一昨日、
脈診の方法を多少のコツを含めて知り合いにお伝えいたしました。
彼は、アーユルヴェーダに関心がある人です。
アーユルヴェーダ医は「脈診」を重視します。
だから使えるよう役立ててもらえるかと思いまして。
脈診について基本の手ほどきを受けたとしても、
すんなり技術が伝わるわけではないです。
ただわかって実用している人に教えてもらうと、
幾ばくかの気づきがあります。
脈診専門書等で脈診シーンを写真やイラストで見たはずです。
ですが実際に脈をとってみようとすると、勝手が違うのです。
10秒ほど手の脈を診る。
■ 脈位は_? 脈は、皮膚の表面の位置に感じるか、深く沈んだところで感じるか。
■ 脈管の形状(硬さ)は_? 脈管が、ちょうどいい硬さか、柔らかすぎか、硬く緊張しているか。
■ 脈のリズムは_? 脈が速いか遅いか。
■ 脈の太さは_? 太いか細いか。
という情報を丁寧にひとつずつ、チェックしています。
それだけで具体的なコンディションが伝わってきます。
「病脈」と呼ばれる正常な脈とは異なる状態を察知することで、
内部で生じる問題が見えてきます。
脈が浮いていて咳をしておれば、
「正気が免疫等を使ってウイルスなどと格闘を繰り広げてる真っ最中だな」
などのような情報を読み取れます。
すごい効率のいい健康状態チェックですよね。
一昨日前のレクチャーでは、
脈位(浮脈・平脈・沈脈)、脈の速さ(数脈・遅脈)、脈の強さ(柔和脈・軟脈・硬脈)について伝えました。
もう少し知りたいといわれたので、
難しいだろうという前置きを述べて、脈の太さ(大脈・細脈)について解説をしました。
だいたいこの4つを正確に診れると、多くの役立つ人体内部の気血等の循環器に対しては優に及ばず、
他広くにも視野を広く観ることができるでしょう。
脈の太さの病脈の(大脈・細脈)は、一般の方には見分けづらいだろうと思います。
脈をとられる人の脈の太さを精度高く推測できたうえで、
脈管の1/16の微差状態を観る必要があるためです。
男性の平均的な成人サイズなら1mm、
女性の平均的な成人サイズなら1mm以下、
もっと小さな小児であれば1mm以下をさらに下回るサイズの状態を診ていきます。
指先の神経に繊細さを身につけてなければ、明瞭な判断はできはしません。
微差を感知できる指ができるよう練習を積まなければわかりません。
練習しようにも、自分のいまの脈の太さをとらえる基準の正誤がわからないのです。
ひとりで練習すると、まったくわからない。。。
そういったところは、脈診講座に通うか、
熟練した人に基準となるサンプルを見分けていただいて腑に落ちることが必要です。
識別基準を得た後から、練習が始まると考えてください。
脈診は施術者の体が精密な検査器具のように育てるにも、
識別基準が不安が差し込まれていては訓練になりません。
脈診を本だけで身につけるのは難しい、という所以です。
ただ脈の太さ以外は、初心者でもセンスがあれば比較的読める人もいます。
なので、解説初めの当初、そちらについての解説にとどめていたわけです。
実践的に脈診を練習するとき、
どのようなことに気を配ればいいでしょうか?
脈診するベタータイムがあります。
それは『 早朝 』です。
外界の影響が少なく人体が安静状態だからです。
この時間帯がいちばん{ 病脈 }の鑑別をおこないやすいのです。
日中の生活時間帯になれば、様々なストレスが心身に及びます。
体内の奥が影響して脈に出るカラダの好不調を訴える声よりも、
今を感じる肉体的・精神的な活動中のストレスが脈に現れます。
私どもが知りたい情報は、
純粋な身体内部でどのような蓄積するダメージがあるかを知ることです。
それ以外の情報を含まない活動前の寝起きの安静したときは
活動ストレスの与える脈への雑音がない。
だからそのときに調べた脈は、純粋な身体奥からの現状をつたえる信頼性高いデータ。
早朝計測時の脈診情報の価値は、何倍にも跳ね上がります。値千金です。
実際に調べてみたのですが、
私が早朝に脈を診たときの結果と、
日中の活動時に脈を診た結果は一致しません。
微差より大きなストレスが日中の脈状に影響していることがわかります。
ただ早朝から治療院がやっているところも少ない。
だから自分で脈が診れる人は、
早朝に脈診を診て病脈を正確に察知できる人です。
病の初期段階の熱証時期に手を打てるのです。
カラダの回復する力が十分に残っています。
その時期を過ぎて寒証時期に至れば、
回復にたどり着けるかが心配になります。
ここはぜひ、知っておいてほしい点です!!!
話が変わりまして、
日中にて、治療院等で脈診を受ける時。
精神的に緊張していてもダメなんです。
可能ならほっとしていただけるように深呼吸をしたり、
呼吸や脈が落ち着くまで時間を空けてみてください。
特に走って施術院へきた直後の脈は、
脈が速まり浮きぎみになり、脈の強さも強く変化するので、
脈が落ち着くまでのインターバルが必要になります。
脈診するときの先生側とクライアント側の姿勢について
クライアントを座位か仰向け寝になってもらいます。
腕は曲げずに伸ばしてください。
心臓の高さで保持できるような台に乗せます。
てのひらを上に向けてください。
私が脈診講座を受けたときには、
脈診用のクッションを置いた台がありました。
この姿勢に対して正確にという意識をむけることは大事です。
手首で測る血圧計でもいえることですが、
心臓のある高さの位置で計測をしてください。
計測時に心臓より低い位置に置けば血圧数値が高めに計測されます。
それにより正確な数値をあらわせません。
脈診でも、同様です。
患者様の心臓の高さで測らなければ、
脈拍は変わらないが脈位、脈圧や脈管の形状などが正確に測ることができません。
脈診の指の置き方
最初は(1)手首の橈骨茎状突起内側にある「関部」に中指を軽く橈骨動脈の上に置きます。
次に(2)人差し指を軽く橈骨動脈の上にある「寸口」に置きます。
次に(3)薬指を軽く橈骨動脈の上にある「尺寸」に置きます。
触れた指は伸び切ることはなく、弓のようなカーブを描きます。
接触は、指の腹部分が基本です。
ただ私が脈診講座でやって先生に注意された邪道ですが、
指の爪を深めに切り、
その爪の先の爪の生え際で診ます。
この部分は触覚神経上の感覚が特に鋭敏です。
異常な神経の興奮状態があれば、私はここでその異常を感じ取ります。
感知しづらい脈管を持っておられる方の脈診を探る探索でも、
この部位を使い鋭敏さから多くの情報をキャッチしていきます。
まずは爪先で情報を読み取りづらいなと感じたらつぶさに透視してから、
次に通常の脈取りのときの指の腹で情報を読んでいきます。
邪道ですが、本道を押さえつつ自分なりに工夫することも、
臨床的には必要な場合がでてくることもあると思います。
指の置き方ですが、
三本指を添えた状態をとらないときがあります。
寸関尺の部分ごとの脈の状態をつぶさに観察するときには「単按」といい、
寸を診たいときには人差し指一本のみを当てて、他の指を外して診ていきます。
指を置く間隔は背が高い人は少し広げて、背が低い人は間隔を詰めます。
小児のときはカラダのサイズが小さすぎて三本の指を添えることができません。
そのときは「一指定関法」という脈のとり方で、1本の指だけで脈を取り、
寸関尺の3つに分けません。
※私の脈診講座では、片手ずつ脈を診て、両手を同時に脈診することはありませんでした。
もしかしたら私が、最後まで脈診講座に参加できていなかったため、
終わりごろに実践的にクライアントの両手の脈を両手を使って一挙に診ることもしたのだろうか?
私が知っている漢方医の先生方は、カウンセリングのとき両手で診る、片手で診るを使い分けていました。
座学で学ぶ脈理理論の把握も大事ですが、
それに先行した「脈を診る正確な技術」が身につく実践練習が基本です。
職業ごとに手の使い方が変わります。
脈診講座の先生の指先はソフトで塊がない繊細なもので、
脈を診るに最良の指をお持ちでした。
まさに鋭敏に些細な違いさえも見通す指先に機能特化していそうです。
その指に見入りながら、改めて優れた職人は自身のカラダの手入れをして、
最高な状態で技術を提供できるようになさっておられると感心しました。
中国武術を学ぶときには、本場のすぐれた先生を実際にその目で観て感じる必要があると思います。
脈診の中医学知識や技術が必要な局面では、
それと同様に、必ず優れた先生に診ていただくなど手ほどきをいただくこと。
それが成長のカギだと感じました。