脈診の仕方

私はずっと脈診をする機会はなかった。

中国伝来の中医学チベット医学では、
脈診が驚異的な精度で症状を言い当てるそうだ。

常々興味は持っていたが、
それよりも筋膜のリリースを体の改善の第一歩のツールとして選んでいた。
そのウエイトは今後も大きく変わることはないかもしれない。
だが最近、愛知のN先生のお陰で、
脈診の奥深さを知り関連した本を読むようになった。

脈を診るためには、
体表から触れる動脈に手を当てて診る。
体表から触れる動脈は頚動脈や手首の動脈などくらい。
他の動脈は体の骨のすぐそばの深部にある。
それにより怪我をしても出血多量などによる被害を最小限にし、
同時に体の中の熱を安易に外に捨てるようなこともしない。

脈診は特に手首を押さえてみる。
仰臥位に寝てもらいリラックスをしてもらう。
そして寝ているものの両手首を取り、
六指を一度に当てて診ることができる。
相手の右手を私の左手で診る。
相手の左手を私の右手で診る。

私には正直まだピントが合っていない。
この脈はどのような状態なのだろうか?
それを知るために自分の脈をひたすら押さえてみる。
弱く押したり、深く押したり。
その強弱で判断できるものも異なる。

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ちなみに私の読んだチベット医が脈診をした本では、
先生は患者に、食事を主とした独特な生活指導を行った。
薬を与えることもあるが、生活指導だけで身体の不調は解消されるとみたからだそうだ。
そして患者は脈診により告げられた症状と、
自分の状態があまりにも符合するので驚く。

チベット医は薬を与えたときだけ、
薬代の形で治療費を受け取る。
だからこの患者のような診察と指導は無料だ。
名医であればあるほど、
患者の問題を的確に読み取り、
できるだけ安価に健康を取り戻させる方法を見出せるから、
薬代をもらうことも少なく、
超貧乏なそうだ。

おそらくチベット医は少なからず仏教の影響を受けており、
施しの気持ちがあるだろう。
それはインド医学=アーユルヴェーダチベット医学の深い関連を見て、
その仏教とインド医学の伝承時期が符合することからも推測できる。
高地で産業も乏しく貧しいものも多い。
生活するにも必死な人々。
そのなかで活躍するチベット医は、
まさに仏様のような存在であろう。
尊敬にするに余りある仕事をしている。