脈を診ようとして、撓骨動脈を軽く按じて状態をみるが、、、ここからなにを読み取れるのかってよくわからない!
脈診を勉強したての頃で、
中医学の教科書をもとに、
だれにも脈診の手ほどきを受けなかったころ。
私は絶望的な気分を味わった記憶があります。
私はそれで脈診講座を受講し脈の見方を習いに通いました。
講座で習ったそのままお伝えするのは規定違反となるでしょうから差し控えますが、
学んだ概要のみをおつたえできればと考えております。
健康な脈を、《平脈》と呼びます。
以下のような健康な脈であるための8つの要素があります。
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(強さ)柔和有力
(位置)不浮不沈
(長さ)三部有脈
(太さ)不大不小
(速さ)不遅不数
(流れ)従容和緩
(脈拍)節律一致
(尺部拍動)尺脈有根
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「柔和有力」など、見慣れない四文字熟語が並びますが、
こちらが脈の強さを診るときの健康状態である指標です。
たとえば先頭に書かせていただいた要素の(強さ)柔和有力。
こちらの「柔和有力」は、
脈管が、グニュグニュではなく、硬すぎなくて程よい張りがある様子を表します。
私が脈診講座で習った脈診法では
脈を診るため撓骨動脈に触れたら、
まず「柔和有力」かに意識を集中!
脈を触ったとき、
脈管内の血液量が正常より少なければ軟脈となり、
気血が足らない《虚》とわかります。
脈を触った瞬間、脈管内の血液量が正常より多ければ硬さが強い張った脈となり、
気血が過剰な《実》とわかります。
柔和有力以外の虚も実も病脈です。
それを判断して次の要素を診ます。
ただすでに虚実が分類できており、
虚証ならその後の実証の項目は調べなくてもいいし、
実証ならその後の虚証の項目は調べなくていい。
こうして判断する項目を半分に減らしていきます。
たとえば脈管内の血が足らない軟脈で虚証なら、
脈の位置は(深く沈み)ます。
だから《浅い位置の浮脈は《除外》して診ていい》。
診るにしても確認程度の意識の使いようで足り、
術者の脳疲労を大幅に軽減させてくれるのです。
すると沈脈ですから、
脈位が沈む量を読み取ることに集中すればいい。
同様に、
(強さ)のつぎの基礎となる脈要素をチェックして、
さらにあり得ない病脈を《除外》して診ていきます。
そうして方で手際よく8つの要素の情報を集めます。
~~
こうして【あり得ない病脈を《除外》】を続ければ、
最後に必要な脈状の情報が調べがつく感じです。
~~
つまり、、、
脈診の基礎となる8要素を同列にチェックするのではありません。
虚実を最初に判別してふるいにかけ、
虚なら実を、実なら虚を《除外》していくと同時に、
次の要素にありえる状態や状況がすでに推測されてもいるのです。
情報を整理してありえない様子を《除外》して、
次の要素で調べるべき情報を絞るいい手なのです。
脈診で診る要素の並びが一定し、ルーチン化されていくため、
脈を診て得た情報が整理分類され記憶負担が減らせる状態ででてきます。
私が教えていただいた脈診講座ではこうした不要な情報を《除外》して
必要な情報のみをチェックしていく脈の見方を教えていただきました。
脈診の基礎となる8要素をこの順番で調べなさいという表をくださり、
それにもとづいて脈を診るトレーニングをしてきたわけです。
不要な情報を《除外》して調べなくていいものを明確にする。
受講前はそうした脈の見方があるとは知りませんでした。
これを実行すると脈診中の作業の省力化がスピードを生み出してくれて、驚きました。
ルーチン化した判断をしていなかったときは、
毎回どの要素項目から脈を診るかがまちまちになっていたのです。
脈に触れたときに、ガーンと強めに伝わってくる病脈要素がこちらの意識を捉えるため、そちらを終止して探ろうという意識が高まっていたと思います。
そうした場合に脈の記録をメモったシートは並びがまちまちです。
強めにみえた要素に気を取られて脈を診た全体像要素のバランスがわるく、
それで最終的に不正確な脈を診て判断をすることになっておりました。
そうして初心者だった私が自分なりにやったが成果がぶれた脈診が、
こうした判断をする要素を並べたフローチャートがわかっていくと、
診る私のこころに余裕が生まれて納得の行く結果が得られるのです。
なんて先生の脈診法は合理的かつ画期的なんだろう。
私ごとですが施術中のお客様の脈を述べ人数500人ほど診たとき
脈診手順が私の身体的に定着してきました。
定着には相応の時間や修練が必要ですが、
身につけば心強い判断ツールですので。
これから脈診を勉強しようというとき、
こうした手順以外にも様々な工夫があるようですから、
ご縁のある先生から伝授いただくこともよいでしょう。
まったくの白紙から自分でやり方を生み出すのは、、、
ワタシ的には脈診はほんとうに難しかった技術でした。
実感として優れた先生から手ほどきを得て
研鑽していかれるほうがいい成果がえられるような気がいたします。
お話が、
より臨床に近くなりますが、
脈診でお客様の身体の情報を得たとき、
実際には「これって、どういうこと?!」という
ぱっと見で理解に苦しむような脈診結果が出ることがよくあります。
ということから脈診から人体における情報を獲得する技術だけでは
現状のお客様の困り事がみえてこない。
そうなったとき
脈診で得た内容は中医学基礎理論を深く理解した上で
《脈理》に基づいて判断する力が必須だと、
脈診講座の先生がおっしゃられていたことを思い出します。
まさにそのとおりで、
脈理がわからずに、都度都度、状態のパターンを暗記していては、
身体の理解を深めるきっかけにもなりませんし、
誤った判断をくだしかねません。
ここからがちょっと残念なぐちのようになりますが、、、
ただ当時、私は中医学基礎理論がさっぱりわかっていなかったので、
その脈が現れた理屈を噛み砕いて理解することはできませんでした。
中医学基礎が難解に感じられさっぱりわからなかったため、
やっていたことといえば中医学用語とその意味内容を含め
ノートにむかってただただ書写するのみだったことを覚えています。
まったくその行為では頭に中医学の理屈がわかってこなくて、、、。
ペンを握り指先から血が出てくるほど書きまくったもノートがある。
でも私の頭の中はすっからかんで、ほとほと情けなくなりました。
《脈理》といわれてもさっぱりそれを読み解けないダメなおおじさんでした。
今思い起こしても、そのときの脈診講座、私以外は鍼灸師さん達で。
ひとりだけ徹底した落ちこぼれゆえの居心地の悪さは、つらかった~。。。
ですがいま脈診のテキストを読むと、
少しは中医学の基礎が見えてきたようで、
「そういったことだったか!」と腑に落ちることも増えました。
私が講座で利用してきたテキストの
【脈診 基礎知識と実践ガイド】の第二部までに書かれた意味が
少しずつですがわかるようになったのです。
第二部までわかれば、脈診の基礎力がついたといえるでしょう。
ただ第三部以降の肝心な病脈編が、文章中の意味が少しはわかるが、
脈に触れて「これってどういった脈なの?」と判断がつかない脈が過半数となります。
私なぞはほんとうに脈診の基礎の基礎がわかってきたという段階に過ぎない。
そこを思い知らされます。
脈診がきっちりできている先生方とは、
どれだけ繊細な感受性を指先に宿さなければならないのだろうか?
脈診講座の先生も、
診るのも難しい脈状もあるから、
そういったものまでわかるには
並々ならない訓練が必要だといっておられました。
正直、今の私には計り知れないところです。
できればわかるようになってみたいですね。