脳脊髄液が頭部の脳を圧迫するトラブルは脳への圧迫を強いています。これも脳には不都合なことです

以下の視点は認知症に直接的に影響があるかどうか、
文献上参考になる資料が見当たらないため定かではありません。
そのため、臨床的な視点で個人的に得た考えとして、
もし参考にしていただける方がいればということで
記させていただきます。



頭部の硬膜と軟膜の間に溜められて下方へと送り出される『脳脊髄液』。
一般的に脳脊髄液は脊髄神経等の自律神経系の神経にとって欠くべからざる栄養源となっていると申されます。
脳脊髄液が頭部から下方の神経へと送り出されない場合、
神経上の栄養不足がたたって自律神経系の働きが鈍ります。
これも自律神経が失調状態に至る、一要素といえるでしょう。
では頭部内からどうやって下方の脊髄方向へと送り出そうか?
その仕組は、仙骨の動きに呼応して後頭骨等の頭蓋骨が縫合部分の関節をまたぎ、
一定方向へ頭部骨を膨張と収縮させることでかなえられます。
仙骨下方が前後へ動く力がエンジンを動かすエネルギーとなり、その作用が頭蓋骨の骨を膨張収縮させるポンプ力の動力となり動き出すのです。

脳脊髄液を送り出す際の動きは脈動のリズムとは異なりますので、
触診でそうしたリズムをキャッチできるように訓練していけば、
脈とは異なる動きが認識することができます。

こうした第三の体液と呼ばれる脳脊髄液の動きや働きを見ると、
健康を維持するために欠かせないとても重要な機能であることはわかるでしょう。

ただ、認知症または軽度認知機能障害となられた方々の20名ほどのこの部分の作動をチェックさせていただいたとき、
どなたもみな

・頭蓋骨の縫合部にある関節が詰まったり開きすぎたまま固定され動きに制限を受けていた
・頭部の前頭部骨相が思わしくなかった
・頭部から脳脊髄液を送り出す力が弱かった
仙骨の下方の前後の動きに不具合が起こっていた


といった点が見受けられました。


こうした場合、
解法のルートとして、頭蓋骨の縫合を緩めるのは後回しにしてください。
まずは仙骨の呼吸によっておきる律動的な挙動が起こるような動きをつける。
この操作が必須であり、仙腸関節に関わる外旋六筋の異常拘縮された筋肉をしっかりと緩めていきましょう。
<最重要注意点:この部位のリリースは、強固で慢性的なこわばりがあれば、
仙骨への危険な圧が強いられ命に関わるため、一般の方が勝手になさるのは厳禁です。
そしてしっかり仙腸関節アプローチに焦点を集めて研究なさっている先生にのみ、リリースをおまかせすることが望ましい。>
仙腸関節が正常に動くようにできなければ、あごの顎関節が必ずといっていいほど法則的なズレをしめし、この顎関節のずれにより頭蓋骨の縫合を堺に歪みが起こります。
また仙骨の作動には、腎経の経絡筋肉である大腰筋の力によるものですから、大腰筋が適切な柔軟性を持って筋力が発揮できることも必要条件になります。
(慢性的な体調不良の方々の多くに見られるのは、大腰筋が萎縮して固く伸び縮みができない状態に変異しておられる場合が見受けられます。この場合には、適切な手技やエクササイズにより大腰筋の硬化を緩めてあげてください)
仙骨と後頭骨の連動する作動が叶うようになり、
脳脊髄液を送り出せる量が増加してくるころには、
前頭部のおでこがちょっとずつ前へでっぱりだす人もおられます。
または頭頂部が上方へ伸びる人もおられます。
実際のところ頭部を触らせていただければ、どの部位の頭蓋骨の縫合が膠着して作動が悪くなっているかはわかりますから、そうした状態部分が多いようでしたら脳脊髄液の頭部からの送りが悪く頭部に脳脊髄液が異常に溜まったため脳を圧迫していることがわかります。
そうした詳細をチェックする前にも望診で頭部を立体的に眺めることで、頭部の骨の変異を推測して脳脊髄液が頭部に溜まり過ぎていやしないかはあたりを付けることができるのです。
そうしたこともあって私もそうした勉強のときには、
街でベンチに腰掛けて通り過ぎる人の頭部をチラ見してみたり、
同業の先生とあのお人はどうであろうかと答え合わせをしたり。
そうやって5秒以内に理由を含めチェックを完了させるという修行をしてました。
するとなかには惚れ惚れするような頭蓋骨のおじいちゃんや女性もいました。
見れば一目して歩きが大腰筋の力を活かしているんですね。
対して難ありの方々は、大腿直筋を使った膝を持ち上げて歩くパターンです。
ただ日本人の多くは「大腿直筋を使った膝を持ち上げて歩くパターン」をなす方が多くなっており、この歩き方をなさられれば、腸骨の上部が前傾していき仙骨と腸骨を結ぶ仙腸関節に位置ずれや梨状筋の異常拘縮状態を作り出されますので脳脊髄液を送り出す力が弱まってしまい健康によくありません。


こうしてわかるように頭蓋骨の骨相として欠けやつぶれと思わしきものが見受けられるとき、
脳脊髄液を送り出す機能のトラブルの引き金は
一様に大腰筋や内転筋群の腎経上の経筋トラブルが潜んでおりました。

つまりこれが『腎虚』の肉体的な体癖を作り出す源ともなります。
こうした肉体上のパターン動作として仕込まれた運動神経系は、
動き方を正しいものへとブラッシュアップしないかぎり、
どのようなよい施術を受けたとしても前進して改善は遅くなるか、
老化すれば現状維持も難しくなるでしょう


こちらのアプローチは食養生や生薬の服用でカバーする範囲の外であり、
手技療法や運動療法のようなところにもお世話になるといい点といえるでしょう。

(薬膳等の体質改善とあわせて手技療法や運動療法を実施なさるのが理想的といえるでしょう)

こちらは腎虚体質を改善させるときのための注意点として記憶していただければ幸いです。



ですが私がこうした不具合をもたれる方と思われし方々ですが、
そうしたお体の現状が日常的で他の調子が整った状態と比較できづらいならば、
具体的なここがつらいと指させるような違和感としては感じることができなくなっておられることが多いようです。

そういったときには客観的な視点でお体の状態を評価していく基準を心得ている先生方に調べていただける機会を得られれば、
自分の状態がどういったパフォーマンス制限を受けているかを知る参考になるでしょう。





以上、に記した以外にもいくつか認知症になられた方の共通点は見受けられます。
ですが散文調に書かせていただいたため、
これ以上書けば伝わるものも伝わらなくなりますので。
本日は、これまでとさせていただきます。m__m