たまたま私がお世話になっているお店で、
「椎間板ヘルニアの手術後に、再び坐骨神経痛がでてきて」
という方のお話を聞きました。
手術後にすっきりした感じが続く人と、
再び以前の状態へと戻ろうと体がしている感じが伝わる人と、
大まかにわかれるといいます。
前者であったならばほっと一息がつけるところですが、
後者では、だんぜん素早く手を打つことがお勧めです。
後者の方で、
自身の「テンセグリティ構造」が乱されやすい緊張した姿勢での仕事をなさっているときは、特にでしょう。
テンセグリティ(tensegrity)とは、バックミンスター・フラーにより提唱された概念で、Tension(張力)とIntegrity(統合)の造語。
そして体は、骨と軟部組織によるテンセグリティ構造により作られています。
どういうことかというと、、、。
正方形の立体が硬質な物質でつくられていたならば、
押してみても動けないんですけど
下図のゴムと棒でできた立体構造(テンセグリティ)は、
押してみたらつぶれるようにひしゃげるよう形を変えて動き、
手を離せば元通りの状態に戻るようになっています。
人体が平面的ではなく全身を通して立体化しているのは、
骨が棒で、筋肉・靭帯など軟部組織が張力をもつゴムと考えてください。
人体が形を自在に変えても、緊張を解けば元通りの状態に戻れるのは、
このテンセグリティ構造でできているおかげなのです。
それがいつのまにか筋肉や靭帯などの軟部組織の緊張がほどけない状態の部分が一部でも生じたとすると。。。
そうすると、体全体がゆがみやひしゃいだ状態というままになってしまうのです。
そこからは、ぎくしゃくと元通りに戻ろうとしても戻れないおさまりの悪さが感じられるでしょう。
それは、カラダの一部の張力が狂うだけで、他の全体の張力バランスが崩れてしまっているという、
かならず広域へと影響がおよぶというものです。
その張力を絶妙な感じで異常をきたさせるのが、
そう、
「筋膜の癒着」ですね。
この筋膜の癒着部分がひとつやふたつでも、
自分自身ではそれを追って観察していくのは大変です。
カラダのプロでも大変なんです。
すでに症状としてヘルニアや側弯症などが現れていたとすれば、
筋膜の癒着個所はひとケタで収まる数ではないため、
「どれをどういった手順でどの程度ずつ解いていけばいいか?」
などの、
全体のリリースをしたのちの落としどころをみて解き進みます。
ヘルニアや側弯症が発症していた方は、
もともとの筋肉の状態はやわらかめの方です。
意外と思われそうですが、実際にはそうです。
もともとの筋肉が速攻で石のように固まるタイプの人は、
腰痛になれども椎間板ヘルニアや側弯になる前に、
自前の強固なコルセットをカラダに仕込んでいて。
そちらを機能させるという荒業をつかっています。
それによりテンセグリティ構造の弾性力をもつものを固形化へ。
もちろん固形化した状態は、
血行不良・リンパの詰まりや運動機能低下を引き起こします。
決して理想形ではないということはわかってください。
椎間板ヘルニアになる方や側弯症がある方は、
寝ているときに体内に仕込もうとしたコルセットがゆるめられ、
一部の動作をしたり体を支える際にもっとも負担がかかってしまう寝ても緩まなかったしこり部分だけが残ります。
そしてそのようなしこり部分は蓄積されていくに対して、
他の日々寝れば緩むといった筋肉部分はゆるっとしている。
そうなると、柔軟な筋肉部分のなかに、一部分だけ非常に強固な緊張した筋が体内に存在し始めるのです。
するとどうなるか?
ずるずると柔軟な筋組織関連の部位を、強固に硬く緊張した部分が自分のほうへと手繰り寄せるのですね。
その力は柔軟性の強弱のコントラストが大きければ大きいほど影響が顕著に表れてきます。
その傾向が強くなっていくことで椎間板ヘルニア等の問題が生じだします。
つまりテンセグリティの張力のゴムが、最初はみな同じな弾性力だったが、
いつしか一部のゴムだけが緊縮しがちとなって、
他の全体のパーツに影響を与えてひしゃいだ状態になるのと同じことです。
そうなると、柔軟性の高い部分をさらに解きますと、
この場合は、ヘルニア等の症状が重くなったりします。
側弯症も、そう。
解くべきところと、解かない部分を分別していくこと。
半年以上続く慢性的な腰痛や首の痛みなどがある方の場合には、
すでに深層筋部分までしこりが入り込んでいるケースが多くて、
表層筋や中層まではさくさく解いたとしても、
その奥の深層をどう読んで解いていくか。
立体構造体としての再構築の段階です。
そこの経験値が高いかどうかが施術をする人の腕なのでしょうか。
その判断が未熟なままでやってしまった解き方では、
ときとしてその部分を解いたらかえって全体のバランスが一気に崩れてしまうようなこととなり、
ときには腰や首などの部分にかえってさらなる負担をしいさせてギックリ腰やぎっくり首になる。
そうなると、それは好転反応ではなくて、さらにもうひとつゆがみのパターンを増やす結果へ。
私自身も、最初から100%見抜けるわけではありません。
手探り状態で、小さく試し、手を加えて、
その結果から推理して徐々に状態を見極めるようにしていきます。
余裕なき、ギックリ腰にさせないように緊張しながらの施術です。
そしてもうひとつ、
厄介といわれればその通りのことですが。。。
上図のテンセグリティ構造のボールは、
押して放てば元通りに素直に戻ります。
ですが人体は、ちょっと様子が異なります。
常日頃からの緊張して固まっているパターン姿勢、というものを持っていたならば、
そちらへ戻っていってしまうのです。
それは脳の中での恒常的にいつもの状態に戻そうとする作業でもあり、
それがすぎれば運動神経系へ器質的な刷り込みとなってしまっていて。
神様が用意してくれた私どもの自然体とは異なるパターン姿勢に戻る。
その傾向が強い人ほど、椎間板ヘルニアや側弯傾向の再発がなされやすいようです。
そうなるとフェルデンクライスメソッドのような、
本来的にはどのように体を動かすと機能的に操作できるかを経験できるようにして、
身体操作法の研究をしてみる必要が出てきます。
そこをしっかりと対処しておけば、比較的再発が起きないし、
それ以上に、以前のつらかったカラダの状態から抜け出せて、
気持ちよく機能できる自分本来のテンセグリティ構造になる。
8年以上前のことですが。
以前、私のところへお越しいただいていた医療関係のお仕事をしていたお客様で、
記憶では6回ほどのヘルニアの手術をしておられた方がいます。
手術後の跡もみせていただきました。
その方のお姉さまは、アメリカでのプロフェッショナルなダンサー。
柔軟な体で、そのお客様も以前は非常に柔軟だったのだろうと思います。
ただ手術が繰り返されるうちに、手術後の部位がケロイド状になり、
筋膜も切られているため張りとしての機能ができない状態になって。
テンセグリティ構造が、体内の奥でしきりにアンバランスを訴えて、
どこに行けば落としどころがいいかがわからなくなってしまいます。
カラダの柔軟度がある方は、このもどかしさ、歯がゆさは常に頭を騒がせて、
物事への集中力を削ぐような作用が出てきます。
今はそのお客様とのご縁は遠のいておりますが、
今の私がそのお客様と接する機会があれば、
手術後にケロイド状になってしまった組織は、
玄武岩ではなくベン石かネフライトをホットストーンとして使って温めれば、
柔軟性は取り戻しやすくなっているのではないかと思います。
体内奥の1.5インチまで届く遠赤外線効果を、
もうちょっと奥まらせるために、
適した表現ではありませんがマンモグラフィーの撮影のように
患部をホットストーンで挟み込んでつまむことで熱を通すので。
やられているときは、ちょっとむぎゅむぎゅとされる不快感はあるでしょう。
ですが5分以上ケロイド状になった個所にベン石かネフライトで加熱すると、
体内の硬化して引き連れたケロイドが緩むような人が数名出ておりまして。
ケロイド状の手術後の状態を解くとき。
・ネフライトのホットストーンのほうが、
熱は、ツーンと鋭く入る感じかもしれません。
ケロイドの患部に接触させて設置したままにしておくと緩みます。
・ベン石のホットストーンのほうは、
熱は、じわじわと。熱いけど耐えやすいかもしれません。
ケロイド患部に接してこするようにするとリリースしやすいです。
これは他の手術痕がある方でも、
自宅でベン石等の石を用意して湯煎してケロイド個所をアプローチしていただければ、
テンセグリティの状態に戻りやすくなってくれる成果を期待できるかもしれません。
ちょっと関心ありという人は、
ぜひ、トライしてみてください。
またお客様の中で、この部分のケロイドをどうにかしたいと考えておられる方がいれば、
まだ試行錯誤の段階ですが、
ぜひ、お声がけしてください。
少しでも改善していただけるようベストを尽くします!
当時の私には、お客様が満足が行く対応をすることができていませんでした。。。
そのお客様と手術前に出会えたならばと思っても、
それは現状、意味のないことです。。。
ただそれからヘルニアの手術をして再発しそうな兆候をお聞きすると、
なりふり構わず、「ぜひ、早く手を打ってほしい!!!」と口走ってしまうようになりました。