体の現状イメージを、お客様に伝えやすくするためには、、、の工夫のひとつが、人体図を描いての図解でしょうか

先日、フェルデンクライス・メソッドの先生から、
「なにか、使い勝手のいい人体骨格モデルを作図できるものはないか?」と質問されました。

フリーソフトでちょうどいいものとなると、意外に細かいところの微調整ができなくて、
作図に手間がかかることが多いのですが。
最近では、androidソフトでも、フリーでも使えそうな解剖学ソフトが多数出てきてますね。
ただそれもしっかり使いたければ課金しなさいという仕組みではありますが。

私はandroidタブレットで愛用している「Visible Body ヒューマンアナトミーアトラス 2021」で、人体内部を観察し、
そこから人体像を見透かすようにしていきます。


ですがこちらのソフトは、関節の動き等が表現できるものではないため、
人体が歪曲した悪い姿勢をとらせるといったことはできません。
私はそこはWindowsの「Poser」ソフトにお世話になっております。

 

こちらのソフトで骨格を入れた人体を動きをつけているとき、
意外な発見をすることがあります。
たとえば次のようなことも、その一つです。


理想姿勢と歪曲姿勢のフォルムを描いていたときに、
なぜ、右利きの人には左側肋骨や左首に問題が出やすいかというイメージが、
わかりました。

 

それは長年施術をしていて、経験的にはわかっていたことです。

ですが仕組みが、図示できるほどには理解できていなかった。
だがPoserで実際に作図してみたら、容易にポイントが目に飛び込んできました。


理想姿勢と歪曲姿勢の上半身フォルム1.jpg

上図を見ていただきたい。

左図は理想姿勢・右図は歪曲姿勢。
その違いを観察してほしいのです。

 


観察から差異等を着眼した分析事項を、ひとつひとつ取り分けていきます。

 


たとえば、鎖骨の高さをチェックするとどうだろう。


理想姿勢と歪曲姿勢の上半身フォルム1鎖骨高さ.jpg

理想姿勢は、地面に対して水平です。
歪曲姿勢は、地面に対して右鎖骨末端が高くなり、斜めになっています。

また左右の耳の上端の高さが水平かどうかを観察すれば、
外形をみて骨格の現状を容易に想像しうるものです。

 


中心軸は、どうでしょう。


理想姿勢と歪曲姿勢の上半身フォルム1中心軸.jpg

上下が一直線になって骨を几帳面に積み木して支える理想姿勢。
上下が蛇行して骨のずれが生じて傾倒している歪曲姿勢。

この違いを、観察してみてください。

 


胸郭のフォルムは、どうでしょう。


理想姿勢と歪曲姿勢の上半身フォルム1胸郭.jpg

台形状で安定する理想姿勢。
右のラインが伸ばされて開きすぎとなり、左のラインは詰まって狭窄する歪曲姿勢。


この違いを、観察してみてください。


きれいな台形状なら、きれいに寺の釣り鐘を吊り下げた状態にフォルムが落ち着いて見て取ることができます。
台形から形状がいびつさが増したときは、脇の下の深部の凝りがひどくなり、左側腋窩リンパ節に異常を起こし、
胸郭の呼吸時におきるはずに拡張収縮が起きないため、呼吸量が正常値より低下します。
それは呼吸計測器で息を吹くときにはさほど他の正常作動している人とは変わりがなくても、
安息時に呼吸量が低下していく傾向があり、それを補うために肩を上へ前へと持ち上げて粗悪な呼吸に頼ります。
そうやって猫背姿勢をとりやすくなります。
つまり、猫背の方々は、胸郭のフォルムが理想から離れていて肋骨の可動が悪くなった状態です。

 

 


首の状態にフォーカスすると、どうでしょう。


理想姿勢と歪曲姿勢の上半身フォルム1首の負担.jpg

垂直に頚椎が並ぶ理想姿勢。安定していますね。
左右の肩のライン自体が水平を失い、その上から伸びる首のラインは、想像以上にカーブがきつくなるのが歪曲姿勢。
力学的な頭部の重さが落ちる力のベクトルラインが、首のカーブに描かれています。

この違いを、観察してみてください。

(首の頚椎椎間板は左右での詰まりと開きすぎというアンバランスなくさび型が描かれた部位の左側側部に、
 棘状の骨棘にも似た硬さの筋肉が骨化した棘が突き出ていることがあります。
 これは頭部への血流を悪化させ、非常に危険なものです。
 本当にそれがあると気づいた人は、大病になる前にしっかり緩めてください。
 そのことを切に、切にお願いいたします)

 

 

以上の骨組みのラインを抽出してワイヤーフレームにしてみます。
すると、次のようになります。


理想姿勢と歪曲姿勢ワイヤーフレーム.jpg


私が施術前にボディチェックするとき。

骨格のアライメント。
つまり骨格が上下につり合いを保つことで、体を支えられているかどうかを見るとき。
私の脳内で、お客様のカラダの評点を観察した末に、
このようにシンプルな図形化した絵を描いています。


地球には9.8Gという重力があることも、
脳内での図示には欠かせません。

理想姿勢と歪曲姿勢ワイヤーフレーム98G.jpg

 


人体構造上、立位・座位では頭部の重さが、頂点にあります。
すると「頭部の位置ずれ」があれば、
たいていが複雑なゆがみが混在するパターンであって正確性には欠けるものの、
ずれのパターンがいくつかありまして。
そのパターン認識ができるように、私どもは訓練しています。

お客様の人体骨格上のワイヤーフレームの絵を見て、
鉛直方向に働く重力との釣り合い関係をみます。

歪曲姿勢であれば。。。
水平面に傾斜が生じたときの力学的な支え負担の様子、
それは肋骨の肋間筋や鎖骨の鎖骨下筋などの首の下面の柔軟性ある筋をこわばらせて固定させるという
自前のコルセット装着を強いさせている。
首では弧を描く外側に対して大きな力学的な負担を常に計上させ蓄積させる。
これは本当に怖いことだと思います。


歪曲姿勢を見るには、そのお客様自身の理想姿勢が正確に描き切れていなければ、
そこから離れているかどうかを知ることができません。

多くのお客様と私どものカラダの見立てのひとつの違いは、
この理想姿勢を客観視していくつかの評点をみてるかどうかです。


理想姿勢と歪曲姿勢の上半身フォルムからわかる異常2.jpg


以上のようなことが、Poserで描いた「理想姿勢と歪曲姿勢」を並べた図から見えたわけです。

 

 

この見方は、基本、施術をする上では初歩の初歩。
見たままのことですから難易度の高いものではありません。

 

ですが実際に左首筋の奥のコリや左側胸郭部の狭窄や異常位置へのずれがあると、
それは月一度の他者による施術でうまくリリースできる程度の状態であるお客様ならばいいのですが。

芯にまで、すでにその影響がもぐりこんでいる方の場合(病位が奥に来た状態と等しい意味)には、
自身の状態をチェックする見立ての力を教えてもらって、
同時に自分でもそこを緩める操作やセルフリリースをするようにしていただいたほうがいいと願っております。

 

そのときのセルフリリースを、自分の手の力でなどのハンドワークでできるかどうか。
私も自分で、自分の課題点を見つけてアプローチを苦心しながらしつづけたわけです。
ですが、正直に言えば、
・リリースでの痛みの負荷が高い、
・リリースの効率が思うほど深まらず、あきらめてしまう
などこれは絶対に勧めたいといえるものまでではなかったような気がします。


ですがそれが、いまのところスモールサイズのベン石温熱器を使って、
私の問題の深い上図の歪曲姿勢のときに生じるしこりや骨の狭窄部分を解くと。

 

うれしくなるほど、快適で簡単に解けていくのです。
セルフリリースの時間は十分に取りますが、そうしただけの見返りが十分にあります。

 


そして骨盤のずれが問題、仙骨仙腸関節のずれが問題だというケースもありますが。


実際はそれらの部位を緩めて調整してみたとしても、
状態によってはそれほど長い時間待たずに元通りに戻ってしまうこともあるでしょう。
それはよく聞く話です。

そのような方々の身体をみれば、
すでに上半身部分の胸郭や首回りに何層にも及ぶ深い筋膜の癒着したものがあることも散見されます。

頭の位置ずれが起きると、頭部の裏にある後頭骨が理想位置からずれますので、
後頭骨と仙骨の連動連鎖の性質から、
やがては初期状態が思わしくないお客様のときは時を待たずして仙骨もずれるわけです。

そうすると、施術は山登りのように、次から次へとさらなる高みへといざなうものですが、
一歩進んで半歩戻るを繰り返すようになります。。。

頭部の凝りや胸郭周り、肩回り、首回りなどに十分に深まる手が差し伸べられてケアされないと、
下半身のずれを上半身のずれが引き起こしてしまうことになるのです。

 


それは実は日々のセルフケア、
歯医者さんに行くと「毎日、ちゃんと1回はしっかり歯のよごれをしっかり落とすまで磨いて」といわれますが、
それと同じことです。
歯を磨くのを一週間~半月もおこたれば、きつい将来が待っています。
それと同等のことだと思ってください。

 

自分で毎日、ちゃんと一回はしっかり体の汚れをしっかり落とすような磨きをかける習慣です。

 

私の反省からくるある理由から、
ぜひ、そのような習慣を持つ方が増えるようにと切望しています。

そのためにもわかりやすいどのような部位を、どう解けばいいか、つたえられるようになりたいのです。