上海には薬膳料理店が少数って、ほんとでしょうか?

 

書籍:『知識ゼロからの薬膳入門』村上文崇(著)自由国民社(発行)
上海で活躍なさっておられる漢方医が書かれた薬膳の入門書です。

本書のまえがきに、こう書かれております。

上海に旅行や仕事で日本人やってきて、著者の村上氏が漢方医と知ると、
『お勧めの薬膳料理店を教えてください』と尋ねられるそうです。

質問をした人の腹づもりは、
中国の大都市上海なら薬効を持った滋養食材を使う薬膳料理店の激戦区で、
日本の薬膳料理の店よりうまい店がひしめいているものだろうと思ってのことでしょう。

ですが著者はいいます。
上海には薬膳料理店はほとんどありません。

中薬のトカゲや朝鮮人参を用いた料理店はあっても、
それは薬膳料理店ではなく『普通の中華料理店』です。




ごく少数、薬膳料理店もあるというが。
すでに出すメニューが決まっている店であり、
そちらを薬膳料理店だと認めることができないといいます。


本来の薬膳は、食す方の体質を診てメニューが決まるものです。
その方にとって気血津液のバランスを再構築できる食材が決まり、
調理法も決まってくるものです。


そうなるとすでに出すメニューが決められていては、
食す方の体質を改善させるような食材の選択もできませんし、加減もできません。
体質にあわない食材が使われていたら体調を崩しかねません。

そういった料理を薬膳といってお出しする料理店をお勧めするわけには
漢方医の肩書を持つ著者にはやぶさかではない。。。




こうした本書の冒頭に描かれた大多数が持つ薬膳像から
正しい薬膳の認識へと向かわせる序章が繰り広げられてまいります。





私自身、
『中国人なら観光客目当てに薬膳料理店って看板をバンバンだして、
それで客引きしてるんじゃないかな?』という失礼な偏見を持っていました。
これは私の身近で知る商魂たくましく活躍する中国人の数名から描いた印象で、
まったくもって、失礼極まりない誤解でした。お詫びして考えを改めます。


中国文化圏に暮らす方々は、
日本人よりも正しい薬膳の知識を持って生活を送っております。
彼らの観るテレビ番組やYouTubeチャンネルを調べてわかります。

正しい薬膳のコンセンサスを持った方々が暮らす上海だからこそ、
漢方医が勧めるにはやぶさかではないような料理をお出しする薬膳料理店に違和感を感じるのかもしれません。

それは正しい薬膳を把握すれば四診から弁証論治を経ずに
固定したメニューを出す店は薬膳料理店ではないと判断しておられ

そうでなければ中華料理店の範疇に收めると考えてのことでしょうか。



対して日本では日本人全体が正しい薬膳の認識を中国人ほどはもっていない土壌な点は否めません。
少し前の私が、お恥ずかしい話、まったくもってそうであったように。

薬膳知識を持った方がメニューを考えて、
特別な健康へのこだわりを持つおいしい料理をお出しする店が薬膳料理店という印象。
私はそうしたヘルシーなお店が活躍してくれることは大歓迎です。
そうしたお店が良質な営業をしていただくことで、
来店者が『薬膳』に興味を持つきっかけとなります。
こうしたお店が正しい薬膳の勉強をしたい方々を増やす先駆けではと感じています。


もしも日本人全体に正しい薬膳の知識が普及する未来があれば、
そのときは上海のような大都市にもかかわらず薬膳料理店がほとんどない状態に変わることでしょうか?