仙骨から延びる神経束からの邪気って。。どう制するの?

わたしども東洋医学の施術を学ぶ人は、
ものごとを陰陽に二分して考える習慣がある。


『陰陽』の、
『陰』は目で見える物質としての性質を持つグループのこと。
人体でいえば、血液もリンパ液も脳脊髄液も、
筋肉も腱も靱帯も、歯も骨も軟骨も、
皮膚も頭髪も、
そして各臓器も物質としての様相を持っており陰のグループに入る。

『陽』は目で見えないエネルギーや仕組み・機能などの性質を持つグループのこと。
人体でいえば、神経内部を走る電気を直接肉眼で目視できるものではない。
心臓が血液を循環させる機能とは物質ではないから、陽のグループ入り。
経絡のなかを走行する気は、陽のグループに入る。

※ 陰陽で男性が陽で女性が陰とわけるのですが、
  そこは男性が女性より影が薄くて目に見えないということかもしれない。


陰陽それぞれの要素を持つグループが自転車の両輪となり組み合わさっています。
たとえば血液を循環させるとき。
血管、心臓、血液という陰と、
心臓を制御し動かす電力や電気信号が心臓の血を送るポンプ機能を発揮させる陽の両輪が働くことで
正常な血液の循環が支えられています。
これらのどの要素のひとつが欠けても異常を来すわけです。

ならば病気とは、陰陽の二面でわけて分析する必要があります。

血や筋肉や臓器などの物質としての陰に属するものに問題がでた場合もありますが、
目に見えない陽に属する気(電気エネルギーや経絡や神経内を通る電気信号を含む)に問題がでているときもあります。

後者の陽に属する気が正常ならば正気、気が乱れれば邪気。
正気が満ちたところは、私が手で触れば暖かく適度な湿り気があり柔和な感じをうけます。
邪気に満ちたところは、私が手で触れば冷たく乾燥し硬さを感じます。
正気の流れがある場の細胞組織は健やかで闊達に活動をしている様子。
邪気の流れがある場では気がその場で停滞したり乱反射しております。
邪気が満ちればその場の細胞組織に対して陰陽揃い踏みのエネルギー供給の制限を受ける。
それは電池切れのラジコンカーが転がっているような状態です。
私の感覚ではそのような感触をもつことになります。

腹部の邪気は起立筋や四肢等の緊縮や虚脱で邪気のたまりが現れることで有名なところでしょう。
腹部に邪気がたまる場合は、すでに病の状態は進んできているといえます。

そのほか邪気だまりがでやすいところは、
関節周りの腱の密集や筋の層の折り重なりが近かったり強い場など、
または血管の圧迫等により血流が悪化する場などにも観られるようです。

私自身、そうした邪気の様子をモニターしながら、それを流すために昔は自身の気を使っていました。
ですがそれをすると施術者がよほど屈強で節制された賢者でないかぎり自身の気が枯れて病を得ます。
それで年単位での休業を幾度も繰り返してきた過去があります。

その対策に乗り出しお客様の邪気を、
私の気をもって補う必要がない手技の技術が向上して成果が上がることで、
私の気が枯れて病をえるという悪しきパターンを脱せました。

ただほっとするのもつかの間。。
昨今ですが、
仙腸関節をゆるめるために仙骨部位に今まで以上のアプローチをなす必要がでてきました。
すると仙骨部分から脚部に向けて馬尾神経索などの神経の束がそこにあります。
いままでこれほど仙骨をリリース対象として深く解いたことがなくて気づかなかったのですが、
そこからの邪気の出方が『!!!』とびっくりする場合が散見したのです。
皮膚近くにある太い臀部筋にシールドされていたからわからなかったのか、
大殿筋、中殿筋、そして梨状筋がゆるみだし、
邪気のシールドがほどけたころあいにそのことに気づきました。


・・・・。
この邪気をどうやって正気にすればいいのだろう?

物理的に大判の木製かっさで殿筋群をゆるめたとしても、
これだけの邪気があれば、そこの組織はエネルギー不足になり、
もとのままの冷えて干からびた硬化状態に返ることは想像がつきます。

この場合、電気的な気のトラブルですから、
陰陽の陰からのアプローチではなく『陽のアプローチで見つけるべきな場合』です。

そこでいろいろ試行錯誤して試した結果、
その仙椎部位の邪気があるときには、
腰仙関節上にベン石かネフライトのホットストーンを置き石を用いて5分以上熱を注ぎ陽気を補い、
その後にベン石温熱器でボウエンテクニックで用いるムーブというアプローチ手技の変化したやり方で
特別なアプローチをしていくことで邪気が収まり出すことがわかってきました。
幸いにして、この仕上げ方をすれば前進して勝手にリリースの状態が良好に進むときはあれど、
後退して悪化することは起きていません。
※ これはこの部位への気の流れをただすためのやり方のひとつの例です。
  他の先生方はその方の得意なやり方でこれをかなえることもできると思います。


まさにここ。
脊椎の下端という末端部に、
こんなにねじれを産み続けたり、脊髄神経を緊張しっぱなしにする邪気があったとは。。。
見過ごしてしまいがちな盲点ですね。

手足や首や腰を伸ばしたりなどのストレッチやハンドマッサージはしますが、
本能的に仙骨部分にストレッチやハンドマッサージってしましょうって勧める教えは少ないはず。
この仙骨部位は重要な治療点でもあり、そこに全身に関わる改善点があることは施術者には知られていますが、
そこを深々とリリースするのははばかられるところでもあったようですし、
それ以上に扱いが極端にむずかしく危険もはらんでいる部分なので安易なふれ方は避けるべきと、
施術の専門学校に通っていたときに口を酸っぱくしていわれた記憶があります。
事故ったらこれほどこわいところはない、というのは本当のことなので、
施術専門学校に入りたての生徒には、そういうのも納得です。

一般の方が安易に仙骨をゴシゴシ圧をかけるようなことは絶対お勧めできません。
前進して改善できる可能性より、
人為的に組織へダメージが加える危険がさらに大きい。
無謀にさらされている状態ですから、
観ていたら怖くて止めに入ります。

ですが施術をなさる先生方は別で、
仙骨周囲含めその点を深く改善する技術は学びとしては得難い益をもたらしてくれるでしょう。
しっかりとした研究を身内でなさって成果を出すノウハウを蓄積していくことで、
これからの厳しさの増す施術院の経営にも有利になると思います。
それにお客様の身体状態の改善ステップが明らかに速まるケースもでて、
よろこんでいただけることもでてくるでしょう。