人体の構造が根底からずれが生じていたから出る肩こりや腕の挙上の困難等がでてくることがあるわけです。。

からだの水平が数ミリ左右で高さが違う不都合について考えてみてください。

たとえば、東京タワーが建てられたとき。
ほぼ完成近くまで鉄骨を組み合わせたが、
わずか数センチ、設計通りにいかなかった個所が見つかったた。
それで、せっかくほぼ完成までいったものをばらしてしまった。
それから、また立て直したという経緯があります。

結果わかったのは、組み立ての際に5センチ、鉄骨の接合をミスったという事実でした。

巨大なタワーのたった5センチのずれです。

ですが、その5センチのずれは確かにタワーを傾斜させ正確に鉛直線上に立脚する中心軸を台無しにするのです。


人体の東京タワーの鉄骨にあたるものといえば骨格といえるでしょう。

東京タワーの5センチのずれによる影響ははかりしれないもろさを作り出す元凶となりますが、
同様に人体にとって数ミリのずれによる影響がはかりしれないもろさを作り出す元凶となります。

それがわからないうちは、心身の安定的な状態をかなえるために、調身・調息・調心という3つの内容がこの順番に整えられる必要があります。
そのうちのまっさきに満足な状態に至らなければならない調身がかなえられることはありません。
その次の段階に控える調息や調心には進めないのです。

調身とは、漢字をそのまま観察すれば、「調べる + 身体」と読み取れます。
それは禅語のひとつですから倒置されて「身体 + 調べる」ということで身体を調べるという意味に摂れます。

自身が自分の身体の状態をつぶさに調べていますか?
鏡で自分の姿を見て観察するのもいいでしょう。
ビデオや写真に撮って観察するのもいいでしょう。
もし身体的な肩こりや腰痛、その他の問題がある場合、
そういった映像等に映された成果物を分析します。
すると一般の方は筋肉の状態のみを観ることが多いようです。
どこそこの筋に張りがあって特にココが突っ張ってるとか痛いとかは、たいていが骨格筋の炎症です。
ただ施術をする者は、筋肉もみますが、はっきりいえばそこを重視しているわけではありません。
その方の筋肉の情報を読み、その下に位置する骨の並びを分析的に汲み取るようにしています。

肩凝りや腰痛、その他の多くの骨格筋が炎症を持つことによる不調原因が慢性化している場合、
その方の内在する骨格、骨組みは正常な位置に置かれてはいないのです。
関節を挟んで骨の位置が間違った関節のはまりが悪い状態のままに置かれることで、
骨が身体を支える力を失い、そのカバーをするために代償となる筋肉を硬化緊張させてのコルセットを巻き付けているから凝るのです。
骨が身体を動かす力を失い、そのカバーをするために代償となる筋肉を無理やり負担を強いて使っていくことで凝るのです。

脳は骨の位置をどこに定めるかという位置決めをした設計図を持っています。
それは筋肉で位置決めをしてはいません。
もし筋肉でカラダの胴体や首や四肢の位置を決めるなどすれば、筋肉は伸び縮みして変形するのみにあらず、
筋肉は廃用性委縮して力を失った枯れた状態におちいったり、パンプアップして過剰な大きさにもなります。
そのような形状が日々どころか、数分で刻々と変わるような不安定きわまりないものを身体の操作の計測にはつかわないそうなのです。
対して、骨が数時間で凝って短縮したり長さが変わるようなことはありえません。
なので脳が身体を動かす際は、本来的に骨に座標軸を打って、それを動かすのです。
それはあたかも、3次元のCGで人体モデルをつくり、それを操作するときの人体の骨組みとなるワイヤーフレームと同様の操作です。
3Dで人体モデルを作って、その手や足や首や頭、そして胴のワイヤーフレームを動かすための座標を入れることでアニメーションをつくることができます。
筋肉部分はコンピューターが自動で計算して描いてくれる仕組みです。
人体は、筋肉が骨を動かすツールなので、そこだけ違うわけですが、
他の骨格部のワイヤーフレームに座標を入れてアニメートさせるのは、
なんらかわりないもの。

人体の骨格の位置取りがよく調べられていて、正しい位置に置かれていれば、そこに描かれる骨格を動かす座標の指示は必要最小限で済みます。
ですが不正な位置に骨格が置かれたまま骨格を動かすには、場合によって優に数百倍もの複雑な操作をそれはおこなわなければ動かないのです。

そこの点を甘く見てはなりません。
歪んだ体により生じた複雑な操作を正常にできる能力を、人は持ち合わせておりません。
それを放置すれば、状態の複雑さが増していき、それが深層筋の癒着等があちこち数十や数百単位で内部に作られてしまうのです。
そうなれば、一般の方には対処が難しいと言わざるを得ませんが、施術者にもそのリリースがカンタンなものではありません。
運が悪ければ、すでに正常な動きに対応できなくなったそのものの身体操作は、つねにそのものの身体を壊し続けるわけです。
そのものの根底を掘って解くような施術まで対応するところを見つけられた方は幸いですが、
それが見つからなければ、状態は小康状態を続けるか輪をかけて悪化が進むことになります。


自身の身体をつぶさに調べること。
それについて各自がどう関心を持って開眼してくれるものか。
私はそこの大切さを伝えることはできても、受けとるかどうかはその人自身の資質と理解と姿勢の問題です。
そこを施術者の問題だとすり替えがあれば、
その者は自身の身体を徹底して調べる行為はなさらないのでしょう。



自身の身体(特に骨格部)をよく調べていれば、その人は幸いです。
幸の多い人生を自身で築けることが約束されることでしょう。


大変に効率のよい意義深い施術の受け方とは、
自身が調べた体の詳細点を施術者とシェアすることです。
おおざっぱに調べる人は、詳細に調べる者に成果は劣ります。

それは自身の身体がどのような状態に至ればいいかというゴールと現状で調べた自身の身体の距離がわかれば、
そのものはそこを埋めるために具体的な変化をおよぼすために脳をフルに使い始めます。そしてそれにより得た変化変容をスムースに受け入れます。
それが良い方向へと化ける力になります。

おおざっぱに調べた場合には、ほぼほぼ暗闇でろうそくをともし歩くようなもので、
ゴールがどこにあるかはわかっても、自分がそこに近づいていけているのか遠ざかっているかさえわかりません。
そういった場合、ネガティブな結果をだすようなリスクがあると感じれば、そのものは新たなステージへの変化変容は受け入れません。
現状維持のほうが、よほどさらに悪くなって苦しむようなことにならないだけ安心できるというもので、変化に恐怖を感じて現状維持を死守するのです。



ちなみに、たとえば、お客様の中に体を調べる能力が長けた方がおられ、
施術を受けているときは身体をしっかり把握したいと考えて、
なにかとメモを取って日々観察をする。
それを繰り返して自身がどのようなことをすると不調になるか、改善するか、
そういった傾向を理解し、そこが自身の体のタイプとどう関係づけされているかを施術者に聞いて把握していく。
そうやって進まれている方がいて、まさに調身が存分に成されているわけで、フルに脳を使って創造的に身体の冒険も試みておられる。

そうなると私どものような施術者として、そのような方の施術をするのは施術者みょうりに尽きるというほどのことがおこります。
その方が着込んでいた多層的な薄皮の身体的課題がざっくざっくと削り取られ、それは、施術者として、次にお見えになられるときは、
このような状態まで身体内部の代謝やお客様の身体操作へアドバイスをさせていただいた成果で変わるだろうと推測していますが、
それをはるかに凌駕する方がおられるのです。

そういう方は、決まって調身を自ら進んでなさっておられる方です。

ただ、、、座禅をしての調身、、、なんですが、座禅で調身を指導なさられたところでのものでは、
私が求める身体の変化変容の礎になるものとは違っていることがあげられるでしょう。
座禅では、座禅を組むときの姿を鏡やビデオや写真にして眺めることは推奨されてないですし、
身体内部の骨格の左右の逆さのずれや大黒柱の傾斜がどう生じているかなどの量をmmや㎝で測ってそれを理解しなさいといわれるわけではない。
多少ずれていても気にしすぎはダメだといわれる。

では私が調身するのもコツのようなものもあるとするならば、
それを知りたい方はフェルデンクライスメソッドやアレクサンダーテクニークのほうを学ぶのもいいでしょう。
そこには幾多の自身の身体を客観視して正確な骨格上の座標の情報を吸い上げ理解するためのものがあります。
ただそこはお金を出して学びに行かないとならないため大変です。
そんなとき、自分なりの調身を実践してそれを施術を受けるときに施術者にその見方でいいか他に有益なものもあるのかなど問えば、
非常に具体的な助言を得ることができる可能性もあるでしょう。
そこは各人がかかられている施術者との兼ね合いがあるので、ぜったいアドバイスしてくれるとはいいがたいのですが、
僕らのような骨の位置決めを正す意識で施術をしている者には、お客様側から問われれば多くを返せる内容を把握しています。

ただそういった内容を施術者がつらつらといい続けていてもお客様がそこに関心がなければうざったいだけですし、
施術者もそこでうざったがられてまで話をしたいとは思えないものです。
だからもっとも必要なことは話をしますが、その周辺部の有益な知恵等について積極的に口を出し続けることは、
お客様からのそちらへの質問等があって関心があるのだとわからなければ差し控えます。
じつは調身が実にうまくなされているなぁという方々は、そうした施術者が数百や数千も持っている知恵や知識を、
容易に引き出して自身のものとすることがしやすい。
そして施術者も調身で自身の身体の特徴や傾向を正確に把握できている者に対してなす助言は、
調身で自身の身体の特徴や傾向を正確に把握できた内容に対してのなぞ解きをしていくことで話を進めることができ、
質問した者にとって理由がわかって腑に落ちた瞬間、身体内部の身体マップの地図が理想に変わることがでてきます。

そういったこともありますから、施術を受けておられる方は、日頃からの調身を心がけるといいでしょう。