呼吸をたいせつにみつめること

〈鶴は万年、亀は千年〉
長寿の動物とされる亀。
目黒不動の心池や洗足池などにも多く生息しています。
晴レノ日に甲羅干しをする姿が愛らしいですね。

ではミドリガメの寿命は、何年ぐらいだと思いますか?

千年?
千年はさすがに無理でしょうが、
一般的に(50年前後)といわれています。

対してねずみは(3~4年)です。



ミドリガメとねずみの違いとして取り上げられるのが、
《呼吸の数》です。

ミドリガメの呼吸数は、1分間に 2回前後。
ねずみの呼吸数は、  1分間に20回前後。

呼吸数だけで長寿が決まるわけじゃないものの、
それぞれの平均寿命と呼吸数の差には、
呼吸代謝の質的差異が少なからず関わるようです。
ミドリガメの一回の呼吸が深い全身呼吸と、
ねずみのゼーゼーハーハー浅い呼吸の差は、
血中の酸素濃度の差もあらわれてきます。
適正な血中酸素濃度は赤血球中の連鎖が現れづらいが、
血中酸素濃度が低下する浅い呼吸では連鎖が現れます。
連鎖が現れますと髪の毛の10分の1ほどの毛細血管へ赤血球が入れず、
そうした先の細胞には十分な酸素や栄養源も送り届けられません。
そうなると浅い呼吸をなせば細胞が弱っていきます。


人間はというと、
人間の自然呼吸時の1分間に12~20回前後。
これは短命のねずみの呼吸数に重なります。

ただねずみよりカラダのサイズが大きいことや、
衣食住のアドバンテージから人はねずみよりも長く生きるでしょう。



もし人の平均的な呼吸が、
(1)ミドリガメのようなロングブレス呼吸に変えられれば?
(2)20回を遥かに超えた40~50回の呼吸数ならば?



と、ここまでは通常の呼吸を教える本で書かれていますよね。

でも呼吸法の本の指導でカバーできる人と、カバーできない人がいます。


呼吸法の大切さを説く先生方は、
長寿のミドリガメを見習いなさいといいます。
ただ実際に修行をすればわかりますが、
呼吸状態を大きく変化させることはメリットばかりではなく、
不慣れな呼吸筋操作があだとなって偏差と呼ばれる不調原因にもなります。


というのも、
私がまちなかで人々を観察すると。
呼吸筋や肋骨や肩甲骨その他の呼吸に関係する組織に独自の個性的なクセがあって、
呼吸筋操作に制限が加えられている方が多くおられます。
私どものお客様の中にも呼吸器関係の組織が制限を受けている方もおられ、
そうした制限箇所を自覚できている初期段階は軽症ですが、
自覚のまったくできないほどの慢性的な呼吸器関係の制限を受けている方もいます。

こうした呼吸器周りの筋肉の癒着の多くは、
カラダの中でももっともセンシティブな痛覚神経が配置されております。
たとえば腋窩の肋間筋が緊縮し炎症が起きていれば、
それを指先で5gの微細な圧を他者から与えられても激痛感が半端ない。
そんなことが起こりやすいのが呼吸器関連の癒着部です。

それで緊張が強く炎症がある呼吸器周りの筋群を
ストレッチやセルフマッサージでケアしようとがんばってみても、
早々に(こっからさきはやってはならないことだ・・・)と恐怖を感じ、
強烈な不快な張りや激痛が襲ってきてがんばれないようになっています。
そうした状態では呼吸法の本を読んで実践しても早々に断念するか、
弱ってもろくなった呼吸筋にダメージが加えられ悪化するでしょう。
そういったケースが全部というわけじゃありませんが、
気になるほどの割合で起こり得るようです。

そうなるとあきらめるしかないと。。。



誰もがゴールに辿り着くことはできますが、
今いる足元を観てゴールとの距離がそれぞれ違っていることを理解する。
そして生身の人は、一歩進むときの一歩分の距離はそんなに違いません。

呼吸器が弱まると気の循環が停滞し胆力も減り、
気が急いてしまう傾向が強まります。

そういわれてもたどりつくか不安であきらめるしかないと。。。



そうならないとも限らないので、気をつけなければなりません。
一度、呼吸器関連の組織に問題が出ると改善可能性が低くなり、
意外に厄介なのです。


上手な施術技術で呼吸器系のリリースを工夫し手技する先生との出会いでも、
簡単には呼吸器の機能が好調になるほどのことも期待は難しいものの、
施術回数が増すことで一人でゴールに進む一歩分の距離が延長される。
ちょっとだけゴールへの加速度が増す感じでしょうか。
私自身の呼吸器系の手技の用法は、
以前はオステオパシーの書籍で学んだものが主でした。
ですがうまくリリースが起きる限界を感じさせられたお客様がいたので、
現在は適宜、胸骨周りの靭帯、鎖骨周りの肋骨との間、肋間筋周りなど、
それぞれマッチした自作物を含めたリリース道具を用い対応しております。

で、呼吸器関係の筋膜リリース箇所が上述したように激痛ですので、
その部位のアプローチをするときに、決まって同意を事前にもらうのです。
本人が息苦しさも感じてない不調実感がない人ほど、慢性で隠れています。
そういった場合にいきなり私がリリースをすると、
施術上の失敗により傷つけられてしまったという誤解が生じますから。
そうならないように、正常の状態と現状の状態との差異があることを告げ、
そうであればわかりましたと了承いただけたときに働かせていただきます。

そういった施術者の他者助力を一部ご利用いただくことも
選択肢に入れていただけますといいでしょう。
20年前と昔のことですがそうした施術をさせていただき、
そうしたうえで既存の呼吸法のトレーニングをすることで、
マチュアでしたが声楽でステージに立たれた方がいました。
そういった方々は、自分にとって役立つかどうかをシビアに見極めている。
ただ当時の私の技術では、いま考えれば思ったほどの技術提供ができずに、
いまだったらどうなっただろうかと考えることがあります