体のなかの発電所があることは生理学上わかります。
歩くには体幹を支える筋群や足を持ち上げる動作させる筋肉へと電気を流して動きを与えています。理科の生物実験で、カエルの足に電流を流したらビクンッと動作する実験がありましたね。歩行時の電気の役割は、どの筋肉をどれだけの量の緊張を与えておくかという(情報を伴った伝達)により運動を制御する役割も担っております。電気で動く自動車は電気が動力源ですが、人体の場合は営養を持った血(血液)がガソリンの役割を持って臓腑や器官を滋養し活動をさせるといえるでしょうか。
そして心臓を含む五臓六腑を動かしたり、目や鼻や舌を動かすのも神経を介した電力と関係性があります。
もし、心臓の気のエネルギーが不足すると、心気虚(しんききょ)と呼ばれる常態となります。心(しん)の陽気・エネルギーが不足し、心臓のポンプ機能や血脈の推進力、および神志(精神・意識活動)の統括が低下した病態となります。
具体的に心気虚によりおこる症状を申せば、
動悸・息切れ:少し動いただけで動悸が激しくなり、息切れを伴う(労作時に悪化)。
自汗(じかん):暑くもないのにじわじわと自然に汗が出る(心の液である汗を留める気配の不足)。
精神疲労・健忘:頭がぼーっとする、物忘れが増える、集中力の低下。
不眠・多夢:心神を養えないため、眠りが浅く夢を多く見る。
顔色の変化:血流を顔面へ送り届ける力が衰え、顔色が白っぽく艶がない(面色恍白)。

(脈診解説イラスト)
以上の8要素で脈を調べていきますが、
発電力が足らなくなっている気虚(ききょ)における脈象で、気虚かどうかの判断をいたすことができます。
実は脈を診るには平脈といわれる理想的な健康な脈状を知ることで、病脈の判定ができるようになります。だから平脈がわからないと、脈の位置が丁度か浮いてるか沈んでるか、脈の強さが丁度か強いか弱いのかが判定できません。
そのためにも一度、かかりつけの鍼灸医がおられましたら、脈の診方に関心あるからご教授してくださいとお願いしてみたらどうだろうか?私は、平脈が脈診書籍からでは見当がつかなかったため、脈診の本を著した先生が脈診講座をなさっておられたので、そちらに通わせていただきました。そうした体験を通さなければ、脈診はできるようにならない技術と言えるでしょう。
脈診が身について証の弁証に役立てられるようになれば、自分の気血津液の流れの状態を高い精度で読めるようになったということです。すると、対処方法に迷わず切れ味の良い食材とうの使い分けができるようになるため、脈診を身につけるのは自己健康検査に取り入れてほしいものです。(かの戦国武将、伊達政宗公は、日々、自身の手で脈を診て健康状態を把握し体調管理をしていたことは有名です!)
話しの前置きが長くなりましたが、
脈象の専門用語を使わせていただくことをお許し頂きますれば。
基本は「虚脈(きょみゃく)」**または**「弱脈(じゃくみゃく)」「細脈(さいみゃく)」であり、脈の拍動に力強さがなく、指を押し当てると消えてしまいそうになる「無力」な状態が中心となります。
気虚の脈を診る際の確認ステップ
1. **脈位(深さ)の確認** 軽く触れた状態(浮)で力があるか、指を沈めた状態(沈)で芯が残るかを確認します。気虚ではどの深さでも**反発する弾力(脈力)が不足**します。
2. **脈勢(強さ・幅)の確認** 指を押し込んだときに脈が押し返してくる力があるかを見ます。押圧に耐えられず潰れてしまう場合は「気虚」と判断します。
以上の脈位と脈勢を脈診で正しく判定することができるようになれば、虚証の判定が行いやすくなります。
そして、もう一つ厳密なチェックを心がけるならば、、、。
**他の虚証・実証との鑑別**
- **気滞(実)との鑑別:** 気滞は「弦脈」のようにピーンと張った硬さ(有勢・有剛)が出ますが、気虚は柔らかく弛緩しています。(気滞とは、気の循環が堰き止められる等の要因から、気の流れが停滞した状態です。気滞と気虚が折り重なるケースもございますが、その際は、先行して力強く気を押し流す作用(理気作用)をもった食薬や中薬等を用いて気の滞りの通りをよくします。先に補気の対処をなさるのは悪手となります)
-
**陽虚との鑑別:**
陽虚では気虚の無力感に加え、脈拍が遅くなる「遅脈」や深部でしか触れない「沈微脈」が顕著になります。(気虚より陽虚のほうが病症としては進行し重篤化しております)
専門性があがりますが、気虚を判定する主要な脈象を分析把握いたします。
- **虚脈(きょみゃく)**
- **特徴:** 浮・中・沈(浅い層~深い層)のいずれで触れても力がなく、柔らかく頼りない脈。押すと指の腹の抵抗感がすぐに抜ける感覚。
- **意義:** 全身の気血両虚、特に気の推動・固摂作用の低下。
- **弱脈(じゃくみゃく)**
- **特徴:** 沈位(深く押した層)でしか明確に触れず、かつ極めて細くて力が弱い脈。
- **意義:** 気虚が進行し、陽気や血の不足を伴っている状態。
- **細脈 / 微脈(さいみゃく / びみゃく)**
- **特徴:** 糸のように細く頼りない脈(細脈)、さらに微弱で途切れそうな脈(微脈)。
- **意義:** 気虚により脈管を充実させる力(気血)が衰退している状態。
- **緩脈(かんみゃく)**
- **特徴:** 1呼吸に4拍程度とやや穏やかで、緊張感がなく緩んでいる脈。
- **意義:** 脾気虚(脾の運化機能低下による湿の停滞や筋力の弛緩)。
これらの脈象の現れ方により使用する漢方薬や食薬が使い分けの参考とされます。
※補気方剤は、気の不足が「どの臓腑」や「どの方向(昇挙・固表など)」に影響しているかによって適応脈象と処方の使い分けが明確に分かれます。
◯ 代表的な補気方剤の対応する脈象と使い分けのポイント
四君子湯(脾胃気虚)は、脈象:「緩弱(かんじゃく)」
- **使い分け:** 気虚治療の基本骨格。気が上に行き過ぎることも下に落ちることもなく、単に「真ん中(脾胃)の気が足りない」状態です。脈に強い乱れはなく、全体的に柔らかく力が抜けています。
補中益気湯(脾虚気陥・中気下陥・昇提)は、 脈象: **「虚大(きょだい)かつ沈取で無力」
- **使い分け:** 脾気が衰えて清陽(上昇すべき気)を上部に持ち上げられない状態です。脈管を外側へ押し広げる陽気・津液が不足するため、表面は大きく触れても指を押し込むと手応えが消える「虚大無力」が現れます。柴胡・升麻で気を上に引き上げます。
玉屏風散(肺気虚・衛気不固・固表止汗)は、脈象: 「浮虚(ふきょ)」**、特に**右寸の弱さ
- **使い分け:** 肺の宣発作用が低下し、体表(衛気)の守りが崩れている状態です。外邪を防ぐ「屏風(びょうぶ)」の役割を果たし、肺の主る右寸脈が弱く、皮膚表面を守る浮位の脈に締まりがない場合に適します。
人参養栄湯 / 十全大補湯(気血両虚)
- **脈象:** **細弱脈(さいじゃくみゃく)**
- **使い分け:** 気虚に加えて「血虚」が併発している状態。脈管の中身(血)自体が減っているため、糸のように細く(細)、かつ力が弱い(弱)脈になります。
脈象が「緩弱(かんじゃく)」だなと特定できれば四君子湯をチョイスするという判定をするということです。
実際に脈を診てみると、これはどっち???とどっちつかずの類似した判定がでることも多く悩むところです。そのときは舌診や問診の内容と重ね合わせて判定をしていきます。おそらく脈診の神様レベルの熟達者でなければ判定が難しい脈状もありますし、先生ごとに脈診の結果が異なってくることも珍しくはありません。ゆえに、技術の熟練が問われもしますし、中医学名医であれば、それぞれの先生ごとに違った脈診結果がでても、かつての臨床上の引き出しや毒餌の理論をお持ちなため、優れた改善を示す対処方法を選択して治されます。
また問診や舌診ででてきた判定と、脈診の結果がまったくそぐわない場合があり、そのときには複雑な病症が入り込んでいる恐れがあるため、再度、問診等からやり直して確認し判定精度を上げるなどしてまいります。
脈がわかると伊達政宗公のように、養生スキルが跳ね上がりますから。
いわば体内の気血の状態がわからずに暗闇状態だったものが、ぱっと明るいスポットライトがあたって気血津液の状態から寸口脈では五臓六腑の状態まで診ることもできる。それも脈診が手慣れてくれば、脈に手を乗せて短時間でチェックが完了。日々の脈状の変遷を記録して推移を観察すれば、おのずと薬膳メニューはこれっきゃないと見えてきそうじゃありませんか!?
一生の宝物をゲットといえる簡単な脈診技術の習得は、一般の方々にも、お勧めしたいところです!
歩くには体幹を支える筋群や足を持ち上げる動作させる筋肉へと電気を流して動きを与えています。理科の生物実験で、カエルの足に電流を流したらビクンッと動作する実験がありましたね。歩行時の電気の役割は、どの筋肉をどれだけの量の緊張を与えておくかという(情報を伴った伝達)により運動を制御する役割も担っております。電気で動く自動車は電気が動力源ですが、人体の場合は営養を持った血(血液)がガソリンの役割を持って臓腑や器官を滋養し活動をさせるといえるでしょうか。
そして心臓を含む五臓六腑を動かしたり、目や鼻や舌を動かすのも神経を介した電力と関係性があります。
もし、心臓の気のエネルギーが不足すると、心気虚(しんききょ)と呼ばれる常態となります。心(しん)の陽気・エネルギーが不足し、心臓のポンプ機能や血脈の推進力、および神志(精神・意識活動)の統括が低下した病態となります。
具体的に心気虚によりおこる症状を申せば、
動悸・息切れ:少し動いただけで動悸が激しくなり、息切れを伴う(労作時に悪化)。
自汗(じかん):暑くもないのにじわじわと自然に汗が出る(心の液である汗を留める気配の不足)。
精神疲労・健忘:頭がぼーっとする、物忘れが増える、集中力の低下。
不眠・多夢:心神を養えないため、眠りが浅く夢を多く見る。
顔色の変化:血流を顔面へ送り届ける力が衰え、顔色が白っぽく艶がない(面色恍白)。
脈診8要素
〈位置〉 ①不浮不沈
〈長さ〉 ②三部有脈
〈太さ〉 ③不大不小
〈速さ〉 ④不遅不数
〈強さ〉 ⑤柔和有力
〈流れ〉 ⑥従容和綴
〈脈拍〉 ⑦節律一致
〈尺部拍動〉 ⑧尺脈有根
(脈診解説イラスト)
以上の8要素で脈を調べていきますが、
発電力が足らなくなっている気虚(ききょ)における脈象で、気虚かどうかの判断をいたすことができます。
実は脈を診るには平脈といわれる理想的な健康な脈状を知ることで、病脈の判定ができるようになります。だから平脈がわからないと、脈の位置が丁度か浮いてるか沈んでるか、脈の強さが丁度か強いか弱いのかが判定できません。
そのためにも一度、かかりつけの鍼灸医がおられましたら、脈の診方に関心あるからご教授してくださいとお願いしてみたらどうだろうか?私は、平脈が脈診書籍からでは見当がつかなかったため、脈診の本を著した先生が脈診講座をなさっておられたので、そちらに通わせていただきました。そうした体験を通さなければ、脈診はできるようにならない技術と言えるでしょう。
脈診が身について証の弁証に役立てられるようになれば、自分の気血津液の流れの状態を高い精度で読めるようになったということです。すると、対処方法に迷わず切れ味の良い食材とうの使い分けができるようになるため、脈診を身につけるのは自己健康検査に取り入れてほしいものです。(かの戦国武将、伊達政宗公は、日々、自身の手で脈を診て健康状態を把握し体調管理をしていたことは有名です!)
話しの前置きが長くなりましたが、
脈象の専門用語を使わせていただくことをお許し頂きますれば。
基本は「虚脈(きょみゃく)」**または**「弱脈(じゃくみゃく)」「細脈(さいみゃく)」であり、脈の拍動に力強さがなく、指を押し当てると消えてしまいそうになる「無力」な状態が中心となります。
気虚の脈を診る際の確認ステップ
1. **脈位(深さ)の確認** 軽く触れた状態(浮)で力があるか、指を沈めた状態(沈)で芯が残るかを確認します。気虚ではどの深さでも**反発する弾力(脈力)が不足**します。
2. **脈勢(強さ・幅)の確認** 指を押し込んだときに脈が押し返してくる力があるかを見ます。押圧に耐えられず潰れてしまう場合は「気虚」と判断します。
以上の脈位と脈勢を脈診で正しく判定することができるようになれば、虚証の判定が行いやすくなります。
そして、もう一つ厳密なチェックを心がけるならば、、、。
**他の虚証・実証との鑑別**
- **気滞(実)との鑑別:** 気滞は「弦脈」のようにピーンと張った硬さ(有勢・有剛)が出ますが、気虚は柔らかく弛緩しています。(気滞とは、気の循環が堰き止められる等の要因から、気の流れが停滞した状態です。気滞と気虚が折り重なるケースもございますが、その際は、先行して力強く気を押し流す作用(理気作用)をもった食薬や中薬等を用いて気の滞りの通りをよくします。先に補気の対処をなさるのは悪手となります)
-
**陽虚との鑑別:**
陽虚では気虚の無力感に加え、脈拍が遅くなる「遅脈」や深部でしか触れない「沈微脈」が顕著になります。(気虚より陽虚のほうが病症としては進行し重篤化しております)
専門性があがりますが、気虚を判定する主要な脈象を分析把握いたします。
- **虚脈(きょみゃく)**
- **特徴:** 浮・中・沈(浅い層~深い層)のいずれで触れても力がなく、柔らかく頼りない脈。押すと指の腹の抵抗感がすぐに抜ける感覚。
- **意義:** 全身の気血両虚、特に気の推動・固摂作用の低下。
- **弱脈(じゃくみゃく)**
- **特徴:** 沈位(深く押した層)でしか明確に触れず、かつ極めて細くて力が弱い脈。
- **意義:** 気虚が進行し、陽気や血の不足を伴っている状態。
- **細脈 / 微脈(さいみゃく / びみゃく)**
- **特徴:** 糸のように細く頼りない脈(細脈)、さらに微弱で途切れそうな脈(微脈)。
- **意義:** 気虚により脈管を充実させる力(気血)が衰退している状態。
- **緩脈(かんみゃく)**
- **特徴:** 1呼吸に4拍程度とやや穏やかで、緊張感がなく緩んでいる脈。
- **意義:** 脾気虚(脾の運化機能低下による湿の停滞や筋力の弛緩)。
これらの脈象の現れ方により使用する漢方薬や食薬が使い分けの参考とされます。
※補気方剤は、気の不足が「どの臓腑」や「どの方向(昇挙・固表など)」に影響しているかによって適応脈象と処方の使い分けが明確に分かれます。
◯ 代表的な補気方剤の対応する脈象と使い分けのポイント
四君子湯(脾胃気虚)は、脈象:「緩弱(かんじゃく)」
- **使い分け:** 気虚治療の基本骨格。気が上に行き過ぎることも下に落ちることもなく、単に「真ん中(脾胃)の気が足りない」状態です。脈に強い乱れはなく、全体的に柔らかく力が抜けています。
補中益気湯(脾虚気陥・中気下陥・昇提)は、 脈象: **「虚大(きょだい)かつ沈取で無力」
- **使い分け:** 脾気が衰えて清陽(上昇すべき気)を上部に持ち上げられない状態です。脈管を外側へ押し広げる陽気・津液が不足するため、表面は大きく触れても指を押し込むと手応えが消える「虚大無力」が現れます。柴胡・升麻で気を上に引き上げます。
玉屏風散(肺気虚・衛気不固・固表止汗)は、脈象: 「浮虚(ふきょ)」**、特に**右寸の弱さ
- **使い分け:** 肺の宣発作用が低下し、体表(衛気)の守りが崩れている状態です。外邪を防ぐ「屏風(びょうぶ)」の役割を果たし、肺の主る右寸脈が弱く、皮膚表面を守る浮位の脈に締まりがない場合に適します。
人参養栄湯 / 十全大補湯(気血両虚)
- **脈象:** **細弱脈(さいじゃくみゃく)**
- **使い分け:** 気虚に加えて「血虚」が併発している状態。脈管の中身(血)自体が減っているため、糸のように細く(細)、かつ力が弱い(弱)脈になります。
脈象が「緩弱(かんじゃく)」だなと特定できれば四君子湯をチョイスするという判定をするということです。
実際に脈を診てみると、これはどっち???とどっちつかずの類似した判定がでることも多く悩むところです。そのときは舌診や問診の内容と重ね合わせて判定をしていきます。おそらく脈診の神様レベルの熟達者でなければ判定が難しい脈状もありますし、先生ごとに脈診の結果が異なってくることも珍しくはありません。ゆえに、技術の熟練が問われもしますし、中医学名医であれば、それぞれの先生ごとに違った脈診結果がでても、かつての臨床上の引き出しや毒餌の理論をお持ちなため、優れた改善を示す対処方法を選択して治されます。
また問診や舌診ででてきた判定と、脈診の結果がまったくそぐわない場合があり、そのときには複雑な病症が入り込んでいる恐れがあるため、再度、問診等からやり直して確認し判定精度を上げるなどしてまいります。
脈がわかると伊達政宗公のように、養生スキルが跳ね上がりますから。
いわば体内の気血の状態がわからずに暗闇状態だったものが、ぱっと明るいスポットライトがあたって気血津液の状態から寸口脈では五臓六腑の状態まで診ることもできる。それも脈診が手慣れてくれば、脈に手を乗せて短時間でチェックが完了。日々の脈状の変遷を記録して推移を観察すれば、おのずと薬膳メニューはこれっきゃないと見えてきそうじゃありませんか!?
一生の宝物をゲットといえる簡単な脈診技術の習得は、一般の方々にも、お勧めしたいところです!