深い理解には人体の構造理解と機能および作用の理解が組み合わされるとよい。

昨夜はボディチェックのお客様がおいでになられました。
身体的な状態の後退は観られません。
以前お会いしたときより立位や階段を登る際の安定感は増していました。
うれしい限りです!

ただ根本的な脾の弱さは私同様に折り紙付きの方ですし、
梅雨の時期が過ぎた後の酷暑では相当に難儀しそうだと本人が語ります。
脾が弱ければ、気の生成能力が低下いたします。
気が正常値届かなければ、とにかく体力的に一般の方と比して劣ります。
そのため酷暑では暑さによる汗と気の固摂作用失調による自汗によって体力の消耗が著しさが増していきます。
そうしたときの前に歩き方などをチェックさせていただいたのが印象に残りました。
施術では新たなツールと中医学の理解のおかげで、以前はケアができなかった深部までリリースがかないました!!
予定以上に精密に対応できたツールの活躍は、いまさらながら納得できる手技ができるようになってきたというところはうれしい。






ここからは今日のお題、気虚証の種類となります。


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(気虚証の分類と病態図)

脾が弱いということは、消化器の消化吸収機能が低下して気血の生成に制限が課された状態です。ら
それで気虚証へ。気の不足が進めば気陥証となります。



■ 気陥証とは

気陥証の絵に書かれた〘中気下陥〙とは、中がお腹の中の意味でお腹の中にある気が足らなくなって下方へ望ましくない状態に陥った(おちいる)状態を言い表します。

よって、胃下垂、脱肛、下腹部墜脹、子宮脱、子宮下垂、遊走腎等。お腹のなかの内臓が垂れ下がってしまう症状があれば気陥証と考えられます。
そして気虚証の臓腑弁証上における詳細分類からは肺・心・脾・胃・腎に関係が深いのです。気陥証となったなら、脾胃が下垂すれば胃下垂、腎が下垂すれば遊走腎のような具合ですね。


中医学的には気が脾の昇清作用により臓器を定位置まで持ち上げるといいますが、それはいったいどういった事象でしょうか?

立位や座位では胴体が垂直に立つことで、臓腑は重力の鉛直方向へ下降する作用によりつねに落ち続けています。(重力による臓腑の下降)
では主だって下垂しやすい中焦、下焦の臓腑を観察してみましょう。


胃・腎・子宮・脾(大腸・小腸など消化器全般)などグラム数を調べてみました。

各臓器の重量(グラム数)
​胃(い):約 100g ~ 150g
​腎臓(じんぞう):約 200g ~ 300g (左右2個の合計。1個あたり約100g~150g)
​子宮(しきゅう):約 40g ~ 70g (※妊娠していない成人女性の通常時。妊娠時は約1kgまで肥大します)
​脾臓(ひぞう):約 80g ~ 120g
​小腸(しょうちょう):約 200g ~ 300g
​大腸(だいちょう):約 200g ~ 300g
​【補足:大腸・小腸などの消化器全般について】
胃・小腸・大腸などの「管腔臓器(中が空洞の臓器)」は、中に含まれる内容物(食渣や便)を除いた臓器そのものの肉厚(組織)だけの重量です。

指定された臓器の総グラム数
​上記で挙げた臓器の重量をすべて足し合わせると、総重量は以下のようになります。
​最小値の合計:約 820g
​最大値の合計:約 1,240g
​したがって、これら一連の臓器の総グラム数は**約 800g ~ 1,200g(およそ1kg前後)**となります。


こうしたおよそ1Kg前後の中焦・下焦にある臓器を重力に抗して持ち上げる力が持続的に働き続けています。
1Kgの臓器を下支えしながら持ち上げ続けるにはインナーマッスルの力を得た仕事がなされているはずです。
であれば構造上、呼吸の力(呼吸筋)を使っているのは明らかです。
腹部の下焦と中焦に関係している呼吸筋肉は、骨盤底筋、横隔膜、腹斜筋等、そして大腰筋です。
大腰筋の上端の付け根は横隔膜の唇に付着している。それにより大腰筋が緊張収縮すれば横隔膜が下方に引き下ろされ、大腰筋の弛緩により横隔膜は上方に引き上げられる。大腰筋は個人差はあるが、理論上は90Kgの出力ができる(鍛えて出力方法を学べば、さらに飛躍を遂げますが)。この呼吸時の大腰筋のおよそ1Kgの臓腑を持ち上げるに十分な作用がおこなわれる。呼吸とは、息を吸う:納めるのは納気といい腎の力、つまり腎経の経筋となる大腰筋の力となり、息を吐く操作は肺の力によります。
(※横隔膜の筋力のにより横隔靭帯を通して横隔膜および骨盤底筋群の上下動を操作している。そして腰椎や脊椎全体を上下に収縮伸展、または前後にそらしつて腹腔内を拡張収縮をする仕事を腹部の呼吸を支える筋群がし続けている)

こうした理想的な機能が発揮できておればひ弱じゃございません。


ですが理論上90Kgの出力があるはずの大腰筋が、石のように、鉄棒のように、またはスチールワイヤーのようになっていて、背中側の腹腔にびっちり癒着が進んでいるなら、どうなってしまうでしょうか。

こうなれば大腰筋はすでに硬化萎縮したまま。収縮と伸長を繰り返して呼吸を助けることはできません。
背中側の腹腔に大腰筋が癒着したままでは、もし仮にその大腰筋をさらに収縮させれば腹腔壁を包む膜層がむしり取られ大腰筋の筋膜も同時に乖離のときに組織破壊がなされますから、乖離による激痛を感じるでしょう。別名、ギックリ腰という大腰筋の部分的な筋断裂症候群です。

一般の方には大腰筋と言われても、図や映像で観るものという感じでしょうが、施術者としてみれば、異なった見立てをしています。
私では、最低でも、みぞおち奥に位置する大腰筋の上端部、その直下5~6cmの腹部側と背中側をわけて観察、大腰筋中腹のオヘソを含む部位の周囲約6cmほどの腹部側と背中側をわけて観察、下腹部から鼠径部までの腹部側と背中側をわけて観察、最後に鼠径靭帯にかかる部位とその下の小転子付着箇所。左右大腰筋で総計14箇所をチェックするのです。そして患部を発見して、さらに細分化して患部との関連を含めて検査の部位を厳密化していきます。それをした後に大腰筋を理想上に仕上げて行っています。急性の方はこんなに時間はかかるものではありませんが、慢性の方は構造上のトラブルがおきていれば、非常に複雑な状態を呈する場合が多いのです。それを緻密に計算しながらリリースを重ねることによらねば大腰筋は収縮と伸長による横隔膜操作や骨盤底筋群の動きを起こすことはできません。(ショートカットしてカウンターストレインのTポイントをインジケーターにして解くことで済ませることもできます。ですが、正直、もとに気虚が進む方には瞬間芸的な改善でしかないと考えています。・・・残念ながら、戻りがありますし、戻りが早いだけでなく、外的に急激にもたらされたバランスの変化についていけずに、別のところに歪みを設ける方の割合は少なくありませんでした。それを知っているので、手をかけるところでありかけた分だけ利が還るのが大腰筋の改善であると割り切って、丁寧にみていきます。)

ただし大腰筋だけみているのは問題で、腰椎を腹側で囲む左右大腰筋の対になる背皮で腰椎を囲む左右の起立筋を含めて計算して釣り合いをもったリリースをしなければ腰椎が垂直を得て積み重ねられることがありません。この対処が難しいのは、大腰筋から対処するか、起立筋から解くかです。それは立位でのチェックをするときのお客様の足裏の重心点を把握できれば、どちらを優先して解いて合わせるかがわかると思います。



そして以下の図をご覧ください。
左手は、正常な骨盤の位置で腹圧も一定しております。
対して中央と右手は、それぞれ骨盤前傾という構造的な変位における失調と気陥証という気が足らなくなって内臓が下垂するる状態の図です。


中央の骨盤前傾図と右手の気陥証図は合致しています。



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(気陥証と骨盤前傾図)


この場合、
1.構造的な乱れを正すことで改善させるか、
2.足らなくなった気を補う(補気)ことで改善を期待するのか。
3.または構造と作用と同時にサポートするべきか。


という3つにわたる対処法が考えられるようになったわけです。

1.構造的な乱れを正すことで改善させる:ときの問題は。
骨盤前傾による構造的な乱れを正しても、飲食不節や過労や睡眠不良などにより気が損なわれたままであれば気陥証から抜け出すことはなく、そのままとなる。

2.足らなくなった気を補う(補気)ことで改善を期待ときの問題は。
飲食に気をつけ睡眠を細心の注意をしながら気を補う食薬や方財を取り続けても、すでに慢性化した骨盤前傾の状態は大腰筋の組織が他の腹腔や臓腑や鼠径靭帯等の組織との癒着が進み自然にそれが乖離することは考えにくい場合は、そのままとなる。

3.構造と作用と同時にサポートするべき問題は。
これが一番、改善確率を高めてくれる積極採用させていきたいアプローチです。

いずれにせよ実行上の大腰筋の状態把握は癒着箇所を硬さ、太さ、炎症熱、筋張り、乾燥や大腰筋と癒着する他の組織の把握技術が必要ですしリリースの技術も必須です。
気陥証以外の証を合わせて持っている場合も考えられます。たとえば気滞証などがあれば補気をすれば誤治の失策となり副作用が起こり効果がでません。故に、浅い見立てでことをはじめることは、専門家としてはお勧めしかねます。




私には中医学の知識が考具となってつかえるようになってきたとき。手技療法上で臨床で観察して気づいたが理由が見当がつかないようなことが、多くあったのです。そうしたときに中医学の機能と作用の理解では行間が抜けて理解が表面化した部分が、手技による構造的な観察可能で事実から読み溶けるものだが、その裏側の理由が言語を通して説明できない場合があります。そうした手技の構造主体と中医学の機能・作用主体のふたつの事象を並べて思考のテーブルに乗せたとき。まさに表面的な理解から脱して腑に落ちるものが見つかります。
深い理解には人体の構造理解と機能および作用の理解が組み合わされるとよい。


実際、昨日の施術でも、そうした場面をいくつも遭遇しました。特に腹部のリリースでは。