お客様自身が自分の情報との距離が近づくと、ストレスのない理解が促される。そのようなときの気づきって、大きな意味を持つのでしょう。

施術にて。

ダンス系のハードなレッスンの末、胸部負傷を負ったというお客様が、
病院でレントゲン撮影をした画像をコピー用紙にプリントアウトしてもってきてくれました。

病院でのレントゲン検査により、下部肋骨に骨折はみられないとの診断を受けたそうです。
そのことを医師よりお伺いして、ほっとしたことでしょう。



そのとき機転を利かせてくれて、
「このレントゲン写真、私が観ても、よくわからないけど、鈴木さんが観たら、何かわかるかもしれないから~」と考えて、
医師に頼んだらこころよくプリントアウトして手渡してくれたそうです。



そのおかげで、私も勉強になったことがありました。


ひとつは、脊椎の動きの制限がかかる理由のひとつが見えてきた点です。

画像のプリントアウトは、負傷部分から引きの広域の絵で胸部全体が写されています。
それをみると「この椎間板の様子では、この運動が困難となるだろう」という点が明示されております。

動き方の制限を受けている個所のひとつが見て取れます。
もともと生理的に椎間板の後屈部エリアにあたるもので、そのため狭窄ぎみになりやすい部位ですが、
写る絵の椎間板の白さから周囲の軟部組織の靭帯が凝り固まって厚みをました状態が見て取れます。
それもおそらく他の元気な椎間板と配色を比べると年季が入った進んだ状態です。

お客様も私も、薄々その部位に何らかの問題があるということはわかっていたものの、
レントゲン写真になって客観化して観れるというものはインパクトの強さと納得感が違ってきます。
たとえ私がこの部分の椎骨の棘突起がこんな風に横に向いてるとかいわれても、
言葉で伝えられても「ふうーん、そうなんですね」というしかありません。
むろん、自分でそこをどうにか改善できたほうがいいと思うが、
どうしても必死に改善したいというほどまでは思えないことも。

それはやはり施術者の頭のなかにはある程度のビジュアル化した透視図が頭にあるものの、
お客様には自分の体をリアルかつつぶさな像を描けたわけではありません。

そうなると自分の体のことをいわれている助言の場合であっても、
どこか遠くに住んでいるもののように聞こえてしまうのです。
でもレントゲン写真で客観視できたときには、
「えっ!?真面目にこれ、私?よくないんじゃないの!!」って、気づき認識できたと同時に思えてきます。


私も椎骨の変位の状態は把握してから施術をしているものの。。。
施術者から、椎骨の変位が事実だから事実は伝えるべきだといって、
どんどん逐一、ドキッとするようなネガティブな情報をつたえられるのも、施術者もお客様も両者ともに嫌な気になります。
椎骨の変位は日々起こりうるものですし、数時間後の施術後には変位した状態が変わっていますので。
よほどでないかぎり、「ここの椎骨が曲がって左にずれています」などと口を開くことはありません。



ですがお客様ご自身でプリントアウトしていただいたレントゲン写真を持ってきてくれて、
自分の状態を把握しようという意気込みが半端なくあります。
ならばこれはみたまんまお伝えしたほうが筋が通るでしょう。


画像からは胸郭を動かそうとするときにかかるストッパーが、どこの部位によってでてきているかが見えてきました。
靭帯部が凝り固まった白色が強くなった状態の部分を無理に動かそうとはできないようにする安全弁が運動制限を課したストッパーです。
そのストッパーの役割は、
骨に付着している靭帯の箇所が骨から剥がれ落ちたり、たち切れるなどの障害を受ける危険な状態をかばってくれているのです。。
無意識下で傷害しやすくなっている箇所に負傷しないようかばうように運動を操作する無意識下でおこなう作用があります。
身体内部へのダメージが致命傷を負わないよう動き方に制限を自動で制限を加えてくれた結果ですから、
このストッパーを無視するほどのムチャをすると非常に危険な状態に陥るでしょう。

多少のムリはしても、ストッパーをぶっちぎりようなムチャは取り返しがつかないことになります。

その場でお客様と、その認識を共有することができたと思います。





もうひとつですが、レントゲンで撮影された脊椎の様子を参照しつつ、
脊椎の問題がどのようなネックになるだろうかという検証をするとき、
お客様がその場にいて体験談をきかせてくれると本当にわかりいいということでした。



あとは『全脊椎の作用と性質』という、障害した脊椎の個所がわかれば、
どのような運動機能的または身体の諸機能的な問題が出ているか、
または内在しているだろうかということがわかる本があります。



そちらの本からは水分調整に問題が起きやすくなっているとのこと。

すると最近にあったできごとで、
周囲の者から指摘されるほどの汗が大量に出たり、逆に出てほしいときにでなかったりがありましたと報告してくれました。

中医学では人体の 液状物質 (血や汗、尿など)が身体から外に流出しないようにつなぎとどめる働きを 固摂作用(こせつさよう)といいます。
水分量がうまく調整できておらず大量の汗を出し過ぎることで体内のイオン濃度が濃くなりすぎたり薄くなりすぎると、
血行の流れが悪化しますし腹部などの内臓の位置が下垂するようなこともでてきます。
ただこちらのお客様の場合には、話を聞けば一過性の症状であって、
一定の条件がそろわない限り、固摂作用を壊すようなことがないようです。
そうだとわかって、ほっとして固摂作用云々の詳しいことは伝えずスルーしました。

ただ胸椎の具合から固摂作用が乱れるといったわかりづらい内容を説明しようとするより、
さっと高価な施術専門書を開いてみていただいたほうが説得力がありそうなきがしました。^^;



レントゲン写真という、自分のことをリアルに映し出す絵を前にすることで、
確かに説明をする方もされる方もわかりやすくなるんだなと実感いたしました。






蛇足ですが。ーー;
そういえば、私も先週から歯医者に通い始めたのですが。
そちらにおかれているレントゲン写真を撮る機材が入っていて、
ぎゅいーんと頭部の周りをカメラが動き半周すると撮影終了します。

その治療に取り掛かる前の惨憺たるときに撮影した歯のレントゲン写真が
私の目の前のパソコンの液晶モニター画面に表示されます。
歯科医の先生に見えるようにするためだと思うんですが、
そのレントゲン写真を見るたびに、反省を促される気持ちになります。