ひとつの気になる体に起きた痛み。
こむら返り。
そこを例に、どういった見方で対処する方法があるのか。
微妙な深掘りを交えて解説させてくださいませ。
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【肝血虚】
《肝血虚とは》
先天的に肝血が不足しているか、
脾胃虚弱または出血で肝血が不足している病態です。
またストレス過多により精神的影響を受けたことでなることもあります。
《症状は》
耳鳴りやめまい、多夢、目のかすみ、目の乾燥、手足のしびれ、足のつり、無月経、倦怠感などが起こります。
《舌診と脈診》
舌は淡白で脈は細脈。
《対処法》
(経穴の刺激)では、
滋陰肝血として(太衝、三陰交、血海、肝兪、膈兪)を用います。
(漢方薬)では、
血を補う補血薬として(四物湯、当帰芍薬散、十全大補湯、帰脾湯)などをもちいます
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以上が中医学による肝血虚に対する端的な解説と対策です。
ここで気づくことはあるでしょうか?
たとえば。
<こむら返り>といえば肝血虚。
<足のつり>のことですね。
無意識にそう思いつきます。
では、あなたが夜に寝床につくと、
ここ数日、きまってこむら返りを患ったとします。
ではそちらを東洋医学で対策しましょう。
まずは<こむら返り>を経絡で改善をはかろうとしたら
(太衝、三陰交)を刺激してみましょう。
こちらは足にある経穴ですから足の治療と直感できます。
次に肝血虚という肝の血が足らない状態の改善を図ります。
(肝兪、膈兪)は背中で刺激しづらいものの見定めて刺激。
こうした一連の決まり手(エビデンス)による手当でも
状態がそんなに悪くなければうまくいきます。
ではここで、刺激する経穴に対して選択の目を厳しくしてまいりましょう。
《肝血虚で影響する症状に対して経穴の「使い分け」》
・上半身が問題なら(膈兪)
・下半身なら飛び入りで(血海)
・全身なら(三陰交)
となります。
肝血虚により生じた<こむら返り>は、
・下半身トラブルです ⇒(血海)
・全身の安定もはかりたい ⇒(三陰交)
これら2経穴に絞って丁寧にアプローチすることで、
効果が実感できることもあるでしょう。
そう考えれば(太衝、三陰交、血海、肝兪、膈兪)5つの経穴を刺激するのではなく、
上半身に問題がないため(膈兪)は除外してよくなり
4つの(太衝、三陰交、血海、肝兪)への刺激に収める。
熟考の末、わずか1つの経穴を刺激対象から除外することができました。
経穴へのアプローチは、
多くの経穴を刺激をすべきではないという流派もあります。
経穴の刺激は、刺激されたところへの気の流れが集中します。
それが多くの経穴刺激をすることで気の流れが分散して気の弱まりが生じるということでしょう。
確かに少ない経穴の刺激のほうが、シャープで効きがいい実感を受けることがあります。
そうしたシャープな気の力が巡れば、施術後、経絡内を幾日も気が駆け巡ります。
このような通経作用には自律神経をよく整え体質改善をはかる作用が期待できる。
こうして刺激する経穴の数を減らすことも、
専門的な深堀りした勉強が進んで《使い分け》ができるようになってからです。
もちろん減らすばかりではなく、
必要なら加えるときもあります。
《加減》に気を配って成果を増す工夫をしてまいります。
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では【漢方薬の処方で対処】しようとしたとき。
(四物湯、当帰芍薬散、十全大補湯、帰脾湯)をもちいなさいと記されています。
(※ 肝血虚を改善させる処方は他にもあります)
じゃ、(四物湯、当帰芍薬散、十全大補湯、帰脾湯)のどれでもいいの?
漢方薬のパッケージだけ観ていてわかるものではないのです。
私も3ヶ月前はさっぱり判別できなくて、
ほんとうに戸惑いました。
漢方薬の使い分けのチェックポイントがわかっていなければ、
決め手がなければ、一か八かやってみるのが正解なのかな?
でも漢方薬は医薬品ですから誤った処方をとれば危険です。
あまりに乱暴です。
誤治となって体にダメージが加えられてしまうでしょう。
解決してほしいですよね。
では、たとえば書籍:『漢方薬キーワード大全』を参照しますと、
[痛み系]50 下肢の痺れ・痛み:では(芍薬甘草湯)が<こむら返り>
[内科系]15 浮腫(リンパ浮腫):では(九味檳榔湯)が<慢性こむら返り>
となっています。
あなたが慢性こむら返りではなくて急性といえる状態であれば、
ファーストチョイスは(芍薬甘草湯)の一択でよいのでしょうか?
でも並行して<こむら返り>のキーワードで他の本も調べたら、
他の漢方薬の名がいくつも出てきますもので、こころはゆらぎます。。。
和漢ではない中医学の派閥であれば、
《漢方薬の使い分け》を理解するには、
中医学理論に習熟していることが読み解く基本で必須です。
《生薬が単語で、処方が文法》といわれる漢方薬の世界は、
英語を学ぶときのように生薬という単語を大量に記憶して、
処方という構文に当てはめて使っていくこととなります。
そうした勉強が進んでくると、
目的の漢方薬に含まれる構成生薬を、
量、五性、五味、生薬特有の作用、
生薬同士の組み合わせによるパワーアップなど
様々な条件の違いがわかってきます。
そのうえで服用を考えている漢方薬をそれぞれ調べます。
表にして一覧比較することができるよう
まとめておくことがポイントです。
その結果と自分の状態を突き合わせます。
すると「これだったか!」と決まります。
手間暇はかかりますけど、
漢方薬に関心ある方は試してみてください。
製薬会社には目的の漢方薬について、
詳細資料をホームページで公開しているときもあります。
参照して詳しい情報を得てみると、
大幅に取り組みハードルが下がりお勧めです。
ただここまで言っておきながら、
そこまではやってられないというのが普通の感覚かと思います。
試しに任意の漢方薬を抽出してまっさらな状態からチェックしてみると、
食物性味表等の資料から調べると膨大な時間がかかりますから、
まとまりのいい
そう考えると、
実質登録販売者との相談が割愛された買い方は避けてほしい。
いきなりAmazon等の通販サイトでは入手しないことでしょう。
対面販売をしている漢方薬局等は安心だと思われます。