長島監督のお話/ただの天才ではない

長島監督の話が出ると、面白話が多い。
負け試合のときに一茂を球場に忘れて帰った話や、
豪快なお食事話。
巨人軍監督時代、監督の采配はコンピュータをもじってカンピュータといわれた。
野性的なカンが鋭いことを評した。

そして王貞治は血のにじむ練習秘話が伝えられる。
努力の人で開眼した印象が強い。
対して長島はヒーローでかつ天才的なプレイヤー。
一般人には解らない。天才として受け入れられる。
バッティングやフィールディングの指導法は
「腰の振りはビュっ」など擬音とゼスチャーで語られる。
長島監督の練習秘話はマスコミの口からは聞かれてこない。

だが現役時代、同期巨人軍の選手柴田がスランプになったとき、
長島がしたアドバイスは長島のイメージを変えた。
柴田が長島の家、田園調布の自宅に呼び、
「お前もノートをとったらいい」(←セリフは覚えてなくて面目無いm__m)
といい数十冊にもおよぶ分厚く重なったノートをみせた。
そこには内容の濃い野球に関しての記述がびっしりと記されていた。
柴田選手はそれをみて驚き、後にそのことを語っている。

野生のカンでやってきた天才のイメージとは似つかわしくなく思える。
だがしっかりとした野球に対しての取り組み姿勢は、
長島が選手時代にウォーキングを先生に教授いただいた際の丁寧な対応に現れる。
教えて頂いたことに対しての感謝の念が伝わりその礼儀正しさに驚かれたそうだ。

野球人としての素材は、長島は備えていただろう。
映像をみても天才的だ。
だが真剣に取り組み積み重ねていくバックグラウンドのあってのことだった。
それが滲み出ていて、人に好かれるのだということが解った。
真剣に取り組んでいることのすばらしさを伝えてくれる。

若いときにもった確固たるベースは、
監督の教え方の的確さやゲームメイクの判断力を支えている。
カンは研ぎ澄まされて精度を上げられるものなのだ。
しっかりとしたデータや感覚の蓄積が要求される。

余談だが柴田選手はスランプを抜け出し、2000本安打を超える記録を残している。

長島監督をみていると、
「あの人は天才だから努力しなくてもできていいよなぁ〜」
とぼやいた自分が恥ずかしく思える。

体の使い方について。
天才とはほど遠い自分。
だが自分なりにノートしていかなければと思っている。

ノートもしないで人をうらやむような事があってはならないと思う。