そのようにしなければ立てなかったという状態をハイヒールを履いたときに経験していたため、
脳内ではそれに対応した筋肉の硬化を作り続けていたほうが機能的な生活が可能であると学習。


そのときの運動神経系への学習癖は、
強烈に自身の体の骨格上垂直性の維持装置のセンサーを狂わせてしまっている状態です。


この運動神経系のミスアライメント状態に気づいて、
過矯正にならないほどの低い矯正を継続的に与える。


たとえば左右の脚長差があってフットベッドを作り足の長さを調整するとき。
状態がよければ20%ほどの矯正で、
状態が悪ければ10%ほどの弱矯正を定期的に時間をかけて繰り返していきます。



まず自分の内側につくられた不用意に全身の屈筋群を異常拘縮させし続けていた常態化を気づいて、
その状態から上記説明したフットベッドの矯正にならった長期戦をもって、
自分の体の中の運動神経系へ加えられたバグを取り除くことも必要です。


基本的に、
高いハイヒールを履いてきた経験がある方の場合は、
極度に高いハイヒールを履ける状態へと戻る癖ができあがっているので。


そのような傾向の高さがありますから、
単純に外的な圧をかけてしこりをリリースするだけでは、
どれだけ精度のいい施術をしたとしても体調安定が困難。


だから施術的アプローチを受けると同時に、
身体操作を訓練するような習い事や自身の研鑽を大事におこなうこと。



それであまり重度ではないハイヒールを履いた後の後遺症はクリアできる女性も多くおられます。



ただお客様自身、多くの治療院等に通われて一定の成果は感じたが、
なかなか思うような痛みのない生活が送れないという、
症状的に思いと言えるような方もおられます。


やはり大腰筋の硬化の度合いは、
昨日のお客様を観てもほぼスチールと同程度の硬さ、そして冷えに感じられ、
コラーゲン組織でできた柔軟な筋膜から離れすぎたクッション性を失っております。
筋膜は柔軟性が弱くなれば、
重みを計算して作り出さない一般のかたの押し方で不用意な強い加圧があたえられると
容易に水分が抜けた筋膜は中に含まれる筋繊維含め組織がダメージを受けてしまいます。


さまざまなリスクを低減させるための条件を仕込んでいくことで、
最近、ようやく大腰筋部分の本当に固まってしまっていた部分を
緩めるような成果が、さらに進んできました。


それは、以前ならば「これほど硬い大腰筋は・・・」というとき、
実際に有効性の高い打ち手が相当な情報収集をした結果でも調べられず、
ただただ長期戦でぶつかるしかないということであった。


もちろん、昨日より今日、今日より明日ということで、
毎回施術法を進化させていくので対応能力も挙げてきました。
ですがやはり相当に難しいものであったのです。



ただ私の最近の脊柱起立筋に対しての指先での深部へのアプローチをして情報を細やかに集め増して、
その後に自作てい鍼でそれを深めていき、
ラストに重りのブロックで綺麗に整地できるよう起立筋を緩めるようなリリース。
これはここ数年来、腎臓裏や腰部裏側が一番の深さへリリースがかなった状態です。


これはさまざまな体の状態の改善をステップアップを飛躍させてくれるものだと思います。


そのうちのひとつが、大腰筋のリリースにも使えるということなのですね。


腹部みぞおちは、人間の命を奪えるほどの急所です。
強圧して探ることができないという制限がありました。


問題ありそうな太陽神経叢にかかるような大腰筋があったとしても容易なアプローチはできません。


息を殺して、やりすぎず、さりとて変化を求めてという、
頭のなかのイメージを描く能力をフルにヒートアップさせて牛歩のようなリリースをしていました。
それは肋軟骨部分も状態が骨化が進んだといえそうな硬さがあり(正確には骨化とは呼べないが)
容易にその肋軟骨はカウンターの力が一定方向に一定量かかれば骨折する状態です。



それを起立筋側からのインパクト圧で腰部側の深層大腰筋と言えそうな部位に
振動を与えて動きをつけて固定化してにっちもさっちもいかないところを離す。


実際、そのような腰部側の大腰筋部分をも緩めようと言う状況を意図してはいなかったのです。
ですがそれにより、ハイヒールを履いたため大腰筋の上部みぞおち裏を骨化した方への改善が、
ずいぶんはかどるようになりました。


特筆すべきは自作てい鍼を使いこなせていなければ、
この改善へのステップまで進むことは私には難しかったはず。




かつて私に、「このみぞおち裏奥には固くなった大腰筋があるだろう」というような、
あまり不安げな確証ないことを告げられたくないが、いわれたという人もいます。
理詰めで考慮しえた推測から導き出したものです。
それは腰部の大腰筋真裏の筋硬化の状態や腰椎椎間板の前腕や萎縮状態からの推測です。
なぜ、横隔膜の引き連れがあって呼吸が浅いか等の状態を理解するための参考に述べましたが。
お客様自身は、怪訝な面持ちでそんなことはないだろうと、混乱をなされた状態で、
聞き入れていただいて大腰筋の操作についてさらに精査して動きを見ていって欲しいという提言も、
あまり響くようなことはありませんでした。


そのようなお客様のみぞおちの深部を私が実際に触ることができるようになり、
お客様自身も直感的にいかほどの硬さがそこにあるものかわかるようになった。


お客様自身がそのような大腰筋の状態であると、
少しずつ正確な理解し認識しはじめられました。


それは大きな真実を理解するための過程ですね。



つまり、大腰筋ほど腰椎の左右の安定を測り垂直を維持させるためのパワフルな筋肉はないのです。
その大腰筋の脊椎が傾いたらそれを自動補正してくれる機能を失ったというのもつらいところです。
その大腰筋は、数百キロ以上のパワーを発揮できる伸筋で、私たちの立位や歩行の要です。
それがかえって理想的な力を使わない立位や歩き方を最大限妨げようとするだけではなく、
硬化萎縮した大腰筋の連関する筋肉群はその問題の大腰筋に牽引されて位置をずらされて
とばっちりから本来の関連筋が成すべき機能発揮を妨げられもしてしまい、
それが同時に強烈な痛みを生じさせることも。
それは数百キロの発力ができる筋肉が萎縮すれば、その体内で生じた萎縮のパワーによる影響は、
非常に遠位末端まで容易に飛んでいきます。


大腰筋が萎縮すれば股関節のズレが強まる関係で仙腸関節のはまりが理想位置で固定できません。
それにより生じる、仙腸関節のズレを補うために全身の関節部位にわたる状態のずれも現れます。


ことの意味がわかれば、
なぜ体がいつも緊張してしまっているか、
なぜ上半身にばかり重心がきて下半身の安定がはかれないのか、、、。
お客様自身が、自身のみぞおち奥の大腰筋のコンディションを把握したら、
意外なほどすんなり
「あぁ、そうか。これほど伸ばして使って調子のいい大腰筋が固くなっていたら大変なことだな」
と、そこに大きな改善点があることに気づいていただけるようになりました。


施術で私は長い時間を費やさせていただいております。
それには現状の私の価値観としてなにを大事だと感じているかに関わってくることです。
精神力を費やして時間をかけて努力の末に、その施術作業を積み上げたとき。


一番、私が私を納得させることができる回答がえられるものなのでしょう。


実はハイヒールを履いた方の大腰筋の状態が腰部付着部位が浮き上がりだしてくるよう。 
今まででは触診不可能な状態であった様子がそこからうかがい知ることができるに至ったのですね。
(そこは最近からお通いいただいたお客様には、実感ないところだと思います)



それに、、、。
これで、ようやく長年にわたって施術をお受けいただいてきた数名のお客様に、
「この状態までくれば施術を卒業しますね」と笑顔で言っていただけそうです。





そこのゴールを私も、
必死に目指しています。


それはお客様個人のしあわせでもありますし、
お客様が負担感なく活躍されることで、
日本も世界もさらに光り輝きますから。
そうなれば私も、うれしい。




最後に蛇足となりますが。。。


結局は、お客様の内側から課題を探り出し、
その課題がたとえ難しいものでも執念深く、
自分で創りだした正解で対応していくこと。


直感に思いついた改善計画というよりも、
息を切らし走り続けて得たものですから。
私はそのような支えだけを信じています。



施術では、密かに
「あのお客様はきっとこのようなところで困ってるだろうな。
だったら、その課題を次回お会いできるまでに解決できるよう知恵を絞ろう」
ということを思い起こす連続により自己成長を図ることにも繋がると思います。


そういった「具体的なお題」を設定したときに、
人の持つ脳の高次のパフォーマンスは発揮し出します。
なんとなく個人が特定できないような抽象的なお題には、
あまり脳は反応せずに、日頃の生活が優先されて流されます。
すばらしいヒントが目の前に現れたとしても、天使の襟首をつかめない。


そうやって時が過ぎてしまう。
そういうときは自分に自信がなかなか持てないときでもある。


「具体的かつ緊急性のあるお題」を、ひとつみつけだすこと。
そういった課題設定をするならば、
施術上のスキルは浅く広くとどまらずに深くなり芋づる式に、
全体像が把握できるるようになってくるのかもしれませんね。



だからこそ、お客様により私の施術は創られて進化している。
そのような実感と感謝があります。



ただお客様に対して「密かに」ではなく、
しっかり口に出して伝えたほうがお客様に対してわかりいいでしょうが、
私自身の性格上のやり方なのでしょう。